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こういう関係って、なんか いいですよね✨🥰 片方が若干(?)不幸なのに、こう、 良き~って思っちゃうんですよねぇ (uωu*)
「聞いたか?東京が階段から落ちて大怪我だってよ」
この話は東西問わず1週間未満で知れ渡り、東京の元へは多くの見舞客が来た。
もちろん初めに来た時に原因を聞く者が大半で、東京はその度に
「足を滑らせちゃっただけだよ」
と半笑いで答えている。
なんでも高いところから落ちて、右腕と両足が程度は違うものの骨折し、頭も何かで切ってしまったようで、とにかく状態が酷いとのこと。
しかし流石首都というか、それだけの酷い傷でも1週間ほどで意識も回復していた。
果物や本などをもらえたり、普段よりみんなが優しかったり。
意外にも、風邪を引いた時に心配された時のような特別感を感じて、痛いけれど少し楽しかった。
そして今日も、見舞いに来てくれたらしい。
「怪我はどう?東京」
「あ、神奈川〜!今日も来てくれたんだ」
「もちろん!1人だと仕事できないでしょ?」
「えへへ、わかってるじゃん」
包帯だらけの東京は痛々しいが、笑顔は変わらず愛らしい。
神奈川は近くの丸椅子に座り、机に向かう。
首都さまは忙しく、入院中でも仕事は溜まるのだ。
利き手である右腕を折っているので、仕事はできない。
そのため、神奈川は毎日お見舞いと称して、東京の仕事を代筆しているわけである。
「にしても、東京って本当に忙しいね…いつもこんな量をこなしてるの?」
「いつもは分けてやってる。でも神奈川が代わりに書いてくれるって言うから、溜まってた分も全部任せてる」
「あのねぇ……まあいいけどさ」
「そこ誤字ってるよ〜 」
「目良いね…」
神奈川は順調に仕事の代理を勤め上げ、その日は一大事もなく終わっていった。
月日は流れ、いよいよ東京の治療はリハビリを残すのみとなった。
怪我自体は治っているので、退院して車椅子生活ではあるが、大きな支障はない。
むしろ広島の生活を体験できたことで、会議室周辺の改善点も見えてきた。
「意外と順風満帆って感じ〜」
少しずつ少しずつ、元の生活に戻っている。
右手はまだ完全に動くわけではないので、早いところリハビリを終えて、首都復活といきたいものだ。
「東京、お散歩しない?」
「お散歩?するする!連れてって!」
まだ車椅子の操作に慣れていないので、散歩や移動には手助けが必須である。
特別外が好きというわけではないが、出られなくなると、それはそれで出たくなる。
読んでいた本を置いて、わくわくを表すような満点の笑顔だ。
お気に入りのクッションに座って、ペットボトルの水を片手に扉を通り抜ける。
耳の端で捉えるコンクリートと車輪の音を聞きながら、小さな欠伸を一つ。
神奈川にも移ったようで、2人して笑い合った。
「…神奈川、なんで歩道橋を登るの?俺降りる時怖いからさ、横断歩道渡ろうよ…」
雑踏の中を進んでいたはずなのに、気がつけば人の少ない歩道橋へ登っている。
移動の主導権は基本的に神奈川であるので、東京は抵抗もできない。
「大丈夫だよ」
東京としては何も大丈夫ではないのだが、神奈川は向こう側へ行こうと車椅子を押し続ける。
神奈川はその辺りの配慮には気を配るはずなのに。
何かがおかしい。何か、重要なことを忘れている。
自分は、以前もこのような場所で、神奈川といた。
いつだっただろう?何を忘れているんだろう?
「…あ」
「思い出しちゃった?忘れたままでよかったのに」
そうだ
自分は、東京都は、神奈川に階段から突き落とされたから大怪我をしたんだ。
「東京はおっちょこちょいだね、2回も階段から落ちるなんて」
「…神奈川は、俺のこと嫌いなの?もしかして、今までやってもらってたこと全部、 ほんとはいやだった?」
「嫌じゃないし、むしろ嬉しかったからこうするんだよ」
神奈川は車椅子ごと突き落とそうとしているのか、階段の方へ向かって車椅子を押す。
東京は焦り、やめさせようと神奈川を説得する。
何を言っても無駄なように思えるが、言わないより断然マシなはずだ。
「ねえ…本当に待って…これ以上は本当に落ちるから…!」
「それが目的なんだけどね。東京は僕の手が必要にならなくなる度、こうして転落事故を起こしちゃうことになるよ」
都道府県は、本国が死ななければ生き続ける。
しかし広島や沖縄のように、重度の怪我であれば跡は残るし、切断したものが生えてくることもない。
「東京はね、僕がいなくちゃ何もできなくなるまで転落し続けるんだよ。運悪く回復するから、こんなことになるんだよ」
足元に地面がなくなった。
「大丈夫。落下したらすぐに救急車を呼んで、手厚く看病してあげる。手足がなくなっても、耳が聞こえなくなっても、目が見えなくなっても、頭だけになっても、僕は東京のことが世界で1番好きだよ」
「いや…やめて…おねがっ…」
ガシャン!!!!!
「わ、大変!すぐ救急車呼ぶからね!」
「なぁ聞いた?東京が歩道橋の階段から落ちたんやって」
「また?」
「神奈川が目を離した隙に、1人で階段を降りようとして失敗したんやってさ」
「あの子車椅子やったやろ?大丈夫なん?」
「東京、今回のことで下半身不随になっちゃったらしくてさ、車椅子なんだって」
「へぇ…怖えなぁ…俺らも気をつけないとな、岐阜」
「そうだね…長野は片目だし、みんな気をつけよう」
「「「「「「事故でこんなことになるなんて、東京は不運だなぁ…」」」」」」