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星霞 𓂃 𓈒𓏸
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紫廻露(しえる) 受験生☆
282
のあ
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なんとか挨拶を終え、生徒一人一人の自己紹介の時間になった。なんとも個性的な自己紹介が多い中で例の子の番がやって来た。
「私の名前は沢渡陽菜です!!!
好きなことは友達と遊ぶことです!
これから迷惑かけると思いますが、よろしくお願いしまーす!!!」
と元気の良い声が教室に響いた。動揺も大きかったが、すぐに動揺の声が歓声に変わった。まるで漫画やドラマの主人公のような晴れ晴れとした自己紹介に感心しながらも千里はみんなの自己紹介で発言したことをメモしていく。静かな子、うるさい子、優しそうな子、妖艶な子と様々な子達が居て覚えるのには苦労はしなそうだ。全員の自己紹介が終わると千里はまた黒板の前に立ち、生徒に体を向ける。
「今日は自己紹介と全校集会のみなので…気を楽にお願いします…では…体育館に行きましょう…」
頑張って声を出したつもりなのだが、後ろの席の子達は聞こえておらず、ハテナの表情をしている。後ろの席にバケツリレーの形式で千里の話が伝達されていく。自分が情けない…
生徒達が私を先頭に進んでいく。プレッシャーもあるが、自分がこの子達の教師になるんだという実感が湧いてきた。
体育館に着き、生徒達と別れ、先生方の並ぶ列に並ぶ。
「新任になりますが、クラスは大丈夫そうですかね?」
校長が話しかけてきた。かなり歳を取ってそうな装いだが、喋り方には威厳を感じられる。
千里は慌てて
「どうでしょうかね…個性的な生徒さんが多くて私がまとめられるかどうか…」
と返事をした。
校長は、自信を持って
「大丈夫ですよ!私が選んだ方なんですから!」
と答えられた。「そうですかね…?」と不安混じりに返事をしていると、集会の時間になっていた。
生徒会長の司会を中心に集会は行われ、校歌斉唱、本校心得、校長の話、新入生代表挨拶という流れで進んでいく。
特に何のハプニングもなく新入生代表挨拶まできた。挨拶は受験でのいちばん点数が良かった生徒が行うらしく、長谷川亜子という生徒が選ばれた。壇上に立ち、マイクを持つ。背の小ささから口から下が隠れてしまっている。可愛らしさに生徒も先生方も癒される中、喋り始める。
「皆さんのお時間を頂き、この場で話す機会をもらえたこと、大変嬉しく思います。私がこの場に立ち、話すことができるということは……私の母や父がここまで育ててくれたことの賜物であると思います。私を含め新入生になる皆さんには先生方や保護者の方々への感謝を忘れないように過ごして行きましょう。
新入生代表1年A組長谷川亜子。」
素晴らしい挨拶にその場にいる全員が拍手を鳴らした。千里はあんな小さな子がここまでしっかりとしたものをするとは思っていなかったため、少々驚いた。
しかし千里は亜子の表情の微細な変化に若干の違和感を感じた。ほんのわずかだが、表情に曇りがあった。……………気がした。
すべてのプログラムが終わり、千里は生徒に教室に戻るように指示をする。あとは楽な作業しか残っていないと安堵しながら千里は生徒の最前線に再度立ち、教室に誘導した。
生徒の全員が教室に集まったことを確認でき次第、千里は
「今日はお疲れ様でした。
気をつけて下校してくださいね。」
と帰りの合図を出した。
またも後ろには聞こえない生徒がいたようだったが、今日仲良くなった同士が情報を伝達し合い、徐々に帰り始めた。千里も家に帰ったら発声練習をしないとな…と少し落ち込みながら、メモ帳に書いて、生徒の全員が帰り終わったのを確認し、教室を後にした。
自宅に帰り、メモ帳を見る。生徒達の自己紹介の際に聞いた事はすべてメモ出来ている。メモを取ることは千里の昔からの癖であり、ルーティーンだ。生徒一人一人にどのような関わり方が最適なのか、どうしたら学校生活がより良くできるかなどを千里なりに考える。千里が集中している間に、 時計の時針が12に近づいていく。千里はそれに気づき“なにか”に怯える。
「今日は誰も触っていないはず………
だから、きっと………大丈夫……」
千里が“なにか”に怯える中、時針が12に到達した。その瞬間、千里の世界から何もかもが消えて、あるものが見えてきた。千里が恐れた“なにか”が来てしまった。だが、千里は見たくなくても、見なければならない。それが生徒を守る者の役目。
追憶:沢渡陽菜
トラウマ:いじめ
コメント
1件
読了したよ!第3話、千里先生の声が小さくて後ろの席に伝わらないところとか、生徒同士でカバーし合う感じがすごくリアルで良かった。陽菜ちゃんの元気な自己紹介めっちゃ印象的だし、ラストの「追憶」で雰囲気一変したのが気になる…!いじめのトラウマがどんな形で出てくるのか、続きがめっちゃ気になるわ。千里先生が怯えてる“なにか”も含めて、物語の謎が少しずつ見えてきそうでワクワクする🔥