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深夜1:06。いつものようにバックヤードでカップラーメン片手にスマホでBLを読んでいた、夜勤バイトの斉藤ちゃん(22)は、
突然飛び込んできた藤井さんの絶叫でラーメンを噴きかけた。
「事後でふらふらでキスマエグい優等生がXLのチャラ男に連れてこられたんですけど!!」
「えっ? え? 待って順番に言って?? 事後で? XLで? 誰が? どこで?!」
「レジ! 今! いやもう出てったけどやばいからモニター! モニター!!!」
藤井さんは滅多に取り乱さない。
その彼女が顔面を真っ赤にして、ガタガタ震えてる。
(……これはガチだ)
そう判断した斉藤ちゃんは、即モニターの再生を巻き戻す。
──表示されたのは、まさに“事件”だった。
「……ッ……なにこの、供給過多ッ!!」
制服の襟から見えるキスマーク、複数……いやもう、盛られてるレベル。
肩に腕を回すチャラそうなイケメン、でも妙に“目”が優しい。
一方で、受けポジ(であるはず)の優等生くんは、ふらふらした足取りでXLサイズの袋をチラ見からの赤面──
「……え、あれ顔伏せた……やば……気づいて恥ずかしがってる……実録・事後男子高校生……」
しかも藤井さん、接客中の顔が必死に真顔保ってて笑える。
「ちょ、コレ音声ないのがもったいなさすぎ……!!!」
一時停止して、ズーム、巻き戻し、静止画。
理央と思しき優等生男子の、
俯いたときの耳の先っぽが真っ赤なことに斉藤ちゃんは気づいてしまった。
「ねえちょっとこれ、何? どこに連絡したら映画化される?」
「でしょ!? 私、正気保てたの奇跡だった!!」
「名前調べよう。あれ絶対同じ高校の……制服見たことあるし。新時代のカップル誕生かもよ!?」
二人でスマホを取り出し、検索を始める。
一人は画像から制服を調べ、もう一人は「蓮くん」って呼んでた音声を脳内再生して検索。
「ていうか、あれ絶対“受け”が優等生……蓮って名前の彼氏っぽい子が“攻め”だよね」
「うん、てか蓮って名前がもう攻めじゃん。XLだし」
「“理央と蓮”って響き、カプ名として完成してるよね」
「“りおれん”……あ、逆もいける。“れんりお”も強い。最強じゃん……」
そのあと1時間、休憩室ではふたりの深夜妄想会議が開催された。
出てくる妄想は全部エモくて尊くて爆死。
商品名「コンドームXLサイズ」は、その夜から彼女たちの中で神アイテムと呼ばれることになる──。