⚠︎学パロ・左右曖昧ですが製造ラインがふうりも(💚💙)です・解像度がゴミ・文才もゴミ・なんでも許せる方向け
きっかけは単純で。
幼稚園児の頃から、親同士が仲良いことがきっけに 俺達も仲良くなって。そのまま 小学校も、中学も、高校も。ずっと、ずっと一緒だった。
クラスが違う とかならまだ分かるけど、小学校〜高校までずっとクラスが一緒だった。多分、そういうことがあってかなのか分からないけど、ふうはやに段々と好意を寄せていた。自覚したのは中学三年生の冬頃で、受験の邪魔をしたくもないし 高校が違うだろうからもうきっと会うこともないだろうと告白はしなかった。
……まぁ、さっきも言った通り 高校も一緒だったんだけどね。
高校一年生になって、新しいクラスメイトや、新しい先生や、いろんな先輩たちがいて。
小学校も、中学も、なんやかんやずっと一緒にいたけれど きっと高校はそんな上手くいかないだろうな、と思った。もとを辿れば俺達は親同士が仲良くて、そのまま俺達も‥なんて、いかにも幼稚園児で、幼馴染で⋯腐れ縁っぽい理由だ。
ちなみに、結果は思っていた通りだった。一年生も、二年生も、お互いに違う友達を作って、そのまま 二人はいつの間にか話す事も、連絡を取ることもなくなっていた。
友達がいることはとてもいいことだし、ありがたいことだけど なんとなく、心がだんだん冷たくなっていくのが分かった。
入学当時、今度こそは!っていつかいつかとふうはやに告白する機会を疑っていた。だけど、夏くらいからずっと 今じゃないな⋯ってずっとずっと、迷って迷って⋯
もう、高校三年生の 冬頃になっていた。
また 進路について話し始める時期だ。自分はいつも臆病だな、って思ってしまう。
だって もうこんな時期になってしまったら、⋯しかも、疎遠になってしまったら。中学の時のように
諦めるしかないから。
雪が降る町に、通学路でみんなが寒い寒いと喋りながら マフラーや手袋をつけている。もちろん、俺も 例外ではなかった。
教室につくなり、みんな「あったけー!!」「暖房神すぎ〜」と発しながら、席について鞄を片して、暖房があるところに集まる。
教室は確かに暖かい。だけど、自分だけが どこか寒く感じていた。
そっか、もう冬なんだって 改めて実感した。
その日は席替えで
⋯おそらく3年生最後の席替えだ。
席替えはくじ引きで決めて 1〜20の番号が書かれた紙が箱の中に入っている。
席順は、窓側の左から、縦列に12345⋯と割り振られている。
わかりやすく言うと、5、10、15、20の一番うしろの席は大当たりなのだ。
欲を言えばその一番後ろの席がいいな、と思いながらくじを引く。
自分の席に戻り、紙をめくる。その紙にはなんと
「⋯10番!!!!」
驚きで思わず声をあげる。友達がぞろぞろと
嘘だろ!? とか、交換してくれー とか、ふざけた事を言い合う。そんな風にワチャワチャしている中、自分だけがホッと安心するように息を吐く。
みんながくじを引き終わったみたいで、机を移動させる。
キーキーと床と机が擦れる音が教室中に鳴り響く。皆が自分の新しい席へ移動し、着席する。もう卒業までは安泰だなーなんて思っていたら、隣の席の人が手を上げて先生に話しかける
「先生!僕、目が悪いので前の席行きたいです!」
さっきも行った通り、俺のいる席は一番後ろで⋯目が悪い人にとっては相性が悪い訳で⋯しかも、その手を上げた奴はいわゆる真面目くんだ。前の席にも行きたがるだろう。
先生がうーん、と頭で必死に解決策を考えていると、前の席からも手が上がる。その手を上げた人は、妙に見慣れた緑髪と緑のカーディガンで、教室中に響きやすい元気な声で話し始める。
「じゃあ俺と席変わろ!俺の席一番前だし、黒板も見やすいから。」
隣の席の人も「ほんと!?」と嬉しそうな声色で、二人は席を入れ替える。
神様がいたとすれば、なんてイジワルなんだろう、と思う。もう諦めようって決めたばかりなのにさ。
この隣の席に来た⋯ふうはやに、告白する事を。
ふうはやは机を到着させ、席に座るなりこちらを見て話しかけてきた。
「それじゃ、今日からよろしくな。りもこん」
「どーーーしよーーーーーー⋯⋯!!!!」
