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遮断機は降りた
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登場人物: 星導 小柳 ?? (敬称略)
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でびらび時代少々関係あり
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足音。
駅までの道。
夜遅いのに、遠回りの道。
外灯と古い自販機だけが頼りな程暗い道。
カンカンと交互に赤く光る遮断機が降りる。
俺は足を止めた。
前を歩く彼らは歩き続ける。
彼らには俺は見えていないのだろうか。
よろよろとした千鳥足で、安定しない平衡感覚を保とうとしている。
よろめく度さらさらの彼の髪が揺れて、その細い脚が踏ん張る。
彼よりも少し背の低い男はそれを頼りにもたれている。
そんな彼らが視界から消えた。
目の前が一色に染まる。
突風が吹いた。
かと思えば彼らがまた現れる。
重なる二つの影が別つ瞬間だった。
再び遮断機が動き出した。
俺も歩き出す。
二人はその場で立ち止まっている。
絡み合う二人。
懐かしい匂いが鼻を掠めて、まるで人間みたいだと自称的に思った。
俺がもう少しで辿り着く、という所で男が彼に笑った。
彼は少し俯いたが、耳が微かに赤かったのは、寒いせいだろうか。
二人は抱き合うようにして甘く光る建物に吸い込まれて行った。
俺を独りにして。
そこでやっと分かった。
俺は死んでしまったのだ。