コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
何方とも両片想い
微量ですが銀土要素あります。
年齢設定等ガバガバです。
大丈夫な方は、お進みください、、、、
_____ 某日。
俺は街を歩いていた。散歩?いいや違う。
見回りだ。…と言うなのデートってやつだな。
この少し前を足取り軽く歩いているのは、万事屋んとこのチャイナ娘。
行き先が同じだったらしくさっきから半一緒に歩いている。
俺はコイツが好きだ。
「おぉ〜〜!!みろヨ!!この団子!!めっちゃ美味そうアル!!!」
「そうかイ。」
「…。」
むすっとした顔でこちらを見るチャイナ。
「美味しそうアル。」
「そうかイ。」
「…お・い・し・そ・う・ア・ル」
「…そうかイ。」
「レディが可愛くおねだりしてるんだから買えよコノヤロー」
「…はあ」
デートしてる気分なのは俺だけだ。コイツの気持ちは全くもって分からない。でもこうやって、怒ったり拗ねたり泣いたり笑ったり照れたりするのを見れるのは、悪い気はしない。
「…おっちゃん。この団子くだせェ。」
「!!!」
団子屋のおっちゃんから団子を受け取り、チャイナに渡すと、チャイナはガキみてぇに喜んで再び歩き出した。単純なやつ。
歌舞伎町歓楽街の辺りに差し掛かると、色気付いた女達が俺に声をかける。
『沖田さん〜♡見回りですかぁ〜?お店寄ってってよお〜♡』
「すまねえ、今日は任務があるから無理でさァ。また今度副長らを連れて行きやす。」
ひらりと交して、再び歩き出す。生憎、声を掛けられることはザラにある。慣れているのでこれくらい回避出来る。
「…オマエ、慣れてるんだナ。」
「あ?あー…なんだ、やきもちでも妬いたのかチャイナー。」
「べっ、別に違うしいー!こんなクソサドチビの何がいいのかなーとか思っただけだしぃー!!」
「ふ、ガキにはわかんねぇよ。」
なんて言ってチャイナの細い肩を抱いて揶揄ってみせる。
「離せヨ!!」
とぷりぷり起こりながら、日も暮れているのに紫の和傘をさして先を歩いた。
そんな姿が堪らなく愛おしかった。
辺りはすっかり暗くなって、チャイナの白肌と橙色の髪がよく見えるようになった。
チャイナはこの辺りの、花屋に用があると言って道の突き当たりで別れた。
俺は、見張りをしていた山崎に声を掛けた。
「どうだイ、様子は。」
「はい。怪しい動きはないんですけど、逆に動かなさすぎて怪しい…と言うか、、」
「他は、何か変わった事は。」
「うーん…。特にないですかね…。あ、」
「 ? 」
「なんともここの浪士達、春雨と繋がってるとか繋がってないとかって話を聞き込み中に聞きました。」
「春雨…。」
俺は何故か嫌な予感が走った。この辺りで別れた白兎。春雨にはアイツの兄兎がいる。それだけじゃない。夜兎族は元々希少で、他の海賊や、天人が喉から手が出る程欲している。
「山崎ィ、ここちょっと任せてもいいかイ。」
「はい!大丈夫ですよ!目立った動きもないですし!」
「頼んだ。」
俺はその場を山崎に託して、花屋がある方へ向かった。
しばらく歩くと、花屋が見えてきた。こじんまりした小さな花屋。こんな所に何の様だったんだ。
俺は中にいたおばちゃんに話しかけた。
「おばちゃん。ここに肌の白い小さなチャイナ女、来てねぇですか。」
「ん〜…?あぁ、それなら10分前くらいに来て、この花束買って行ったよお。」
水色…っぽい青っぽい、爽やかな色の花の束を見せられた。確かこれ…。
「なんだか、後から来たお友達と何処かへ行っちゃったけどねえ。アンタもお友達かい?」
嫌な予感が的中した。
「おばちゃん、そのお友達、どんな服でどんな感じだったか覚えてりしますかイ。」
「ん〜…確か、” マント “ みたいなのつけてて雨も降ってないのに傘をさしてた気が…、」
「どっちの方向へ行った?!」
「え!あの港の方へ…。」
俺はそれを聞いた瞬間、駆け出した。アイツ、また1人でなんか抱えてるんじゃないか。また1人で、旦那や新八くんを置いていくんじゃないか。
考えが巡って巡って、そうしているうちに港へ着いた。
「…。」
誰もいねぇのか…?