家に帰り、すぐに自分の部屋に行き 制服を脱ぎもせずベッドにダイブした。そりゃしたくもなるだろう。告白を諦めた日に、その相手が隣の席にやってくるのだから。
3年生の冬だから 当たり前に進路だとか、そういうことを真剣に考えなきゃいけない時期だしふうはやの邪魔をしたくないっていうのは勿論、本心だ。
しかも、最近まで会話もしていなかったのだ
⋯だけど、ちょっとだけ 思ってしまう。
「⋯もしかしたら、告白とか⋯⋯出来ちゃったり⋯ なんて。」
⋯⋯
「⋯一旦冷静になろ。制服着たままだし⋯」
制服から私服に着替え、夜ご飯も食べて落ち着いて、また同じ事で悩む。⋯悩んでしまう。
パッと、忘れられたらいいのだろうけど どうにも頭から離れない。何にも関係ないことをしていても、何故かフラッシュバックしてしまって思い出して⋯そのままズルズルとまた同じ事で悩んでいる。
席替えをして初日だし、もしかしたら隣の席ってだけで何も話さないかもしれないし。うん、きっとそうだ!
そう自分に言い聞かせて、その日はいつの間にか寝ていた。
朝起きて、制服に着替えて、朝ごはんを食べて、鞄を持って、家を出る。
外は生憎寒いまま。だけど、昨日とは違って 何故か胸が暖かく感じた。
いつの間にやらもう校門の前で、みんなみんな いつも通り
「寒いー」とか、「早く教室いきてー」とか、そういう事ばかり話している。
その様子を一人で見ながら玄関に入ろうとすると、後ろから肩をトン、と叩かれる。
驚いて咄嗟に振り返ると そこにいたのはふうはやだった。
「おはよ、りもこん!!」
「⋯お、おはよ⋯。」
ふうはやと隣に並びながら玄関に入り、靴を履き替える
「⋯珍しいね、ふうはやが一人で登校とか。しかも、俺に話しかけるなんて」
「あー⋯実は今日ちょっと寝過ごしちゃってさー 通学路に知り合いだっっれもいなかったし⋯」
「なるほどね⋯また深夜ゲームしてたとか?」
「⋯バレた?」
「やっぱり。」
二人で、笑って話しながら階段を登る。こうして話すのは中学ぶりで、懐かしくも ちょっと嬉しくなった。
今日からずっとこうやって二人で喋れたらいいのにな、なんて欲張ったことも考えて。
ふうはやと喋っていたら いつも長く感じてた教室まであっという間で、きっと教室に着いたらふうはやも友達と話し始めるだろうな。⋯もう少し、話していたいのに。とか、また欲深いことを考えてしまう。
⋯きっと、卒業したらこういう機会もなくなってしまうんだろうな。そう思ったら、胸がチクッと痛くなった。
ガラガラガラ⋯と教室の扉を開き、みんなに挨拶する。
席替えした事を忘れて、前の席に行きそうになったりもした。席替えあるあるだよなー⋯なんて思いながら、新しい自分の席へ着く。
鞄の中身を整理して、ホームルームが始まるのを待つ。前の席では遠くて見れなかった 白くなっている校庭を眺めながら。
チャイムが鳴るまで結構ギリギリな時間だから校門の人通りは少ない。けれど、雪はポツポツと降り続けている。
教室は、人が集まってきて段々とガヤガヤしていく。友達は、暖房の前へ行っていて こんなに騒がしい教室で 一人、静かにいるのはなんとなく 肩身が狭く感じる。
「…ね、りも」
背後から急に声をかけられる。ずっとボーッとしていたから、気配にも気づけなかった。
「…どうした?」
「え?あーいや…… …」
「……なんかやらかしたの?」
「ちげぇよ!?俺の事なんだと思ってんだよ!!」
二人で、ケラケラと笑う。
「……で、どうかしたの?」
「いやさ…今日一緒に昼ごはん食べない?」
「えっ…?いいけど……友達は?大丈夫なの?」
「あー……実は全員、違う人と食べるみたいでさ…なんか一人で食べるのもアレだなーって思って。」
「…俺が友達と食べる可能性あったのに?」
「りもこん、よっぽどの事なければ一人で食べてるでしょ」
「それはそうなんだけど…なんか人聞き悪……!!」
「ごめんて笑」
「…あ、ごめんちょっとトイレ行ってくる」
「ん、いてらー すぐ戻ってこないとHR始まるぞ」
「分かってるってー」
バタン…と、トイレの扉を閉める。
「………」
いや…いやいやいや……
そりゃ、昨日もしかしたら?とか思ったよ、思っちゃいましたけども……
こんな上手くいく事とかあるかなぁ……!?
