赤裸々にしてやる必要などありゃせんよ！お前に問う資格など有り得んからだ。……そうだな私にも良く分からないから聞いても無駄だろうね＜そうだ。さてさて、そろそろ時間が迫ってきたようだから最後の問いかけをしようか まず最初に、私の名前は黒須左京（くろす・さとる）という……この名前に聞き覚えはあるかね？ いいや……どうでもいい名前だった気がするよ＜その通りだ、私にはどうでもよかったことだよ。次だ…………これから何が起こるのか知っているか？ いいや……知らない方が幸せかも知れないぜ？ そうかもしれない。でも興味があるんだよ＜その言葉は本当かい？ 勿論本当だ！嘘偽り無く本当の事だよ。本当に心の底から知りたいと思っているのだろうか？……無論だとも！！（何故か私の口元からは笑みが零れ出ていた……）

そうかい……なら教えてあげよう……今から始まることは戦いでありそして君の心を覗く作業でもあるんだ。……私達の目の前で繰り広げられているあの光景はどう見えるだろうか……？……アレはこの世でもっとも醜悪なるものだぁッ……いいかいよく見ておき給えぇ～……そしてこれから行われる儀式を理解せよ！そしてあの忌まわしき悪魔めを倒すために我々が為すべきことを理解するといいぃッ……あれは神罰の雨だった……神の怒りに触れた者は神の代行者に裁かれるのが運命というものさぁ！さっきまで行われていた聖戦を見なかったのか！？……あれは神々の黄昏であった……その結末を見たかね！？……あれこそが終末の世界の姿だッ！……いいや、違うぞ。アレはまだ序章に過ぎず本当の終末はもっと先に来る筈なんだ……あの戦いを見てみろ！神の力を得た者の恐るべき力を垣間見ることになるぞ……おおおっ！！！……

「お、俺はいったい……」

俺の名前は【田中裕一】だ。職業は無職、年齢は24歳。身長173cm体重65kgの平凡な顔立ちをした一般人だ。特に何か秀でている特技もなく学生時代も無難に過ごしてきたつもりだ。

だがしかし……そんな俺にも夢がある。いや……夢と言うより願望に近いかもしれない。とにかく俺はとある場所に行きたいのだ。

それはVRMMORPG【アナザーワールド・オンライン】通称【AWO】の世界に行ってみたい。

そもそもなぜこんな話になったかというと……実は俺こと田中裕一は先日【AWO】をプレイしていた親友がゲーム内で死んだという連絡を受けた。死因はゲーム内で悪さを働いていたプレイヤーとPK戦になり返り討ちにあったらしい。このゲームでのPK行為は運営により禁止されている行為でありアカウント停止等の重い処罰が下る。だがそのプレイヤーはチートを使ってゲームを操作していたらしく通常の状態ではないからセーフと言って運営に訴え出たらしい。結果論としてその訴えは認められてしまったのだがその代償としてそのプレイヤーは運営の手によって永久追放されてしまった。

友人は今現在進行形でショックを受けている為かとても暗い顔をしている。俺は友人に励ましの言葉をかけつつ今後どうするか相談することにする。まず俺は自分が何者であるかを確かめたいと思うので、そのために他の奴らも俺と同じく異世界転生者ではないかと考えている。また何かしらの事件に巻き込まれてしまった可能性が高い。