「兄ちゃんが…好き。」
俺は小さい頃から隠していた兄貴への恋心を打ち明けた。
失敗するって分かってる。
だけど、俺にしか見せてくれない笑顔が、優しさが、俺を期待させて「もしかしたら」なんて想像してしまった。
「そうか…じゃあ付き合うか」
「え?」予想外の返事に心が追いつかなかった。
聞き間違いではないのか。と、何度も心の中で問う。
「ほん、と…?」
「ああ。」
うまく言葉が出せない。
「うれしい…」
俺は泣きそうになったから、ぎゅっと目を瞑った。
「凛」
兄ちゃんが名前を呼ぶ。
そっと目を開けてみる。
「愛してる」
その瞬間、顔が熱くなって水滴が足元に落ちた。
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「兄ちゃんが…好き。」
弟にそう言われた。俺は訳がわからなかった。
あの雪の日、俺は凛を切り離したから。もう完全に嫌われたと思っていた。
凛、本当に?
冗談ではないのか。
俺の聞き間違いか?
何度もそう思った。だけど目の前で、弱々しく下を向きながら俺の言葉を待っている凛を見ると、どうしてもその可能性が打ち消される。
俺も好きだ。愛してる。
この気持ちを、 どうやって伝えればよいのだろう。
「そうか…じゃあ付き合うか」
少し悩んでから、そう返事をした。
本人は「あ」というような顔をしている。
俺のたった一言で表情を変えてしまうのが、すごく可愛いらしい。
「うれしい…」
そう言ってから凛は目を瞑った。
凛の行動が、言葉が、全て可愛く感じる。
ああ、俺は凛がすごく、すごく好きだ。
もう切り離さない。ずっと一緒に居たいから、優しく包み込んで 抱きしめたい。
「凛」
凛はそっと目を開けた。
「愛してる」
目を見て、誤魔化さないで。俺の気持ちを真っ直ぐ伝えた。凛の目から涙がこぼれ落ちた。
可愛い。可愛い。誰にも渡さない。
俺だけの
凛。