テラーノベル
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リエナ「あなたは?」
すると、男はリエナとティヤの前に出る。
黒コートの男「説明は後だ。動けるか?」
リエナ「え…ええ。」
黒コートの男「できるだけ、仲間を入り口付近まで運んでやってやれ。」
リエナは頷くと仲間を入り口付近まで運び始めた。黒コートの男は白装束の女の方を見る。
白装束の女「あなたは何者でしょうか?」
黒コートの男「なに…しがない武器商人だ。」
白装束の女「武器商人?…その武器商人が私(わたくし)と戦うとでも?」
黒コートの男「どうせ暇なんだろ?遊んでいけよ!」
黒コートの男は言い放った直後、 手に持っている銃を白装束の女に向けて数発撃つ。白装束の女は刀で全ての弾丸を斬って防いだ。
黒コートの男「…。」
だが、黒コートの男は撃った時と同時に白装束の女の足元に閃光爆弾を投げていた。気づいた時には爆発して強力な光に包まれる。黒コートの男は銃を撃っている間に特殊なゴーグルをかけて強力な光を防いでいた。
白装束の女「また目眩(くらま)しですか。」
黒コートの男は白装束の女が目を閉じている中、再び銃を数発撃つ。
黒コートの男(目が見えないこの状況でどうやって弾を避ける?)
白装束の女は手に持っている刀を地面に突き刺すと氷の壁が現れ、飛んでくる弾丸を防いだ。
黒コートの男(そうきたか)
黒コートの男は右手に持っていた銃を仕舞って左手でコートの裏から一風変わった銃を取り出して一発だけ発砲した。
白装束の女(さっきの音と違う…。)
すると、弾丸は氷の壁を貫通して白装束の女の方へいくと、白装束の女は貫通するとは予想出来ず反応が遅れ、刀で斬ろうとした。
しかし、刀の刃先(はさき)に当たったにも関わらず弾丸は斬れずに弾丸は刃を伝って軌道(きどう)が変わり白装束の女の顔を擦(かす)りそこから血が流れた。
白装束の女「斬れなかった…。あなたとは相性がよろしくないですわね。なので、今回は手を引かせていただきます。」
そう言うと白装束の女は刀を鞘に納めた。
黒コートの男「逃げる気か?」
白装束の女「ええ。強力な光で目を開けられません。これ以上やっても分が悪いのは私でしょう?」
黒コートの男「俺が逃がすとでも思っているのか?」
白装束の女「思っていません。なので、全力で逃げさせていただきます。」
黒コートの男は銃を白装束の女に向けようとすると、白装束の女は口から「フー!」と白い吹雪を吐き出した。ゴーグルをかけているとはいえ、前が真っ白で何も見えない状態で、黒コートの男は一発だけ発砲した。
吹雪が止むと白装束の女の姿は、もうどこにもなかった。
黒コートの男「逃げたか。」
黒コートの男は銃を仕舞うと、入り口にいるリエナの元へ行く。
黒コートの男「大丈夫か?」
リエナ「え…ええ。でも、みんなが…。」
黒コートの男「少し待っていろ。」
黒コートの男は近くに置いてあった大きなリュックから鍵を取り出した。その鍵を壁に当てて押し込み「解錠」と言う。すると、壁に木製の扉が姿を現した。
リエナ「!!」
黒コートの男「さぁ。早く怪我人を中に。」
リエナ「は…はい。」
扉を開けると金髪にエプロン姿の女の子が商品棚の銃を手に取っており、こちらを向くと黒コートの男に言う。
???「あら、ライル!おかえり。」
ライル「ただいま。マリー。すまんが、大至急ナユを部屋から呼んできてくれないか?」
マリーは後ろを見ると怪我したリエナ達がいた事で察し、2階に上がっていった。ライルはリュックをカウンターの横に置く。2階からマリーが白衣をきた眠そうにしていた女の子を連れてきた。
マリー「ライル。ナユ連れてきたよ。 」
ライル「ありがとう。ナユこの人達の治療を頼めるか?」
ナユ「ふぇ?…あ…ああ。分かった。えっと…。」
ナユはティヤ・ヴァン・ ファトン・リエナ、そして迷宮エリアに倒れているディルガンを順番に診察する。
ナユ「順番はこの大きな鎧の人。ピクシー・赤髪の人間・獣人の男…そしてエルフのあなたは問題ないでしょう。早速…鎧の人から治療開始。マリー。手伝って…ちょうだい。」
マリー「分かったわ。」
ナユはマリーと共に迷宮のエリアに倒れているディルガンの所に行き、慣れた手つきで簡易テントを設営してディルガンの腹部の鎧を外して斬られた場所の治療にあたる。
その間ライルとリエナはティヤ達を2階の部屋へと運び出した。全員それぞれの部屋のベッドに運び終わると、リエナはライルに言う。
リエナ「ここはどこなの?」
ライル「まあ、立ち話もなんだから下で話そう。」
リエナとライルは下に降りるとナユがマリーと共に2階に上がっていった。