カチャ
「やあ久しぶりだネ ♪ お巡りさん ♪」
銃口が突きつけられた音と共に、胡散臭い聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。
「あー何処かのバカ兄貴さんだー。」
風の音と互いの心音が聞こえる。後ろから誰か走ってくる音が聞こえる。きっとこれは、
「 神威!!!! 」
チャイナの叫び声と共に俺は後ろのバカ兎に斬りかかった。同時にヤツの傘で塞がれ、じりじりと睨み合っていた。
「よぉ〜チャイナ。奇遇だな。なにしてんだイこんな所で。」
「きょ、」
「神楽を連れて帰ろーと思ってネ ♪」
「バッ」
阿伏兎…だっけ、もう一人に口を塞がれるチャイナ。ジタバタ暴れるが大の大人の夜兎族には力では勝てないらしい。
「へーえ。そんな拉致みたいなやり方でですかイ?」
「人聞き悪いなー、合意だよ合意ー。」
傘と刀の擦れた部分から火花が散って、一旦弾き距離を取る。
「君こそ何しに来たのさ。」
「俺ぁ、そこのチャイナが心配で来たんでさァ。」
「へぇー?」
「っぷは、サド、コイツらは大丈夫だから銀ちゃんと新八には3日帰らないって伝えといて欲しいアル。」
「その花持って行くとこなんて野暮な話は聞かねぇけど、俺ぁ…伝達係でもなんでもねぇんだぜ。」
「て事だから、あの侍と眼鏡くんに伝えといてヨ。」
「あー…。おう。」
連れ去られるという事はなかったので一旦は安心だ。
ストッ
デカい方の兎の腕が落ちた。
義手か…?
一瞬状況把握に辺りを見渡せば、浪士達だ。あの見張っていた浪士達が俺たちを囲んでいた。気付かなかったのは誤算。チャイナを心配しすぎた俺のミスだ。
俺が動く前にまず、バカ兎がでかい方の腕を落とした浪士を殺した。仲間には目もくれず、妹にも目もくれず、引き裂いた。
俺はとりあえずこの浪士達を生け取りにしなければならない。どうにかバカ兎を止めないと。
「チャイナ!!!すまねぇお前の仲間を助けてやる余裕がねェ!!俺ぁコイツらを生け取りする様に命じられてる!!!!俺よりお前のが走るのが早い!!屯所にこの事を伝えてきてくれねぇかイ!!」
俺は峰で攻撃しながらチャイナに伝えた。アイツは強い。強いけど、守られる大切さを知ったばかりだ。闘わせたくない。
「わ、分かったアル!!バカ兄貴のリミッターが外れたらお前もここから離れろヨ!!」
そう言い残してチャイナは港を駆け出した。
俺は兄兎が暴れ回るのをなんとかして食い止めようと試みた。確かに浪士達は罪人だ。だが、大事な情報を握っているかもしれないし、上からは生け取りと命じられている。生け取りにしないと顔に泥を塗られるのは近藤さんだ。
「おい!バカ兎!!!」
俺は15人程浪士達を薙ぎ倒した後に、暴れ回る神威に浪士の刀を投げた。殺す気じゃないと殺られる。それくらい重々承知している。
キン
金属の鈍い音が聞こえ、弾かれたと同時に傘で切り掛かってきた。多分これは声が聞こえてないのか。どうなのか分からないが、目が狩る者、の目だ。
「お前…この前で懲りたんじゃなかったのかよォ…。」
「…」
無言で微笑みを浮かべる神威を見るに、底知れぬ恐怖と、ほんの少しだけ好奇心が溢れた。
暫く、斬り合いをしていた後チャイナが定春に乗って帰ってきた。
「沖田ーー!!!!」
あいつはこんな時だけ名前を呼ぶ。
俺はというもの、自分が思っているよりボロボロになっていたらしい。
ふと一瞬気が緩んだ。
「余所見すんなよ。お巡りさん。」
「団長!!!やりすぎた!!!!!!」
腕を拾いこちらへ向かってくる阿伏兎。大声で叫んだそれが、聞こえた瞬間もう遅かった。
ヤツの銃口が土手っ腹を貫いた。痛みはなく、たた衝撃が走った。
「総悟!!!」
少し遅れてパトカーで駆けつけた真撰組。近藤さんと土方さんの声が遠くから聞こえた。
