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めっちゃサボってました。
すみません。
そしてこれからもサボると思います。
ちょっと最近精神不安定らしいんで、気が向いたら投稿します。
では続きです。
「さようなら」
伸ばした手が空中を掴む。
目の前から微笑む顔が消える。
さっきまで美津紀の肩があった場所には、何も無かった。
間に合わなかった。
間に合わなかったんだ。
空気を掴んだ手を力なく下げる。
美津紀を自分の手で殺せなかったという悔しさに胸が焼け付くような感覚がした。
美津紀の命を奪うという意味では目標は達成した。
だが、美津紀は自ら飛び降りたのだ。
これのどこが復讐と言えようか。
悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい
あの時、躊躇わずに美津紀の肩を押せばよかった。
迷うことも、美津紀の言葉を聞くこともしなければ。
躊躇なく突き落としていたら。
そしたら今頃苦しい程の悔しさを味わうことは無かったんだろう。
申し訳ない、と思った。
ハクにも、玲にも。
俺が復讐しなきゃいけなかったのに、出来なかった。
神様もきっと、このチャンスを与えるために記憶を取り戻させたんだろうに。
「復讐出来なかったって、ハクに言わないと……。」
ふとそう思い、スマホをポケットから取り出した時。
「必要ねえよ。」
突然声が聞こえた。
驚いてスマホを取り落とす。
ずっと聞いてきた声だった。
声のしたほうを振り返る。
「ハク……!?」
一瞬で混乱に陥る。
計画ではハクは、この場にいないハズだったからだ。
幼馴染の死を見るのは流石に辛いといって、この場にいるのを自ら拒んでいたハズだ。
なのに、何故ここにいる?
いつからいたんだ?
次々と浮かんでくる疑問が頭を埋め尽くす。
それを全て含んだ答えが返ってくる。
「お前が上手く出来るか心配で、ずっと見てたんだよ。」
俺の為に、そこまで……。
「……そうなのか。」
「あぁ、全部見てた。会話の内容までは聞こえなかったけど。ありがとな、美津紀を殺してくれて。」
ハクが毅然と言う。少なからず悔しいハズなのに。
「いや……、殺せなかった。美津紀は、自分で飛び降りたんだ。」
「あぁ、見てたよ。別に俺は、美津紀が死ねばそれで良かったんだ。」
「……?」
ハクから冷たい雰囲気を感じる。
「なぁ湊、美津紀、死ぬ時なんて言ってた?」
「……私じゃない、って。殺したのは私じゃない、って言ってた。」
「お前はそれを信じなかったのか?」
「そりゃだって、お前が教えてくれたろ。玲を殺したのは美津紀だって。」
「……。」
ハクが俯く。肩が震えていた。「……っふっ。」と押し殺したような声がハクの口から漏れる。
「どうした?」
「っあはははははははははは!」
「……え?」
「可哀想になぁ、美津紀。」
ハクがにじり寄って来る。
「お前だって復讐に賛同はしただろ。」
何を今更、という言葉は飲み込んだ。
「俺は良かった、って言っただけだ。殺してくれ、なんて一言も言ってない。」
「だとしても……!」
ハクは黙ってこちらを見つめている。心の底から楽しい、という表情をしていた。ねっとりと纏わりつくような笑顔。ハクが、ハクじゃない。
「……何が言いたいんだ。何がしたい。」
「まだ分かんないのか。……あのな、美津紀が澄川玲を殺した、なんてのは嘘だ。俺が作った、真っ赤な嘘だ。美津紀が殺したのは自分じゃない、ってずっと言ってただろ?あれは本当なんだよ。美津紀は誰も殺してない。」
理解が追い付かない。
言葉が出なかった。
「じゃあ澄川玲を殺したのは、って思うだろうけど、ごめんな。それは_______俺だよ。俺が、澄川玲を、殺した。」
一度言葉を切ってから、心の内を吐き捨てるように話し続けた。