少女漫画くらいでしかこんな展開見た事ないんだけど…!?!?
お、応援されてる!?もしかして恋のキューピットとかに応援されてる!?
………いや、でもなぁ…
一度はハイになってしまう。けど、すぐに落ち着いて 思い出してしまう。
“ふうはやの邪魔をしたくないから”諦めた事を。
…そう、邪魔をしたくないのだ。
ふうはやはきっと、この先 色んな道があって、色んな事があって、色んな出会いがあって。だから、ただ一人、自分のせいでその道を、出来事を、出会いを
邪魔してしまうのではないか、って。ただそれだけが怖いんだ。
昨日思った通りだ。やっぱり、自分は臆病者なんだ。
……そりゃ、卒業までを邪魔しない方法があるのなら その策を実行したいけど…
……卒業までを…邪魔しない、なら。
卒業式の直後って、もう卒業した判定にはなるんだよな…
なんなら進路相談とかも、もう終わってる訳で…そして、今まではなんやかんや一緒だったけど きっと進路は別れるだろうから……
…そっか、なるほど。
卒業まで邪魔しないで、ふうはやの将来も邪魔しない方法…
卒業式に、想いだけは伝えてしまえば… 別に 付き合うとか、告白する訳じゃなくて、ただ 本当にただ、愛を込めるだけ込めて 想いだけを伝えてしまえば
全部、解決するのかも。
策を思いついた瞬間、キーンコーンカーンコーン…と、学校中にチャイムが鳴り響く。すぐに用を済まして、教室へ向かう。
その時の心は、足取りは、いつもより軽く感じた。
「りーもこん!!昼たべよ」
「ん、ちょっと待ってね 弁当出す」
あれから数時間経ち、あっという間にお昼時だ。この時間はみんな購買やら食堂やらへ行き、教室は人が少ない。先生も、職員室で食べるから教室はもちろん、廊下にもいない。
「どうする?どこで食べる? …って言っても、どうせ食堂とかは人で埋まってるし、屋上は論外だしな……」
「んー…別にいいんじゃない?教室」でも。
「…ま、それもそうか!」
どうせ隣の席だ。どこで食べても位置関係は変わらない。
…思い返せば、こうして一緒に昼ごはんを食べるのも中学生ぶりだろうか。
中学の頃は、給食が出てたし、そもそも 一緒にいたから それが当たり前だった。 その当たり前だった事が今や懐かしく思えてしまうのは、この二年間 如何に疎遠だったかを物語らせる。
「そういえば五限目ってテストだよな?数学の」
「うわ、そうじゃん あんま勉強してないんだよなぁ⋯」
「学生が一番信用してはいけない言葉じゃん」
「や、ガチだって。」
そうやって、他愛もない話をしながらご飯を食べる。二人共、喋るのが二年ぶりだなんて思わせないほど、いつも通りに 平然に。
そうして、二人共弁当が空になり、片付けをして、次の授業の準備をする。
「⋯ね、りもこん。」
「⋯なに?」
「⋯最近、あんま話せてなくてごめんな。」