薄目の奥で阿伏兎と神楽に押さえつけられる神威の様子が垣間見えた。
俺は意識を飛ばした。
_____
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、
頭が痛い。目を開けるのが億劫に感じる。
身体は…、
動かそうとしたが、シーツが何かに引っ掛り動けない。確認するために俺はゆっくりと目を開いた。
瞳孔がぼやけて何も見えない。軽く瞬きをして、下に目線をやる。見覚えのある橙の髪。白い肌。
寝ているのか。
俺はと言うもの腹に穴が空いた癖に生きていた。悪運が強いな。
寝ているチャイナの髪を片掌で優しく撫でた。寝息を立てて寝ているチャイナ。お前のことだから自分の所為で、なんて思うのだろう。
髪を撫で数秒後、チャイナが起きた。
「……ぉ、沖田!!!おま、お前、だだ、だいじょっうぶか!?!?」
あまりにも必死に俺に訴えて来たので、面白くて愛おしくて、くすっと笑って。するとチャイナはむっとして、目に涙を浮かべていた。
「私は!!本当に心配したんだ!!!私の所為でお前まで失ったって、ほんきで…」
自分を責めるチャイナ。俺はチャイナの頭を撫でながら、微笑んで。
「あぁー、俺ぁ特別頑丈に出来てるみてぇだ。だから、お前が心配する様な男じゃねえし。俺がただヘマをしちまっただけでィ。」
「……でも、」
いつもより優しく微笑みが溢れる。ああこう言う所が好きなんだ。こいつのコレを守ってやれるのは俺しかいないんだ。なんて再確認すれば、気持ちに拍車が掛かる。
俺は暗い表情で俯いてしまったチャイナを横目にゆっくり起き上がる。やはり軽く痛みはある。
「っ、」
「だっ、」
大丈夫?と言わせない様に、俺はその機を逃さずチャイナの腕を引いて抱きしめた。細い肩と細い腰、しっかり抱いて、今なら何か言える様な気がしたのでチャイを抱きしめたまま口を開いた。
「お、沖田…?」
「…チャイナぁ、俺ぁ死に際お前のこと見てホッとしたんでさァ…。多分きっとお前が無事でよかった安心感に油断した、」
チャイナは腕をあたふたさせて、それでも怪我人の俺には手を出せないみたいで大人しく話を聞いてくれる。
「だから…その……なんだ、要するに、無事でホッとする、とか真選組以外にはおめぇしかいねぇし、… 。」
俺は段々恥ずかしくなって来て、チャイナの肩に顔を埋めた。俺の心音はきっと筒抜けだろう。こんなに高鳴るのは初めてで俺だって訳がわからなくなってくる。俺はもごもごと詰まる言葉の尻を叩いて。
「…、好きなんだよ、お前のこと、」
チャイナはゆっくりと、ガキに接するみたいに俺の背中と背後頭に手を回して、穏やかな声で言った。
「沖田。あ、アタシだって、お前の事っ……好きだよ。」
驚きのあまりそのままチャイナの顔を見上げた。
「ぁ、今、顔見るなばか!!」
耳まで真っ赤に染めたチャイナは手を離して両手で顔を隠した。俺はチャイナの腰に回した腕を降ろして、
「……なァ、顔、見せて」
顔を隠す手に軽く触れる。チャイナは首を横に振る。俺はチャイナを持ち上げて膝の上に乗せる。
「わ!?」
顔を隠す手が離れた。
顔全体が真っ赤になって、りんごの様だった。俺はそれを見れば笑みが溢れて。
「やっぱりお前は可愛いなァ。」
「は?!何言ってるアル、アタシは元々かわいっ、」
ぷりぷり怒るチャイナに軽く触れる口付けを落として。数秒見つめ合う。
「〜〜っっ、”」
「はは、お前に、早くこうしたかった。あ、お前そう言えば花は、…その、母親の所行かなくていいのかよ」
「今はお前のが、大事だから、花はいつでも行けるから。…大事な人を優先する方が、マミーは喜ぶネ。」
とても嬉しくなった。
俺のことをそんなに好いてくれてたなんて、この上ない幸せだ。
俺はチャイナの胸に擦り寄って再度抱きしめた。
「おき、た、」
