テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「Minato! Are you free today?」
(湊!今日は暇?)
ある休日の朝。
天宮湊のスマートフォンに、
エマからメッセージが届いた。
湊は画面を見るなり、小さくため息をつく。
「……嫌な予感がする。」
数分後。
待ち合わせ場所へ向かうと、
そこにはいつものように笑顔のエマが立っていた。
「Good morning, Minato!」
(おはよう、湊!)
「おはよう。」
「Today, we are going on an adventure!」
(今日は冒険に行くわよ!)
「冒険?」
エマは一枚の観光パンフレットを取り出した。
そこには、大きく商店街の写真が載っていた。
もちろんエマには読めない。
しかし、写真の中にソフトクリームを持った人が写っていたのだ。
「I found this yesterday.」
(昨日これを見つけたの。)
「And I saw ice cream!」
(それにアイスが写ってた!)
「だから行きたいってこと?」
エマは勢いよく頷く。
「Exactly!」
(その通り!)
こうして二人は商店街へ向かうことになった。
◇◇◇
「Wow…!」
(わぁ……!)
商店街へ到着したエマは目を輝かせた。
左右には様々な店が並んでいる。
和菓子店。
*
*
たい焼き屋。
*
*
団子屋。
*
*
果物店。
そして――。
「Ice cream!」
(アイス!)
エマは一軒の店へ一直線に走っていった。
「ちょっ、エマ!」
湊が慌てて後を追う。
その店では、季節の果物を使ったソフトクリームが販売されていた。
今日のおすすめは、桃ソフト。
「One, please!」
(一つお願いします!)
店員は笑顔で頷いた。
数分後。
エマは桃ソフトを受け取った。
「It smells wonderful…」
(すごくいい香り……。)
一口。
「……!!」
「Delicious!」
(美味しい!)
「It tastes exactly like peaches!」
(本物の桃みたい!)
エマは夢中になって食べ始めた。
「そんなに美味しい?」
湊が尋ねると、エマはソフトクリームを差し出した。
「Try it!」
(食べてみて!)
「え?」
「Come on!」
(ほら!)
突然のことに戸惑いながらも、湊は一口食べる。
「……確かに美味しいな。」
「Right!?」
(でしょ!?)
エマは満面の笑みを浮かべた。
その後も二人は商店街を歩き続けた。
抹茶ジェラート。
黒蜜きなこアイス。
ミニかき氷。
冷やしパイン。
気が付けば、エマの手には大量のメモが増えていた。
「You really write down everything.」
(本当に全部メモするんだな。)
湊が翻訳アプリを通してそう伝えると、エマは真剣な顔で頷いた。
「Of course.」
(もちろん。)
「Every ice cream has its own charm.」
(アイスにはそれぞれ違った魅力があるもの。)
「I don’t want to forget them.」
(忘れたくないの。)
湊は少し驚いた。
エマにとってアイスは、ただの食べ物ではない。
一つ一つが大切な思い出なのだ。
「……そっか。」
すると、エマが突然立ち止まった。
「Minato.」
「ん?」
「Thank you for coming with me today.」
(今日は一緒に来てくれてありがとう。)
「I had a lot of fun.」
(すごく楽しかった。)
湊は少し照れくさそうに笑った。
「それなら良かった。」
もちろんエマには分からない。
だが、その優しい表情を見て、
エマはなんとなく意味を理解したのだった。
商店街を吹き抜ける夏の風は、
少しだけ涼しく感じられた。
コメント
1件
わあ、今回は商店街のアイス食べ歩きなんですね🍦✨ エマさんの「アイスにはそれぞれ違った魅力がある」っていう台詞、じんわりきました。一つのアイスもちゃんとメモして味わう姿勢、素敵です。湊くんの「嫌な予感」から始まったのに、最後は優しい表情を見せるギャップがたまらない……夏の風の一文で締めるのもおしゃれでした!
未熟者が作った物語
247
未熟者が作った物語
159