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『本当の地獄を見せてあげる♡』

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『本当の地獄を見せてあげる♡』

12 - 最終話 ―転生の朝、ふたりの世界へ―

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2025年06月24日

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完全に完結です!









最終章 ―転生の朝、ふたりの世界へ―


―完全なる完結―


 


朝、世界は静かに生まれ変わる。


 


どこか懐かしい、春の風が吹いていた。

まだ幼さの残る街の空気。

制服の襟を整えながら、少年はその通学路を歩いていた。


「……なんでやろ。今日、誰かに会える気がする」


その少年――**ないこ(来世)**は、ふと足を止めた。

理由なんてわからなかった。ただ、心の奥がざわついた。


 


校門の前。

朝焼けに照らされて立つひとりの少年がいた。


真っ赤な髪が風になびいて、

その瞳は、まっすぐに“彼”を見つめていた。


――一瞬。

すべてが音を立ててつながった。


過去も、今も、あの別れも。

痛みも、叫びも、誓いも。

ぜんぶ、思い出せないはずなのに、ぜんぶ知っていた。


 


「……初めまして、かな」


そう言ったのは、**りうら(来世)**だった。

でも、その声は、ないこの胸を深く震わせた。


「ううん……違うよ。

“やっと会えたね”、だよな」


ないこが微笑む。


「……やっぱり、お前か」


りうらも、微かに笑った。


 


次の瞬間、ふたりの距離がふっと近づく。


何も言わなくてもよかった。

誰が何と言おうと、この気持ちはもう揺らがない。


あの世界で、

命を削って愛し合った記憶。

それはこの魂の深い場所に刻まれていた。


 


「お前のいない世界なんて、

 やっぱ俺には無理だったわ」


「じゃあ、今度は――俺から守らせて?」


「……そっか。じゃあ、今度は“壊れずに”生きようか」


「うん。いっしょに」


 


ふたりの手が、自然に重なった。


あの時は叶わなかった未来を、

今度こそ、この手で抱きしめていく。


そう、これは続きじゃない。

ふたりが初めて、“始められた”物語。


 



 


春が来るたびに思い出すだろう。

あの優しさも、

あの苦しさも、

そして何より、ふたりで見た地平線の先も。


だけど今はもう、

過去に戻る必要なんてない。


未来は、ここからつくればいい。


 


――おかえり。

――ただいま。


 


それは、誰にも知られない、

ふたりだけの約束だった。


 


***


 


それから


ないこは、りうらと同じ大学に進学し、

静かに、穏やかに、共に生きていった。


目立たないふたりだったけど、

その隣にいる相手を見つめる瞳だけは、誰よりも強かった。


何も壊さず、何も奪わず、

ただ「愛する」ことだけを選び続けて。


今世では、

誰も傷つけずに、

ただ一緒に、

ゆっくり老いていく――そんな、

やさしい奇跡が叶っていた。


 



 


そして老年、ある冬の夜。


白い息を吐きながら、ふたりは手を繋いで歩いていた。

公園のベンチで、手を重ねたまま、そっと話す。


「なぁ、次は俺が先に死んだら、絶対追いかけて来てな」


「バカ。約束してもどうせすぐ来るくせに」


「……そやな」


 


ふたりは笑った。


もう、“終わり”なんて、怖くない。

だって、必ずまた出会えると、信じてるから。


 


その夜、ふたりは静かに眠りについた。

寄り添ったまま、最後まで、手を離さずに。


 


そしてまた――春が来る。


どこかの空の下で。

まだ誰も知らないふたりが、

また「初めまして」を交わすだろう。


 


その愛は、もう壊れない。

どんな世界でも、何度でも。


 


― 完全なる完結 ―



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