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ヤバい☆私も二口推しだぜ☆
ありがとうございます(//∇//)
神様ですね
昔はこんなんでは無かった。一般的に見て仲のいい家族だったと思う。俺も俺で両親の事が大好きだった。幸せだった。だけど、あの日あの瞬間に全てが壊れた。
部屋中に色んな人の泣き声が響く。参列者などで部屋には沢山に人が居た。母が亡くなってしまったのだ。俺は驚きすぎて涙すら出なかった。だってあんなにパワフルで元気だった人が交通事故で死ぬなんて……考えもしなかった。人間って意外に簡単に死ぬんだと思った。そして父が泣いているのを、大人が泣く所を初めて見るなんて馬鹿な事を考えた中学3年生の冬だった。
それから父は180度変わった。前までは優しくて笑顔の絶やさない人だったのに、少しの事で怒鳴り散らかし、タバコや酒に溺れた。少しでも嫌な事があると暴力を振るうようになった。力では俺の方が上かもしれない。だけど俺はそれに逆らえなかった。
高校生になって部活はバレー部に入部した。できる限り家に居たくなかったから。家に居場所のない俺にとってバレー部は大切な居場所だった。だからこそこんな事知られたくなかったし心配もかけたくなかった。
「お疲れっした〜」
いつも通り青根と共に帰路につく。家への距離が近づけば近づく程怖かった。今日は早く帰っているだろうか。殴られないだろうかと。
*****
二口達が部室を出て行った後、3年メンバーやレギュラーメンバーは雑談をしながらゆっくり着替えをしていた。
「笹谷着替え終わった〜?もう最終下校時刻だよ、急がないと」
「おー、もう終わる」
その時二口のノートが落ちているのが目に入った。
「それ提出用のノートですよ」
と小原が言った。提出用なら困るだろうし明日は部活がない。三年生メンバーで届けようという事になった。
*****
「グッ!!ゲホッっ!!」
家に帰って、荷物を置くため部屋に行きリビングに行くと案の定今日は嫌な事があったようで暴力を振るわれた。
「汚ねぇな!!静かにしてろ!!!そこで少し反省してるんだな!!!!!!」
とベランダに出された。宮城の冬に薄い服一枚なんて自殺行為と言ってもいいだろう。しかし鍵をかけられて1日部活してきた俺に窓を壊すなんて大それた体力も覚悟も無かった。
どかどかと大きな足音を立てながら家を出て行った。
寒さのせいで段々と意識が党のいていく仲最後に聞いた言葉は
「「二口?!!」」
だった____
*****
二口の家に行くと、もう帰っているはずなのに電気がついていなかった。チャイムを押しても返事はなく。鍵が掛かっていると思いながらもドアに手をかけると鍵はかかっていなかった。不用心だなと思いながら声を潜め二口と呼んでも返事はない。
「まだ帰ってないのかな?」
「部室出てからだいぶ経ってたし、寄り道してんのかもな」
リビングの方に行くとベランダの方に人影があった。目を凝らしてよく見ると二口だと分かった。
「「二口?!!!」」
それから直ぐに救急車を呼んで病院に搬送された。医者から詳しく容態を聞かされた。
「二口君の容態は非常に危険な状態です。今は落ち着いていますが、低体温症になり暴力も振るわれているようでした。血液など足りておらず先程までは呼吸困難もありました。暫くは集中治療室に入って頂くことになります。」
今日はもう遅いので詳しくはまたと言われてしまいその日は帰る他なかった。
***
ふっと目を覚ますと消毒液の独特な匂いと白い天井が目の前に広がった。ここは何処だろう。自分は一体どうしたのだろうか。
「よかった。目を覚まされたんですね。」
「ここは?」
「宮城総合病院です。二口君は三日間意識はなかったんですよ。」
それから病室に茂庭さん達がきてよかったと泣きながら言われて、ここまで心配をかけた事は申し訳なく思った。
「二口、今までずっと頑張ったな。辛かったな」
と頭を撫でられた時はぼろぼろと涙があふれて止まらなかった。
たしかにずっと辛くて苦しかった。誰にも助けてもらえない。光のない道を歩いてる気分だった。
「お前の父親は逮捕されたぞ。」
驚いて目をこれでもかと見開く俺を見ると近所の人達が虐待の可能性があると証言したらしい。と説明してくれた。
警察も来て色々聞かれた。
「成程。分かりました。あとはお任せ下さい。では我々はこれで。お大事にしてください」
「っあの!!」
「?」
「父さんの罪出来るだけ軽くしてあげてくれませんか?」
「「はぁ?!!!!!」」
「何言ってんの?!」
声を上げたのは部員達だった。まぁ無理はないと思う。今まで酷い仕打ちをされてきたのに罪を軽くして欲しいなんて……
「あんなんでも今まで俺を育ててきてくれた唯一の家族なんです。俺の家族は父さんだけ。お願いします」
「分かりました。貴方の希望通りに」
と警察は一礼し病室を出て行った。
*****
あれから1週間は検査入院をして今は孤児院で生活している。
いつかまたあの頃の優しい父さんと暮らしたい。と今は願っている。