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放課後、心理部の教室には、やわらかな夕陽が差し込んでいた。この一週間、日替わりでメンバーとペアを組み、心の動きを探るという実験を重ねてきた。
そして今、最後に下されるのは――「誰と一緒に帰るか」という選択。
もな「〇〇くん、決めた?」
雪華「ドキドキの最終日だねっ♪」
怜華「誰を選んでも…その、幸せですよ。きっと」
魔璃亜「ふふ、貴方の決断を、わたくしたち全員が見届けますわ」
もね「……(無言でこちらを見ている)」
殺鬼「妾と一緒に帰ろ?楽しいと思うのじゃ!」
めろ「……」
それぞれが視線を投げかける中、俺は息を吸った。
〇〇「俺は――殺鬼と帰る」
「!」
教室に、一瞬ざわめきが走る。
殺鬼「やったぁ!妾、〇〇と帰りたかったのじゃ!えへへ!」
もな「…そっか、うん。よかったね殺鬼ちゃん」
雪華「わぁー、いいなぁ!」
魔璃亜「まあ。おめでとうございます」
怜華「……ふふ、素敵です」
もね「……(ほんの少し口元を緩めた)」
そして――ただひとり。
めろだけが笑っていなかった。
めろ「……え?」
その声は小さく、壊れかけたガラスのように震えていた。
めろ「……ちょっと待って。え?なにそれ。だって、最後はめろと一緒に帰るんじゃないの?」
〇〇「……めろ?」
めろ「違うでしょ?だって…この部活ってそういうゲームでしょ?最後は“めろ”を選ぶルートで終わるの。そうじゃん。だってそういうエンディングだから」
彼女の言葉に、みんなが戸惑いの表情を浮かべる。 〇〇の耳にも、意味がわからないただの独り言にしか聞こえない。
めろ「リセットしたよね?全部消したよね?なのに、どうしてまた…」
その瞳は潤み、だが笑顔だけは必死に貼り付けられていた。
めろ「――“めろ”じゃないエンディングなんて、ありえないんだよ」
次の瞬間。
バンッ!!!
机がひっくり返るような音と共に、めろが立ち上がった。
彼女の手は殺鬼の胸ぐらを掴みそのまま窓辺へ叩きつける
殺鬼「えっ――」
ガラスの砕ける音だけが部室に響く。
放課後の静けさを切り裂いて、部室は一瞬で凍りついた。
めろ「ごめんね。だって…〇〇は“めろ”を選ぶしかないんだから」
血のように赤い夕日が、彼女の涙を照らし出す。