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「おぉ!え!もう昼!?はやっ!」
「マジで!?うわっ。夢の国時間こわっ」
「それな!」
音成と鹿島の会話を聞き、スマホをつける。11時47分。たしかに12時前。もうお昼だ。
「どうする?お昼近いとめっちゃ混むよ。たぶんもう混んでるかも」
「マジ?」
「マジ。しかも今ハロウィンシーズンだからハロウィン限定のメニューもあるから尚更」
「え、マジか。どうする?」
「どうしようか」
「待って。そういえばパレードもある」
「そうやん!」
「待って調べる」
音成がテキパキとスマホを操作する。
「えぇ〜っとね、1時からパレードがある。だから1時は空いてる〜んじゃないかな?比較的」
「パレード時間だからか」
「そそ。だから1時にお昼食べ行って、んでパレード50分くらいあるから見に行こう」
「おけ」
「よしきた!」
「じゃ、次なに行こうか」
とざっくばらんに計画を決めて、この後のことは決めず歩き出す。
東京シルフィーランドの2大ジェットコースターとも言われてたり
言われてなかったりするうちの1つ「ラージファイヤーマウンテン」に乗ろうとしたが
人気ジェットコースターとだけあり、待ち時間「70分」とかいう文字が見えたのでやめておいた。
メリーゴーランドようなものなどを眺め、キャラクターの街に入り込み
どこも待ち時間がすごかったのでどこにも入らなかったが
カチューシャを買ったりして、キャラクターの家の前で写真を撮ったりした。
夢の国はアトラクションに乗らずとも時間が過ぎるのが早く、気づいたらもうすぐ13時。
ということでお昼ご飯を食べるためお店を探した。パレードがあるからとはいえ、お昼時。
パレードを観に行かない人たちもちょうどお腹が空く時間。
さらに僕たちと同じ考えの人もいるだろう。どこもある程度並んでいそうだったので
軽く食べられてお腹も膨れ、美味しいであろうとあるカフェに並んだ。
列が進み、僕たちの番。各々食べたいものを選んでお会計。
夢の国価格を覚悟していたがそこまで高くはなく安心した。テラス席に6人近いテーブルに座った。
パラソル付きの4人がけテーブルだったので女子陣と男子陣でわかれて座った。
鹿島はハロウィン限定スペシャルセット。
匠は小さなピザと飲み物、僕は魅惑のチーズにハンバーグのデニッシュと飲み物。
鹿島のハロウィン限定のサツマイモを使ったサラダと
ハムのサンドイッチを一口食べさせてもらったり、匠のピザを食べさせてもらったり
鹿島も匠のピザを食べたり、僕のデニッシュを食べたり、匠も僕のデニッシュを食べたり。
大人数でくればたくさんの美味しさを味わえる。なんとなく勝手にお得な気がしたし、どれもこれも絶品。
夢の国で高いことを想定していたがそこまで高くなく、この味。
この美味しさなら、むしろ安いと感じるほどだった。
変に早く食べることはしなかったがゆっくりもしなかった。食べ終えたらゴミをゴミ箱に捨てて席を立った。
鹿島はハロウィン限定スペシャルセットのサンドイッチを包んでいた包み紙が
ハロウィン限定仕様になっており、その包み紙を大切にスクールバッグにしまっていた。
女子陣も食べ終わり合流してパレードの見えるところへ移動した。
「あぁ〜!チールとデップだぁ〜!可愛いぃ〜!
コスチュームも可愛いぃ〜。あ!手振ってくれた!」
「わかる。チールとデップ可愛いよな。真ん中のクライスも可愛いけど」
「あ!スチャッテも出てるんだ?」
「あっひゃっく。グーウィー!こっち見てぇ〜!」
「やっぱオレはドーナツト・ラックかなぁ〜」
「私はデイリーかなぁ〜」
なんて言いながら妃馬と一緒にドーナツト・ラックとデイリー・ラックに向かって手を振る。
するとパレードのキャラクターが乗って動くもの
フロートと呼ばれるものの上に乗ったハロウィンの仮装をした2人がこちらに気づいてくれて
1度口に手をあててから両手を前に突き出し手を振ってくれた。嬉しかった。
とても綺麗で惹きつけられる魅力があり、写真も動画も撮るのを忘れて見入っていたので
フロートの移動するほうに行って、もちろん楽しみながら動画やら写真やらを撮った。
その後、その近くのアトラクションに乗ろうということになった。
まずは空飛ぶ海賊船に乗って、夢の国の中の夢の世界、大人にならずに済む世界に入り込むものに乗った。
お次に向かったのが大きなお城が目立つアトラクション。その作品の舞台となるお城で
できてからまだ日が浅く、パレード直後ということで少しは緩和されているのだろうが
人気も人気で、行列も行列だった。お城の門をくぐり、お城の外側を歩き、お城内部へ。
正直このプリンセス映画をアニメ版もまともに見たことがないし
最近実写化されて映画が公開されていたがそれも見たことがない。
なので「あぁ!ここの作り込みすごい!」とか「映画そのままだ!」とかいう感動はなかったが
