翌朝
アリスはいつもとちがう天井から降り注ぐ日差しで目を覚ました
「おはよう」
すでに目が覚めた北斗が全裸でアリスの横に寝そべり、肘枕でこちらを見ていた
「お・・・・おはよう・・・起きてたの?い・・いつから? 」
「寝てない」
アリスがもぞもぞと動いて伸びをした
閉じた内側がヒリヒリと痛んだが、アリスはとても満ち足りた気分だった
体は心地よく力が抜けてだるい
昨晩の朝方三回目の愛を交わした時は、もう少しで彼を自分の中で受け入れたまま絶頂を迎えそうになった
きっと次の時はそうなるに違いない
とにかく彼の荒々しさ
力強さ
なめらかさを自分の中で感じるのは最高だった
「・・・ずっと君とこうしていたいけど・・・悪いが馬を見に行かなきゃならないんだ・・・」
「私の事なら気にしないで」
むくりと起き上がった彼が、アリスの手を自分の口元に運ぶ
「朝食は搾りたてのヤギの乳で作ったチーズがあるんだ。それとクロワッサンと自家製の蜂蜜とかどうかな?うんと甘いヤツ 」
アリスはまだ、ただの細胞の塊といった状態で、食べ物のことを考える気力などなかった
まだ昨夜の夢のような出来事にぼんやりしている
「あんまりおなかは空いてないわ」
寝ぼけ眼でそう言ったのだが、その時アリスのお腹がぐぅ・・・と鳴り、アリスは頬を染め、北斗は可愛らしい彼女のお腹の抗議に笑った
「それじゃ朝食を用意してくる
君はまだここでゆっくりしていてくれ」
「うん・・・ 」
そう言って彼はベッドから起き上がると、全裸の彼は椅子に掛けている、ボクサーショーツを手に取った
アリスは彼の引きしまったお尻をうっとりと見つめた。朝日の中の彼は昨日の夜と違って迫力があった
すると彼がボクサーショーツを履きかけたのに、ピタッと止まってくるりとアリスに振り向いた
「・・・・どうしたの? 」
ショーツをポイッと放りだして、スタスタアリスのいるベッドに戻ってきて覆いかぶさった
「・・・いつ消えるのだろう・・・君への欲望は・・・ 」
彼はアリスの唇にキスをし切なそうに呟いた。北斗の両手が乳房を覆い、ゆっくり円を描いて愛撫された
アリスは背中を反らせて、彼の手に包まれている胸を突き出した
「きみと離れた瞬間に、胸が締め付けられて指がうずく・・・もう一度君に触れたくて・・・ 」
「北斗さん・・・・・戻ってきてくれて嬉しい・・・ 」
気持ちはアリスも同じだった、彼が離れて行った瞬間からもう寂しかった
夕べの出来事が二人の関係を変えてしまった
いや・・・思えば初めてこの人に会って、瞳を見た瞬間からなのかもしれない
とにかくアリスは本能のままに再び脚を開き、彼はそこに収まろうと腰を突き出した
「君が・・・俺の腕の中で、そんな風に震え、奪われるのを待っている姿を見たら・・・もう・・・俺はダメなんだ・・・ 」
ピッタリ彼女の温かい内側に包まれ、切なく胸がざわついている
彼女をとことん喜ばせたい、自分の下で喘ぎ、泣かせ、すべてをさらけ出してほしくなる
そして彼女の中でクライマックスを迎えそうになると、頭が痺れまるで魂まで抜かれた気分になる
アリスが少し顔をしかめた
「ああ・・・ごめん・・・痛いか?」
初めての彼女の体には夕べから、かなり負担がかかっているはずだ、ここでやめるべきだ
そう頭では叫んでいるのに、一向にやめられない
「やめてほしいか? 」
「ダメ!やめないで・・・」
アリスが首にしがみついて懇願する
「あなたは・・・やめたい?」
「やめれるわけがない 」
二人は互いの腕の中で笑い出し、そして揺れた
:*゜.. : ::.
アリスは一人温室のベッドで大きく伸びをした。今度こそ朝食を取ってくると言った彼を笑って送り出し
今は一人で怠惰に寝転がりながら、先ほどの彼と交わした愛の行為に思いをめぐらせる
コットンのシーツは枕までも肌触りが良く、バラの花の清々しい香りがする
体の感覚は閉じた瞼の裏で、先ほどまで自分の中にいた彼のモノで擦られた襞も粘膜も、赤く腫れてヒリヒリしている
それでもとても幸せな気分だった
愛を交わすとはどういうことか、アリスはわかっているつもりだった
しかし北斗と一緒に飛び込んだその世界は、かつて想像もしたこともない輝きと官能に満ちていた
北斗がアリスの腕の中で身をこわばらせ、彼女の名前を叫んで射精した時
アリスは女で生まれた事にこれほど満足したことはなかった
汗だくの北斗の頭を無力な子供を、抱きしめるように胸に引き寄せ、アリスは体中に力がみなぎるのを感じた
自分よりも数倍体が大きいこの人を、今支配しているのは自分なのだ
これ以上の満足感はきっとこの先二度と、訪れないだろうとぼんやりと思い出しながら、朝日に照らされた温室を、ぐるりと見渡してみる
それにしてもこの温室は素晴らしいわ・・・
アリスがむくっと起き上がり、シーツを胸に引き寄せ、天井まで生い茂っているバラを良く見ようとベッドから左足を降ろそうとした時
その時異変に気が付いた
驚いたことに赤とピンクの薔薇の隙間から、なんと大きな二つの眼がこちらをじっと見ていた
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