ライル「もう。終わったんだな。とりあえず、迷宮に倒れているお前の仲間の大男をここに運ぼう。手伝ってくれ。」
リエナ「分かったわ。」
ライルとリエナは協力して治療を終えたディルガンを傷口が開かないように店の1階まで運び出す。ディルガンが寝るような大きなベッドがない為1階の床で寝させた。ライルはカウンターの椅子に腰掛ける。
ライル「ふぅ。これで、ひと段落だな。そこのイス使っていいぞ。」
リエナ「ありがとう。」
ライル「まずは、自己紹介だな。俺はこの店の店主でライルだ。」
リエナ「私は冒険者…五星輝のメンバーの一人でリエナです。…それでここなんですが?」
ライル「ああ。ここは見ての通り武器屋だ。」
リエナ「確かに棚にたくさん武器が飾ってありますが、本当に武器商人の方だったんですね。」
ライル「信じてなかったのか?」
リエナ「当然です。武器商人とは我々冒険者に武器や防具を提供していただいている商人。その武器商人のあなたが我々が迷宮に出入りし、あまつさえ私達が手も足も出なかった、あの白装束の女と対等に戦っていましたから。もしかして、元々高ランクの冒険者だったりするのですか?」
ライル「すまんな。それに関しては話したくないんだ。」
ライルは懐からタバコを出して近くにあった蝋燭で火をつけ吸う。
リエナ「ごめんなさい。」
ライル「いや、大丈夫だ。誰にでも秘密の1つや2つあるものだ。もちろんあんたにもだ…。」
リエナ「そうね。…。」
ライル「…。」
リエナ「ねぇ。あの鍵は何なの?」
ライル「ああ。これの事か。」
ライルはリュックからさっきの鍵を取り出した。
ライル「これは『零式(TYPE-ZERO)』の道具の一つ『空間鍵(スペース・キー)』と言う。」
リエナ「零式道具?聞いた事無いわ。」
ライル「ああ。呼び方が違かったな。『原初道具』と言えば分かるか?」
リエナ「げ…原初道具!!」
リエナは突然大声を出してイスから勢いよく立ち上がり、驚愕した顔をしていた。すると、大きな声に様子を見にきたマリーが言う。
マリー「ど…どうしました!?」
リエナ「い..いえ、何でもないわ。ごめんなさい。いきなり大声を出して。」
リエナは再びイスに座り込む。
マリー「…一応怪我人もいますので、お静かにお願いします。」
そう言い、マリーは上に戻っていった。
リエナ「冗談じゃないわよね?」
ライル「…ふー。そう聞こえたか?」
リエナ「本当なのね。…いえ、確かに見た事無い道具だとは思ってたけど、想像していたレベルを遥かに超えたわ。」
リエナ(原初シリーズ。古代文献でしか読んだ事のない幻の異物。この世界において所持している者は誰一人としていない。そもそも原初シリーズは一瞬にして国家を跡形もなく滅ぼす程の力を秘めている物もあれば、身につければ無敵の存在となる物もある。どちらにせよ世界を脅かし、所持しているだけだけでも大罪者となり全世界の敵となる代物よ。)
リエナ「それで原初道具って言うのは分かったけど、零式って何の?」
ライル「ああ。原初シリーズを知らないなら無理はないな。零式は5つの原初シリーズカテゴリーの内の1つだ。零式はアイテムを中心とした異物だそうだ。」
リエナ「それの一つがその鍵ってわけね。」
ライル「その通りだ。…ふー。話しておいてなんだが、この事は忘れろ。これはお前達の今後にも影響する事だ。」
リエナ「大罪者になるって事でしょう?」
ライル「知っていたのか。(原初シリーズを所持している者やその情報を持っている者…つまり、原初シリーズに関わっている者とみなされると、全世界から大罪者され指名手配される。捕まったら理由がどうあれ即極刑にされるだろうな)」
リエナ「ええ。…だけど、聞いていたのが私だけで良かったわ。私は魔法で自分の脳内の記憶を一時的に切り離す事が出来るのよ…。本当は忘れた方が良い事だけど…こんな重要な話を聞いておいて、みすみす消す事はあり得ないわ。 」
ライル「見つかったら、最悪お前のパーティーをも危機に晒すことになるんだぞ。」
リエナ「それは私の頭の中を調べられて見つかったらの話でしょ?でも、エルフの知識欲を舐めないでよね。」
ライルはタバコを消して「そうか。」と言う。
すると、2階からマリーが降りてきた。
マリー「ライルさん。…とエルフのお姉さん。お仲間さんの治療が終わったので、一度来てもらえますか?」
ライル「ああ。行こう。」
リエナ「ええ。」
ライルとリエナは2階へと行きティヤ達が寝ている部屋へと行くとナユがイスに座ってライルとリエナを待っていた。
ライル「ナユ。容体はどうだ?」