そんな僕でもわかるクオリティーの高さ。まるで本当にプリンセス映画に入り込んだような
その作品の世界の住人の1人になり、お城にお邪魔したような感覚になる。
音成を中心に女子陣は感動しながらスマホを構えて写真やら動画やらを撮っていた。
鹿島も「おぉ〜」とか呟きながら、目をキラキラさせながらスマホを構えて写真やら動画やらを撮っていた。
お姫様やいけすかないバカなぼんぼんが下りてきそうな巨大で豪華な階段から
アトラクションは始まる。ダンスホールのような広場が暗くなり、ステンドグラスが光り輝く。
するとストーリーテラーの声が聞こえてきて
そのストーリーテラーが語る物語にリンクしてステンドグラスの絵柄が動く。
右側にその作品の要の1”人“?の獣男が現れる。やがて左側からその作品のプリンセスが現れる。
3DCGとアニメの狭間、まさに今流行りの2.5次元だと思った。
気づけば門が開いていざ乗り物へ乗る部分へ近づく。柵の前にティーカップの乗り物が止まる。
1カップにつき10人ほど乗れるということだったので、遠慮なく6人と知らない人で乗ることになった。
この乗り物に関しては女子陣が盛り上がっていたので
女子陣は女子陣で男子陣は男子陣で固まって乗ることにした。
門が開き、まるでこれからダンスでもするのかという音楽が鳴る。
長ぁ〜〜いテーブルの端にプリンセスが座り、喋るキャンドルが歌い出す。
するとテーブルの上の燭台も花瓶もティーカップもティーポットもダンスを始める。
すると僕らの乗っている乗り物も滑らかにダンスをするように揺れる。
食器棚に置いてあるお皿たちも「大丈夫!?割れない!?」と心配してしまうほど激しく踊り始める。
大きなシャンデリアが下りてきたかと思ったら照明が煌びやかになり
いつの間にかテーブルの上にウエディングケーキのように高さがある大きなケーキ
大きなゼリー、紅茶の噴水?なんかも現れた。シルフィーランド内で聴いた曲の中、踊り狂う。
もうそこだけで1つのショーのような
ここで拍手喝采で終了!といっても納得するくらい満足のいくものだったが、まだ序盤。
僕たちの乗るティーカップの乗り物はお城の外の世界へ。外は冬。
雪景色に少し恐怖を感じる枝葉のない大きな木。
その木の元にプリンセスと立髪が立派な眠そうな目の馬がいる。
プリンセスが歌を歌い出し、お城のベランダ的な部分には小鳥を愛でる獣男が。
プリンセスの歌が終わると今度は獣男が歌い出す。歌の終わりに小鳥も少し歌う。またプリンセスが歌い
今度は獣男が、そして2人が掛け合うように歌うと別の場所へと移動する。トンネルを潜るとお城の内部へ。
先程獣男がいたお城のベランダ的な部分を今度はお城内部から見る。
プリンセスと獣男が外を見ている。僕たちからはその2“人”?の背中しか見えない。
しかしその2“人”?の奥に綺麗な夜空とその夜空を曲線状に走る流れ星が見えた。なぜかその流れ星を見たとき
匠のサティスフィーで少しプレイさせてもらったスーパーアリオギャラクシーを思い出した。
カーテンが閉まり、今まで気づかなかった後ろが忙しなくなる。
僕たちの後ろには窓があり、その窓の外の景色に、悪魔の持っているような、大きなフォークのような槍
恐らく海外の田舎ではよくあるような干し草を解すためのフォークを持った人々の
シルエットが写り、声やシルエットの動きで「良いこと」ではないことがわかる。
お城内の喋る家具たちも「大変だ!」とか「怪我をしたようだ!」など物々しい雰囲気が伝わる。
「私を置いていかないで…」
プリンセスの涙混じりの声。獣男は倒れ、その側でプリンセスはその獣男に寄り添い泣いていた。
空も人々の見たくないという気持ちを汲み取り曇って、人々の怒りを代弁するように雷を落とす。
そしてプリンセスの涙を隠すように雨を降らせていた。その空に一筋の光が流れ落ちる。
その光が獣男に入り込んだかと思うとその獣男の身体を宙に浮かび上がらせる。
空から降る光は量を増していく。その降り注ぐ光の中
その獣男の身体が光ったかと思ったら獣だった体を人間の体に変えて見せた。
その途端、人々のホッっとした気持ちを汲み取るように空は晴れ、綺麗な茜色に染まっていた。
凍てついたバラも綺麗な赤色を取り戻し
凍てついたお城の外観もみるみるうちに溶けていった。ダンスホールで舞踏会のように
人間の姿になった王子様とプリンセスが踊っている周りを僕たちも踊るように回る。
明るく煌びやか。一度照明が暗くなり、また明るくなると全員が歌い出す。
このアニメ映画を見たことのない僕でも聞いたことのある歌。歌が終盤になり、そのダンスホールを出る。
このアニメ映画を見たことのない僕でも最後には鳥肌が立った。
ダンスホールを出ても歌の余韻が続き、気づけばキャストの方が手を振って出迎えてくれていた。
ティーカップの乗り物から降りて通路を進む。ランタンのぶら下がったお城の外廊下を歩く。
空はランタンの明るさが映える暗さになっていた。