テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#こじあべ
ゆんしょ
29,037
成 宮 .
23
元貴→♡←若井(?)→♡←藤澤
もとぱ&りょつぱ(?)
描き方変わってるかも
みたいな感じです後編から🔞になります。
レコーディングスタジオの空気は、いつだって少しだけ特別だった。
防音扉の向こうでは誰かが音を鳴らし、誰かが歌う。
「もう一回いこう」
ヘッドホンを外しながら元貴が言う。
モニター越しに聞いたばかりの歌声は十分すぎるほど良かったのに、本人は納得していないらしい。
「えー、今の良かったじゃん」
ソファに寝転がったまま若井が声を上げる。
元貴「若井の基準は甘いんだよ」
若井「厳しすぎるんだって」
そんなやり取りに、隣で譜面を整理していた藤澤が吹き出した。
藤澤「二人とも毎回同じこと言ってるよね」
若井と元貴は顔を見合わせる。
そしてほぼ同時に、
「だってこいつが」
と言ってしまい、今度は三人とも笑った。
こういう時間が、若井は好きだった。
何年も一緒にいる。
音楽を始めた頃から隣には元貴がいた。
悔しいときも嬉しいときも、真っ先に顔を思い浮かべるのは元貴だった。
それが当たり前すぎて、特別だなんて考えたこともない。
少なくとも最近までは。
元貴「若井?」
気付けば元貴がこちらを見ていた。
元貴「何ぼーっとしてんの」
若井「してないし」
元貴「してたよ」
藤澤「してた」
藤澤まで便乗してくる。
若井「味方いねえな」
元貴「日頃の行い」
元貴が肩をすくめる。
若井は、その何気ない仕草だけで、なぜか胸の奥が少しざわついた。
理由は分からない。
考えようとすると、うまく言葉にならない。
だから若井はいつも通り笑ってごまかした。
その日の帰り道だった。
機材車を待ちながらスタジオ前で立っていると、藤澤が珍しく真面目な顔をして近付いてきた。
藤澤「少し時間ある?」
若井「あるけど」
いつもなら明るく話し始める藤澤が、どこか落ち着かない。
若井は首を傾げた。
近くの自販機の前まで移動して、二人で缶コーヒーを買う。
しばらく沈黙が続いた。
「どうした?」
先に聞いたのは若井だった。
藤澤は缶を握ったまま視線を落とす。
そして小さく息を吸った。
藤澤「あのさ」
聞いたことのない声だった。
藤澤「俺、若井のこと好きなんだよね」
時間が止まった気がした。
遠くを走る車の音だけが妙に大きく聞こえる。
冗談だと思った。
でも藤澤は笑わない。
真っ直ぐだった。
藤澤「ずっと前から」
藤澤「もちろん返事は急がなくていい」
若井は何か言おうとして、言葉が出なかった。
好き。
その言葉が頭の中で反響する。
誰かを好きになること。
その意味くらい分かる。
なのに自分の気持ちは曖昧だった。
ただ、目の前の藤澤が真剣なことだけは伝わってくる。
「……俺男だし、俺でいいの?」
気付けばそんな言葉が口から出ていた。
藤澤が目を丸くする。
藤澤「え?」
若井「いや、その……」
自分でも何を言っているのか分からない。
だけど断る理由も見つからなかった。
大切な仲間だった。
優しい人だった。
一緒にいて安心できた。
それだけじゃ駄目なのかどうかも、若井には分からなかった。
数秒の沈黙のあと。
「付き合ってみる?」
そう言ったのは若井だった。
藤澤の表情が崩れる。
驚いて、嬉しそうに笑って。
藤澤「本当に?」
若井「うん」
藤澤「後悔しない?」
若井「それはお互いじゃない?」
そう返すと、藤澤は照れたように笑った。
その顔を見ていると、これで良かったのかもしれないと思えた。
翌週。
レコーディングが一段落した休憩時間。
元貴はスタッフから受け取った資料を抱えながら部屋へ戻ってきた。
するとソファに座る若井と藤澤の様子が目に入る。
肩がピタッとくっついていて藤澤の目が若井をじっと見てる。
元貴の足が止まった。
元貴「あれ」
若井と藤澤が同時に顔を上げる。
「何?」
元貴は少しだけ笑った。
「もしかして二人、付き合ってる?」
沈黙が流れる。
けれどそれだけで十分だった。
藤澤が照れたように視線を逸らす。
若井が頭をかく。
「……まあ」
肯定だった。
ふざけて聞いたつもりだった。
世界が静かになる。
付き合った。
誰が。
誰と。
頭では理解しているのに理解したくなかった
けれど元貴は笑顔を崩さない。
元貴「そっか」
たった一言。
いつも通り仕事の話をする。
なのに文字が言葉が頭に入ってこない。
知らなかった感情が、静かに胸の内側へ沈んでいく。
親友同士が付き合っただけだ。
祝福すればいい。
嬉しいことじゃないか。
なのに。
どうして。
こんなに苦しいんだろう。
後編につづく〜
コメント
1件
おお、最新話読んできたよ!タイトルに🔞ってあるけどまだ前編で後編からって感じか…。 若井と藤澤が急接近して「付き合ってみる?」ってなった流れ、めっちゃリアルだったわ。でも元貴の“そっか”の一言が刺さる…。親友が付き合っただけなのに苦しいって、それってもう元貴の気持ちやばくない?笑顔保ってるところが逆に切ない。後編どう転ぶか気になる🔥