ナユ「大丈夫。…たいした傷じゃない。唯一深く斬られた鎧の人は腹部が凍結していて。それにピクシーの彼もマリーの特殊能力(Special ability)…全鑑定(オール・スキャン)で魔力枯渇暴走を起こしてたみたいだから、魔力石で回復させているから問題ない。」
リエナ「そう。何から何までありがとう。」
ナユ「…いいよ。ライルに会ったあなた達はラッキーだったわね。ライル。私は部屋に戻って寝る。」
ライル「ああ。悪かったな。」
ナユはイスから立ち上がり、部屋を出ていった。
ライル「これから食事だけど、リエナもどうだ?」
リエナ「ごめんなさい。みんなが起きてからいただくわ。」
ライル「そうか。」
ライルがそう言い、マリーと共に部屋を後にする。しばらくして、ティヤが目を覚ました。
リエナ「ティヤ!」
ティヤ「あれ?…リエナ。…ここは?」
リエナ「通りかかった武器商人の方に助けてもらったのよ。迷宮での事覚えてる?」
ティヤ「微かに…腹部を切られて意識が朦朧としてたから。他の…みんなは?」
リエナ「無事よ。この部屋にはいないディルガンも腹部を斬られて重症だったけど、治療してもらったわ。」
ティヤ「そう。良かった。」
その後、ヴァン・ ファトンが目を覚まし、リエナが原初シリーズの話は伏せて事情を話す。
ヴァン「クソ。あの女。次に会ったら絶対倒す!…いてぇ。」
リエナ「騒がないで。あなたも斬られて軽傷だとはいえ闘獣化してなかったら、重症だったのよ。」
ファトン「まぁ。命あっての事だ。あの状況で助かったのは奇跡だな。」
すると、部屋にライルとマリーが入ってきた。
ライル「目覚めたんだな。」
ティヤ「あなたは?」
リエナ「こちらが、さっき話した武器商人のライルさんとその助手のマリーさん。」
ティヤ「そうか。あなたが命の恩人。この度は危ないところを助けてもらい…メンバーのリーダーとして礼を言う。」
ライル「ああ。無事で何よりだ。下にいた鎧の男も今しがた目覚めたところだ。事情は俺が話しておいた。」
リエナ「何から何まで感謝します。」
ライル「気にするな。食事を持ってきたから、食べてくれ。話はその後だ。」
マリーが後ろからトレイカートに乗せた料理を運んできてみんなに配った。ティヤ達は配られた料理を食べ、英気を養う。
食べ終わった後、マリーは食器などを回収して部屋を後にした。
ライル「さて、どこから話そうか…。まずはこの迷宮に来た理由は?」
ライルの質問にティヤが答えた。
ティヤ「冒険者協会支部長からの依頼で調査しに来たのよ。この迷宮で高ランク冒険者が死にすぎているのを危惧して私達五星輝に依頼を出したんでしょうね。」
ライル「…お前達が目を覚ます前に、俺とマリーで迷宮を一通り見てきたが、その死んだ冒険者達はミノタウロスにやられていたそうだ。」
ヴァン「根拠はあんのか?」
ライル「廃遺跡エリアの奥に人骨や魔物の死体などがいくつか存在していた。それに、リエナから他の高ランク冒険者も調査に来て殺されていると聞いた。そして、その先に地下があり、下に降りると迷宮核(ダンジョン・コア)があった。俺が見た中でミノタウロスが最も強いからだ。」
ティヤ「なるほど。階層自体は全然なかったのね。それなら合点がいくわ。ミノタウロス以外に高ランク冒険者を殺す事は難しいという事ね。」
ライル「その通りだ。俺はミノタウロスがこの迷宮ボスを殺して縄張りにしていたと考えている。現に俺とマリーで見てきたが、魔物と全く遭遇(そうぐう)しなかった。」
ヴァン「…それに、白い女は自分でミノタウロスを解き放ったて言いやがった。」
ティヤ「それに彼女自身も魔物ではなく人の見た目をしていたに、ミノタウロスに襲われてなかった。」
ヴァン「言われてみればそうだな。」
ディルガン「確かに人間にしてはやたら強かったからな。」
ライル「あいつは正真正銘の魔物だ。」
その場にいた全員が驚いた表情でライルを見た。
リエナ「なぜ、そう言い切れるのですか?」
ライル「…俺が何度も似たような奴らと戦ってきたからだ。」
ティヤ達「!!」
コメント
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うわ、この第3話、一気に世界観が広がった感じがしますね!黒コートのライル、ただの武器商人じゃなさそう…。閃光弾で目くらまししてからの戦術、めちゃくちゃかっこよかったです。しかも原初道具(零式)とか出てきて、設定が一気に深掘りされていくのが気持ちいい。 あと、白装束の女が「正真正銘の魔物」って言い切ったところ、ゾッとしました。今までの伏線が少しずつ繋がってきて、続きがすごく気になります。ライルの過去とか、この迷宮の真相とか、早く知りたいです!
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