「⋯何を今更。 別に、こうなるかもって思ってたし、気使わなくて良かったのに。」
「⋯口ではなんとでも言えるからなー」
「お前⋯人が気使ってやってんのに!?」
「ごめんて笑
⋯でも、安心したわ。」
「⋯なにが」
「⋯りもが数年前からずっと、なにも、変わってなくて。」
「⋯」
咄嗟に、何も返すことが出来なかった。俺だって、ふうはやが喋ってない間に何も変わってない事には安心していた。ただ、それを言うにはあまりにも自分は素直ではなくて⋯ただ、静かに 教室には時計の針が進む音だけが鳴り響き、
そのまま二人共何も話すことなく、始業のチャイムが鳴り始める。
「⋯で、ここはこういう風に⋯」
キーンコーンカーンコーン⋯
「おっと⋯もうチャイムが鳴ってしまいましたね。それでは、今日はここまでです。
起立、これで6限の授業を終えます。ありがとうございました。」
『ありがとうございましたー』
終わりの号令をして、皆すぐに帰りの支度をしたり、一箇所に集まったりする。
自分も、すぐ席に座り、帰りの支度をして 自分の家に帰ろうと教室を出ようとした。
「あ、りもこん!!ちょっとまって!!」
聞き慣れた元気な声に呼び止められ、足を止める。
「今度はどしたー」
「一緒に帰らん!?どうせ帰り道一緒だし!!てか友達全員委員会とか係で今日俺一人なんだよー⋯」
「あー⋯なるほどね。別にいいよ」
「よっしゃ!!じゃあちょっとまってて 今支度するから」
「ん、じゃあ先教室出とく」
「あいよー」
ガラガラガラ⋯バタン⋯と音を発し、教室を出る。
「⋯⋯」
まぁ、確かにさ。昨日もしかしたら、なんて思ったし、何なら告白するとも決めたけどさ⋯
こんなに二年間なかったことが続いたら心臓にも悪い訳で⋯!?
ふうはや、急にどうしたの⋯!? 二年間一回もこんな事なかったじゃん⋯!?
そりゃ通学路一緒だから通りすがる事とかはあったけど話しかけるとかはなかったのに⋯
話しかけるどころか一緒に帰るって⋯何があったんだよ!?
⋯⋯てか、ふうはやの友達って⋯なんか係とか委員会とかしてたっけ⋯
「ごめん、お待たせ!!帰ろ!!」
「ん」
⋯⋯まぁ、細かい事を考えるのはやめよう!!
「わ、外さむ⋯」
「わかる⋯ホッカイロとか持ってくれば良かった。」
「コンビニで買おっかな⋯」
「今この瞬間の為だけに⋯?」
「⋯たしかに、やめとこ。」
また、馬鹿みたいな話をしながら二人で雪道を歩く。こんなにも寒いと思考も落ちてしまうのかもしれない。
雪はずっと降り続けていて、卒業式までに この雪は桜に変わるのだろうか。なんてことを考えて 二人、人通りは少ない通学路を歩く。
明日も、こうだったら 嬉しいのにな。
「あっ、俺ん家ここだから。」
「うわ、懐かしー よく来てたわ」
「別にいつも見てるだろ、通るし笑」
「それはそう⋯笑」
「⋯それじゃ、また明日ね りもこん」
「!
