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同居は契約制。

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同居は契約制。

3 - 第3話 日差し

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2025年06月04日

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3話 日差し

5月――まだ朝晩は肌寒いけれど、ふとした風に春の匂いが混じりはじめていた。

僕の部屋のカーテンの隙間から、やわらかな朝日が差し込んでいる。


ベッドの下、固めのラグの上で僕は目を覚ます。頭が少し重く、首筋がじんじんと痛む。昨夜の出来事を思い出し、頬が微かに熱を帯びた。


「……ふぁ……」


伸びをしようとした瞬間、視界の上方にふわりと影が落ちる。


──。


ベッドに寝かせたはずの彼が、なぜか体の上に乗るような形で、両腕を回して僕にしがみつきながら、すやすやと寝息を立てていた。


「……は、え……えぇっ!?」


僕は驚きすぎて、思わず彼の体をばっ!と振り払ってしまった。勢いに押されて、彼はベッドの反対側にごろんと転がる。


「いたっ……な、何すんの……」


彼は目を細めながら、寝ぼけたようにぼそりと呟いた。目元をこすりながら、ぼーっとした顔でこちらを見つめる。


「な……なんで、あなたが……ベッドにいたんですか!? 僕、確か……ソファーに……」


「んー……太陽の光、イヤだったから……勝手に入った……」


ぽそ、と返ってきた声に、僕はしばし固まる。


「そ、そんな理由で……勝手に人のベッドに……」


彼はふにゃ、と口元を緩めて小さく笑った。


「だって、あったかかったし……君の匂い、落ち着くし」


「……っ、///」


顔が一気に赤く染まる。言い返そうとして口を開いたものの、うまく言葉が出てこなかった。


「ねぇ、今日も血……」


「だ、ダメですっ!」


「あ、断るの早い……」


そこでふと、僕は気づいた。

彼がまだ布団を肩までかぶって、まるで日差しから逃げるように身を丸めていることに。


「……そんなに、日差し……苦手なんですか?」


僕が尋ねると、彼はほんのわずかに顔をしかめた。


「……ちょっとどころじゃない、痛いの。ジリジリして、皮膚が焼けるみたいに」


そう言って見せた首筋は、光に触れかけた箇所がうっすら赤くなっていた。

まるで日焼け、いや――軽いやけどのようにも見える。


「それって……普通じゃないですよね」


僕は思わず、その小さな肩に手を置いた。

驚くほど冷たい感触が、じん、と掌を包む。


「……っ!」


氷のような体温。

寝起きの人間の温度じゃない。まるで、血が通っていないみたいに――


「……?」


「……っ」


言葉に詰まりながらも、僕の中で確かな“違和感”が形になりはじめる。


(この子……人間じゃ、ない……?)


違和感が確信に変わるその時は、もうすぐそこまで来ていた。

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