恥ずかしそうに名前を呼ぶチャイナが可愛くて愛おしくて、このまま……。
バーン
扉を開けて入って来たのは、土方さんと旦那だ。
「ハイハイ乳繰り合うのはそこまでだァーエロガキ共ー。」
「オイコラ今入るなって、言った、」
「るっせぇー!!!お父さんは認めません!!!こんなどこのクソサドかも分からんやつに!大事な娘を預けるなんて!!!」
ドアが開いた音と共に俺はベットの外にチャイナに投げ飛ばされた。床で土方さんと旦那が痴話喧嘩してる声が聞こえて俺はまた意識を飛ばした。
再び目を覚ましたのは2日後。
ぱち、と瞼を開けると今度は近藤さんがいた。
涙ぐんだ目で俺に問いかけてくる。
「総悟ぉ…お前無茶ばっかりしやがって…、、生きててよかったよ、本当。」
「大丈夫ですぜ。俺は特別頑丈みたいです。あ、浪士たちは…」
「ああそれならトシが全部捕まえて屯所に連れて帰ってきてたよ。心配ない。」
それを聞いて安心した。気を失ってる間もどこかでその事を気にしていた。事が済んでよかった。
俺はと言う物、土手っ腹に穴が空いた癖に約1週間前後で退院。傷さえあるものの、命にも身体にも別状はない。
無事任務復帰もして元ある生活が戻った。
と思っていた。
「 あ 」
「 あ 」
見回り中にチャイナとたまたまあった。
あれからなんの連絡もないし、そもそも会いもしなかった。
「よォ、チャイナ。」
「お、おう、」
俺は照れ臭さからか、神楽、なんて呼べないまま。互いにどこか照れ臭い。
俺は慣れてるはずなのに、軽く目を合わすことくらいしか出来ない。あの日キスができて、抱きしめられたのは死に際だったからなのかもな。なんて。
「身体…大丈夫なのカ。」
「あー、なんとかな。たまに痛むくらいで今はもう任務に復帰してやす。」
「そ、そう。」
「…。」
もどかしい。手だって繋ぎたいしキスだってまたしたい。チャイナはそんなこと望んでないかもしれないが俺は正直めちゃくちゃしたい。が任務に戻る時間だ。
「チャイナ、またな。」
「……まって!」
「!?」
どすん、と勢いよく胸に突撃されたと思えば胸ぐらを掴んで唇に柔らかい感触が触れた。
「は、はァ!?」
俺は赤面して、口を抑えた。
「この前の仕返しだバカヤロー。」
小悪魔みたいにくすっと愛らしく笑えば紫色の傘を差して俺に告げた。
「な、っ、」
俺は不意打ちされて、驚きもしたが何より向こうからキスをしてくれた事に嬉しくなってその場で人目なんて気にせず、捕まえる様に抱きしめて。
「俺に仕返しするなんざ100年早いんだよ!!」
口角を上げて笑えば抱き上げて細い首筋に赤い印を付けて。ざわめく街角で見つめ合い数回口付けを交わした。
「ばっ、沖田!!まっ、て!!ちょ、!!」
口を離したチャイナは俺の口を抑えて恥ずかしがっている。
「なんだよチャイナァ…、仕返すんじゃなかったのかイ?」
「だ、!〜〜っ”“、」
「んはは、かわいいなァお前、よし。こんままばっくれっかな。見回りも飽きたし。」
「はえ??」
俺はチャイナを小脇に抱えたまま歩き出した。やっと言えた。コイツは俺のもので俺もお前のものだって。
「ちょっ、降ろせヨ!!サドッ、」
「んー、やだね。」
「降ろせって!!」
お前なら本気で暴れたら力でなんとでも出来るはずなのに本気で抵抗しないって事はそれなりに愛されてるって自惚れてもいいだろ。
「サ、」
「サドじゃない。」
「はあ?」
「名前呼んで、神楽、」
「っあ、」
「…。」
「離せヨ……沖田…、」
「及第点。しゃーなし離してあげる。」
下の名前で呼んでもらうのはまだ良い。今はこうやって混じり合えることが何よりの幸だ。
小首を傾げて大きな瞳でこちらを見つめながら神楽は言った。俺はそっと地面に降ろした。
「っ、満足かよ!!!変態!!!」
「あー?俺は変態じゃないしーお巡りさんに暴言でしょっぴくぞー。」
fin .