⋯また明日。」
がチャ、と扉を開き、家の中へ入っていくふうはやの後ろ姿を眺めながら
また明日、という言葉が嬉しくて、なんだか照れくさくて。
顔が赤いのはこれのせいなのか、寒さのせいなのか。分からないまま、自分も 自分の家へと帰る。
ピピピピピ⋯と部屋中にアラームの音が鳴り響く。
どうやら家に帰って、自分の部屋に行くなり、すぐ寝てしまったようで
制服は着たままだし、いつもよりお腹が減っている。
生憎、昨日は課題がなかったけれど⋯もし課題があったらと思うと恐ろしい。
リビングに行くと、ご飯と手紙があった。親はもう仕事に行ってしまったらしい。
『昨日の夜ご飯です。温めて食べてね。』⋯と。
昨日は食べれなくて申し訳ない気持ちになりながら、レンジで温め、ご飯を済ます。
すぐ自分の部屋に戻り、支度をして玄関に行く。
「⋯行ってきます。」
通学路を歩いていると、前にはふうはやの後ろ姿があった。
話しかけようと思ったけれど、あまりに距離が遠く、雪道で走る事も難しいので諦めていたら、ふうはやが俺に気づいて手を振り、足を止めている。
待たせる訳にも行かず 急ぎ足で近寄る。
「おはよ!!」
「おはよー。」
「今日の気温2℃らしいわ」
「うわ、寒ー⋯」
二人してプルプル震えながら校門へ着く。
ふうはやはそろそろ友達と合流するかな、と思い 先に玄関へ行こうとしたけれど、どうやらその様子ではないっぽく 同じ足並みで玄関に着いた。
⋯あれ?昨日と同じな気が⋯ と気がついたけれど、思い過ごしかもしれない。と思い、その場は一旦スルーした。
けれど、教室につくなり
「今日も一緒に昼食べてくんね?」
「今日も一緒に帰らん?」
⋯やっぱり、昨日と同じ⋯
⋯まぁでも、どうせ数週間したらこういうこともなくなっているだろうと踏んだんだけど⋯
時期は、雪も溶け始めて、桜も咲きかけている、卒業式前日。
「りも!!一緒に帰ろーぜ」
相も変わらず 一緒に帰っているのは何故でしょうかね⋯
「もう明日卒業かー⋯」
「なんか⋯色々あった3年間だったわ」
「な、分かる。」
「⋯⋯ね、ふうはや」
「どした?」
「卒業式の後さ、時間ある?数分だけでいいんだけど⋯」
「⋯⋯空いてるけど、なんかあんの? 」
「⋯ちょっと、話したいことがあって」
「なになにー?告白?笑」
「ふざけんな!笑」
⋯正直、似て非なる物だ。 それは告白というにはあまりに不格好で、感謝の言葉と言うには、あまりに邪で。
何とも言えない、ただ ずっと閉まっていた言葉達を、一方的にぶつけるだけ。
そんな事、してもいいのか。なんて、この数カ月間何回も、何十回も考えたけれど、これ以上の解決策は思いつくことができなかった。
進路は違うから、いっそ 当たって砕けろ!って事で自分の感情は押さえつけている。
⋯本当に、これでいいのかは 誰にもわからないけれど。
卒業式が終わり、みんな泣きながら教室に戻ってくる。先生から話を聞いたり、応援の言葉をもらったり、クラス全員 一人ずつ一言喋ったり、記念写真を撮ったり。
そんなこんなあって、卒業式は一通り、無事に終わった。
みんな玄関で家族や友達と写真を撮ったり、話したりしているだろう。
だから、今 3年生の教室にいるのは 俺と、ふうはやの二人だけ。
二人共、何も話さず ただ、少し桜色に染まった校舎を眺めている。
「⋯君 卒業式中、泣いてたでしょ」
「うっわ、見てたのかよ 恥⋯」
「ふうはやの後ろにいたからねー⋯そりゃ、見もするよ」
「今だけあの並びにキレそうだわ⋯」
「⋯⋯まぁ、もうあの並びをする事もないんだけどね。」
「⋯うん
⋯そんで、話って?」
「⋯」
「12月くらいさ、最後の席替えしたじゃん。
あの時、隣にふうはやが来た時 すっごいびっくりしてさ。⋯でも、久しぶりにふうはやと隣に並べたのが⋯同時に、嬉しかった。」
「⋯うん。」
「あの日からだったよね。中学までみたいに、二人で一緒にいるようになったの。
二人とも、高校入ってからは違う友達とばっか遊んでたし⋯正直、卒業までふうはやと話す事もないんじゃないかなとも思った。」
「⋯俺も思ってた。」
