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〖 今日、俺の家来て。 〗
キヨからそう連絡が入ったのはほんの数時間前。
ガッチマンは はて、としばらく考えたが特段気にすることなどなく快諾の意を示した。
___なんてことがあり数分後。
ガッチマンはキヨの家の前に立っていた。なんの気兼ねもなく呼び鈴を鳴らせば相も変わらずひょろ長い男が顔を覗かせる。
「いらっしゃい、入って。」
キヨは抑揚のない声でそう言えば来訪者よりも先に居間へと身を引っ込めた。ガッチマンはそんなキヨに呆れたように吐息で笑ってはお邪魔しますと一声掛けて家に上がった。
「なんか食べた?シチューなら出せるけど。」
「あ、何も食べてないんだよね。貰えるならありがたい」
「ン、いいよ。待ってて。」
こんなところは気遣える男なのだ。キヨというのは謎である。
ガッチマンはのんびりとソファに腰を掛けては何となしに何も付いていないテレビを眺めていた。
「ガッチさん、はい。」
そこにキヨが温まったシチューを持ってきた。ガッチマンはありがとう、と感謝とともにカトラリーを手にして手を合わせた。
「いただきます。」
「ン、熱いかもだから気をつけて。」
ガッチマンは あ、と声を上げた。
「キヨ、俺のコートの中にペン入ってないか見てきてくれない?」
「はァ?なんで俺···」
「冷める前に食べたいじゃん?」
「·····へいへい、分かりましたよーだ。」
隣に腰を下ろしていたキヨはよっこらせ、と立ち上がれば玄関のコート掛けへと足を向ける。ガッチマンも後を着いていくように立ち上がれば目的地を変えキッチンに足を運ぶ。ふと、シンクへ目を向けた。
「ガッチさん?ペンってこれ?」
「そうそう、ありがと〜。」
「てか、キッチンに勝手に入んな!?」
「ごめんごめん、お茶欲しくて、」
「あぁー、持っていくから食べてていいよ。」
「ごめんごめん。ありがとねぇ、」
「いーよ別に。」
そうしてガッチマンは元の位置に戻り黒いテレビを一瞥してはシチューを口に運んだ。キヨは口元を不自然に歪める。
「はい、お茶」
「·····。」
「ガッチさん·····?」
「ッうぅ·····、」
低く唸るガッチマンを心配そうに覗き込めばキヨは背中に衝撃を感じた···、と言えど柔らかい感覚。
─── ッ、突き飛ばれた!?
そう考える間もなく口を塞がれた。
「ッ、ん、ァ!?」
「うるさいなぁ」
はぁ、と大きく溜息を吐けば眉尻を掻く男は紛れもないガッチマンで。キヨは不覚にも興奮を覚えぞく、と背中を快感が伝った。
「啼くならもっと興奮する啼き方出来ないの?」
冷たい視線、蔑むような表情に、刺さるような棘まみれの言葉。キヨは腹の底あたりが疼いた感覚を覚え、ムズムズと口角が上がる。ガッチマンはそんな様子のキヨに、
「俺の雌犬にでもなれよ。」
そう言い放った。
____あれから何分経ったか。いや、何時間だろう。
キヨはもう何も出ないはずのソレからトロトロと透明の液を垂れ流し、だらしなく舌を出しながら汚らしい声で媚びていた。
「あ゛ッ、おぉ゛ん゛ァーーーー ❤︎゛」
「締まり悪いな、ほら締めて。」
「キャウンッ!?」
パァッン、と臀部を叩かれては甲高い声を上げてきゅう、と締める。
「ッあ゛ーーー、コレコレ。俺の犬になるならこれくらいはしてもらわないと。」
──── コレ、ヤバい、頭おかしくなるッ ❤︎
ふわふわした思考回路でも脳の片隅でそう思ったキヨはふへ、と息を零す。
「何笑ってんの?気持ち悪い。」
ガッチマンの鋭いその視線が大好きで、興奮してはふるりと震える。
──── ガッチさんの犬、雌犬。俺だけ、すき、すき
「お゛ッ!゛ すぎッ゛、すきぃ゛ッ!!❤︎゛」
「んは、トばないでね、雌犬サン?」
髪を乱暴に掴まれては無理やり顔を上げて目を合わせられる。キヨははっはっ、と浅い呼吸を繰り返しながらガッチマンの瞳を見詰めた。
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「·····その顔だよ。超唆る。」
ガッチマンは舌舐りをしてはキヨの顔をそのまま落とす。
夜はまだ、始まったばかりだそうだ。
ふと、意識が浮上した。思いの外スッキリした感覚といつもと違う誰かのベッドで眠っていた自分。その隣に眠る可愛らしい猫。剰え裸。
──── 何があった?
ガッチマンはすぐさま異変を察知してはひとつの仮説を立てた。
『 何かで記憶を飛ばされたな、 』と。
隣のキヨを起こさぬようベッドから抜け出しては一先ず水でも飲もうとキッチンへ足を運ぶ。そこでふと記憶が蘇った。
──── 確か、シチューを飲んで·····。
これはキヨが何かをしたな、とアタリをつけるのは容易かった。
何も付いていないテレビ、昨日に食べて不自然に残されたまま机に放置されたシチュー、キッチンのシンクに置かれた怪しげな瓶。
この瓶が全てを握っているのだろう。ガッチマンはそう思うや否や迷わず手を伸ばしラベルを見た。
〖 誰でも野生化!?ドM専用興奮剤!! 〗
ガッチマンは思わず顎を引いた。なんだこれ、それが一番初めに思った事である。いや、思わない方がおかしい。なんなんだこれは。一体なんなんですかこれは!!
瓶の逆の面も見てみたところ注意書きおよび使用用途が書かれていた。
〖 気になるあの子や恋人に!❤︎ 優しいセックスじゃ物足りない?そんな時にはコレ!数滴盛るだけで恋人が獣のようにアナタを求めるよ!❤︎ 〗
〖 ※使用後、相手の記憶は消え去ります。バレたくない恋心でも安心安全にお使い頂けます。 〗
だからなんなんですかこれは!!ガッチマンはもう一度記憶を飛ばしたくなった。·····否、もうこの存在は知っていた。あの時、テレビの反射でキヨがシチューに何かを入れたことも、お茶を取りに行くという口実でこの瓶を見たから正体はこの液体だったことも知っていた。あの時に全てを理解していたが見ないフリをした。どのような効果があったのか、どうなるのかが気になった。所謂、知的好奇心というものだ。御生憎様記憶は消える仕様らしく全く覚えていないがキヨの体を見るにそれはそれは激しかったのだろう。
·····さて、俺の愛するキヨ。次は薬なんて盛らずに素直に言ってくれると嬉しいな。いつでも、キヨのためなら”この皮”なんて脱ぎ捨てれるよ ❤︎
了
︎ ︎︎︎︎︎
コメント
1件
おお、読み終えたわ…。これはまたすごいの読んだなあ。 まず、第1話からガッチマンとキヨの関係性がもうバチバチに立ってるのが良かったわ。普段は気の抜けた感じのキヨが実は計算して薬盛るとか、そういう「優しそうに見えて実は…」ってギャップがたまらん。でもそれ以上に、ガッチマンが最初から全部見抜いてた上であえてその流れに乗ってるってのがね…。あのラストの「いつでもキヨのためなら皮を脱ぎ捨てられる」って台詞、震えたわ。支配されてるように見せかけて実は全部許容してる側、みたいな立ち位置、すごく刺さる。 「テレビの反射で気づいてた」って伏線の張り方もうまい。第1話として、読後の余韻がすごい。続きが気になるな🔥