「お前には何も言ってなかったけどな、澄川玲とは同じ塾だったんだ。そこまで人数も多くなかったから、学年別のクラス分けだった。俺は親友と一緒に通ってたんだけどな、そいつ、伊川ルイって言うんだけど、いじめられてたんだ。その塾、小さいくせに競争率が激しくて。たった十数人のクラスで、カーストがあった。俺らは成績は中の上程度で、しかもそこまで目立つ方でもなかったから当然カースト最下位。カースト上位の奴らにいつもちょっかい掛けられてた。俺は相手関係無く反抗するタイプだったから、小学生のお遊び程度の低レベルのもので済んだ。そもそも人をいじめる人間ってのは弱いから。大人からの評価ばっか気にして、その不安を他人にぶつけてるだけだ。だから少し抵抗すればすぐ引っ込むんだ。でも、ルイは違った。いつも笑ってアイツらを許してた。金を取られても、物を隠されても、……殴られても、笑ってた。いじめる理由は当然こじつけで、俺らは微塵も悪くない。なのに、僕が悪かったね、ごめんね、って。抵抗していいんだぞって言っても、聞かなかった。だからいじめはどんどん悪化していった。模試でわざと違う答えを書かせて成績を下げさせる、なんてのもあった。有り得ないだろ。その内、カースト上位の奴らの中の一人が、ルイに近づくようになったんだ。それが、澄川玲だよ。ルイに『大丈夫だった?』『もっと明るくすればこっち側に来れるよ。』って声を掛けるんだ。それがルイを更に追い詰める言葉であること位、アイツなら分かってたはずだ。でも澄川玲はずっとそういう言葉を掛け続けた。……それが一ヶ月続いた頃だった。ルイが死んだ。自殺だった。」
ハクの表情が一瞬歪んだ。拳を強く握りしめるのが見えた。
「理由は歴然だった。塾側は元から見て見ぬふりを決め込んでて、この事件も隠蔽しようとした。けど俺が凡て警察に話した。澄川玲を止められなかった俺も悪いけど。それでも、見て見ぬふりをした教師が、ルイを自殺に追いやったくせにのうのうと生きていく奴らが、許せなかったんだ。俺の八つ当たりかもしれねえけど。でもそれでその校舎は潰れたし、いじめてきた奴らも謹慎処分とか退学処分になった。……澄川玲を除いてな。アイツだって初めはこっちを見て笑ってたのに、後からルイを気に掛けて声を掛けるようになったって、たったそれだけで、アイツは許された。ルイを自殺に追い込んだ一番の元凶はアイツの吐いた言葉なのに。_______おかしいだろ。一番重い罪を背負うべきなのはアイツだろ。考えたんだ。謹慎処分よりも、退学処分よりももっと苦しい罰を。俺が出した答えは、アイツが『幸せの絶頂にいる時に殺す』ことだった。殺したことは後悔してない。アイツの死ぬ間際の顔、見せてやりたかったよ。頭は良いくせに、案外脳内はお花畑なんだな。最後の最後まで、自分が殺されることに気付いてなかったよ。突き落とされた瞬間は、今世紀最大に驚いたような顔をしてた。苦しまずにサクッと逝ける殺し方にしたのは未だに後悔してるけどな。ルイは苦しんだのに、アイツは一瞬で死んだんだ。自分が殺されることに気付いて怯えてくれた方がまだ面白味があったよ。美津紀には俺が澄川玲を突き落とすとこを見られてたんだ。自分が殺されることを危惧してか警察にも友達にも言わなかったみたいだけど。だからといってそのままじゃ不味いだろ?だから、美津紀は元から殺す予定だったんだ。まあでも、湊に殺させる必要は無かったかもな。俺がやれば良い事だったのかもしれない。ただ何となく、俺がやるよりお前がやった方が面白そうだと思っただけだったから。そこまでショック受けるとは思わなかったんだ。許せないだろうけど、そこだけは分かってくれ。」
終始薄ら笑いを浮かべながら話していた。頭は真っ白だし、何も言葉が出て来ない。なのに、目の前の景色はいやに目に染み込んできた。ハクが話した事は全て心に、脳髄に、突き刺さった。
暫く、どちらも沈黙していた。
ここまでにします。
サボった期間の長さと文章量が見合っていませんね。
また気が向いたら書きます…….。
ではさようなら!