キキ⋯と、椅子と床が擦れる音を鳴らして、自分の席だった場所に座る。
「だからさ。この席に、俺ずっと感謝してたんだよ。
大切な人と⋯ふうはやと、また こうやって話したり、一緒に登校したり、ご飯食べたりするキッカケになってくれて。」
「⋯え」
「⋯俺さ、実は中学の時から ふうはやに伝えてなかった⋯伝えなきゃいけなかった事があるんだよ。」
「⋯何?」
「⋯ずっと、好きでした。」
「友達としてじゃなくて、恋愛として。
だけど、ふうはやの将来の邪魔をしたくなくて、ずっと言わなかった。
ふうはやのことだからきっと、これからいろんな、素敵な人と出会うだろうなって。その事を思うと、言えなくて⋯しかも、好きって気づいたのは中三で、高校は別れると思ってたから、尚更。」
「⋯」
「高校に入ってからは話す機会もなくて、告白しても何を今更って感じになるかなって思って⋯そのまま、ずるずる⋯
席替えしたあの日、本当は諦めようとしてたんだよ。だけど、ああやって またふうはやと一緒にいれて⋯
諦めようにも、諦められなくなっちゃった。」
「⋯うん」
「だけど、高校三年生だしさ。将来について一番考える時期だなって。だからまた⋯諦めようとしたけどさ。
やっぱり⋯伝えなきゃ後悔するなって思った。
⋯だからさ、ふうはや。」
「⋯なぁに」
「いままで、ずっとずっと、ありがとう。
どうか幸せに暮らしてね。」
「⋯⋯はっ、?」
「⋯ごめん、こんな紛らわしい事して。
告白って訳じゃなくて⋯ほんとにただ、俺にある精一杯の愛を込めて、想いを伝えただけ。
⋯それじゃ、俺らも玄関⋯」
「待って!!」
強い力で、腕を掴まれる。ふうはやの顔はあまりにも必死で、無視したくても 出来なかった。
「なんで⋯りもこんばっか想いを言ってさ⋯⋯俺の想いは聞かないんだよ!?
俺だって⋯好きだよ、りもこんのこと」
「⋯嘘だ」
「嘘じゃないって。⋯あの日、席を入れ替えたのだって、りもこんが隣の席だって知ってたからだし
あの日からずっとりもこんと一緒にいたのは 高校最後くらい、後悔しないようにって思っての事だし。
⋯というかそもそも、俺だって ずっと前から⋯中学の頃好きだったよ。」
「⋯⋯!!」
「俺の将来のこと思ってくれてたのは嬉しいんだけどさ⋯そんなに俺の事想ってくれなくてよかったのに。
そしたら、互いにこんな苦しい想いしなくて済んだのにさ。」
「⋯ふうはや⋯⋯」
「⋯だから、改めて 俺から言わせてほしい。」
「ずっと前から好きでした。
俺と…付き合ってください!」
「⋯もちろん!!」
きっかけは単純で。
幼稚園児の頃から、親同士が仲良いことがきっけに 俺達も仲良くなって。そのまま 小学校も、中学も、高校も。ずっと、ずっと一緒だった。
クラスが違う とかならまだ分かるけど、小学校〜高校までずっとクラスが一緒だった。多分、そういうことがあってかなのか分からないけど、ふうはやに段々と好意を寄せていた。自覚したのは中学三年生の冬頃で⋯それは、ふうはやも同じだったみたいで。
二人とも、ずっとずっと⋯高校三年生まで 胸のうちに秘めていた。
一年と二年の時は 訳あって、一度疎遠になったけれど、高校三年生の 最後の席替えで二人は隣合って、また 中学生のときのような関係性を取り戻して。
雪も溶け始め、校庭が桜色に染まり始める時期の卒業式の日に
二人共、胸のうちに秘めていた想いをさらけ出して 互いの想いに向き合って。
あの日からずっと、二人は隣合って。
コメント
12件
初コメ失礼します🙌🏻めちゃめちゃ好みで5回見て5回泣きました😀イラストの方も見させていただいたのですが好きです(?)あとツイッターの方にフォロリク送らさせていただきました🙌🏻迷惑でしたらすみません🙌🏻
📱氏が告白してる最中の🍃の相槌、声色超優しそうですね… 最後のモノローグで、最後に歩く帰り道を手繋いで歩いてく二人の後ろ姿が思い浮かびました。 あと表紙の📱氏も儚げですごいかわいいです。 切なくて甘酸っぱい素敵なアオハル作品をありがとうございました。
コメント失礼します 最高なお話すぎて呼んだら途中に叫びました。 これが才能ですね‼︎ ほんとすごいです