いむくんsideです
「ねー、またタバコ〜?」
うちの彼女は宇宙一可愛い。
僕がタバコを吸ってるとき心配そうに見てくるところも、
「りうちゃんは優しいねチュッ」
「んっ…」
僕が不意にキスをすると頬をりんごみたいに染めるところも、
全部、全部、僕が大好きなりうちゃんだ。
「タバコ臭いー」
「ごめんごめん笑」
唇が触れ合うだけのやさしいキス。
甘くて優しいこの時間が1番好きだったりする。
「愛してるよ、いむ」
照れがちに愛を囁くりうちゃんに「ありがと」とだけ伝える。
僕の容量じゃ、充分な愛をお返しできない気がしたから。
「いむh…」
「あ、タバコ買わなきゃ」
期待が含まれたりうちゃんの声をかき消すように言う。
僕は昔から傷つきやすい人間だった。
些細なことを重く受け止めて、深読みして、それで病んでしまう面倒臭い奴。
それが原因で家族にも呆れられることもしょっちゅうだった。
「_@またアンチ…ッ_」
ただただ辛さを忘れたかった。一時的でもいいから楽になりたかった。
けど「OD」とか「リスカ」っていう、所謂自傷行為というものは怖くて出来なかった。
「はぁ……」
唯一、タバコだけは抵抗がなかったから、僕はなにか辛いことがあればすぐタバコを吸うようになった。
「あぁー…」
「なんで僕ってこんななんだろ…」
タバコに酔いしれる自分も、ちょっとのことでメンタルを病む自分も、全部全部大っ嫌い。
りうちゃんが好いてくれてる自分だから、少しでも好きになろうと努力する。
それでもやっぱり…
「ごめんね……っ」
当然、自信なんてあるわけなくて。
こんな僕がりうちゃんの恋人でいる資格なんて無いのかな、なんて杞憂だってわかってるのに思っちゃって。ずるずると黒い糸が永遠と引かれてる。
そして、一服。
これがほとけを守る手段。
そこから数週間。
僕の心身に明らかな異変を感じた。
タバコを吸ってないと強烈な希死念慮に襲われるようになった。
「はァッ、ハ、ぁ、…」
動悸がして、呼吸の仕方がわからなくなって、でも不思議と苦しくなくて。
大好きだった活動も日に日に辛くなってくばかり。
お医者さんには行かないけどきっと鬱と同じ類のものだ思う。
死にたい。どうしようもなく消えちゃいたい。
『ほとけっち……』
ふといつだったか、記憶の中にあるりうちゃんの声が脳内に響いた。僕が死んだらりうちゃんはどうなるんだろう。
「あーあ…りうちゃんに申し訳ないなぁ…」
「別れよう」なんて簡単に言えたら楽なのにな。
りうちゃんからの優しい愛情を僕は貰いすぎてしまったんだ。りうちゃんが僕を愛してくれてることが痛いほどわかってしまって。
りうちゃんを傷つけたくない。悲しませたくない。りうちゃんにとって僕なんかとは別れた方が長い目で見たらいいに決まってる。
分かってるのに…
僕はなんて臆病者なんだろう。
デスクライトだけがチカチカと光る真っ暗な闇の中。数十年ぶりに手紙に筆を走らせる。
《りうちゃんへ
突然いなくなっちゃってごめんね。
勝手にいなくなっちゃったこと、怒ってる かな?僕ね、本当はすっごく弱いんだ。弱いから、すぐ傷ついちゃうから、タバコで誤魔化して一瞬の高揚感に溺れたの。
それでももう限界がきたみたい。
僕の身体おかしくなったんだ。夜になるとすぐ死にたい死にたいって思っちゃって、それ以外なにも考えられなくなっちゃって…
彼氏のこんな話、聞きたくないか笑ごめんね。
本当は、りうちゃんに気持ちを伝えてから死にたかったんだけど、僕、臆病者だから直接言えなかった。最期までダメな彼氏でほんとごめん 。
だから、今ここで伝えさせてください。》
そこまで書いてから自分の頬がいつの間にか濡れてることに気づいた。これ書き終わったら本当にお別れかもしれないんだ。
「ふぅ…」
《今日まで僕の隣に居てくれてありがとう。
ずっと支えてきてくれてありがとう。
りうちゃんは間違いなく、僕の1番の恋人です。
ずっとずっと、愛してる》
りうちゃんを想った最期の言葉。
沢山のありがとうを愛を綴っても、僕の心の中にある想いは書ききれない。
明日は初兎ちゃんがうちに来る。りうちゃんは用事があるんだっけ。
ちょうどいい。初兎ちゃんには申し訳ないけど僕の死体の第1発見者はりうちゃん以外がいいから、明日死ねる。
翌朝、これからすることへの緊張からかだいぶ早く目が覚めた。起きるとりうちゃんが支度をしていた。
「あ、りうちゃん…」
「ほとけっち!!」
僕の顔を見るなりぱぁっと顔を輝かせるりうちゃん。
「おはよう!」
いつになく元気な姿に思わず涙しそうになる。
「おはよう」
「今日のりうら、どう?いい感じ?」
くるくるとその場で回転し僕に洋服を見せてきて、最後に首を傾げる。元々イケメンなりうちゃんと、洋服のかっこよさの相乗効果でその仕草全てが様になっている。
「かっこいいし超可愛い」
「えへへ〜じゃ、時間だからもう行くね」
「うん」
これが最期なんだ。
りうちゃんと顔を合わせて話せるのも、もう死んだら終わり。
「行ってきまーす」
そう、りうちゃんは満面の笑顔で腕を振る。
「ちょっと待って…!」
「えっ、」
「ちゅっ」
無意識に動いた身体はりうちゃんの腕を引っ張り、りうちゃんの唇にそっとキスをした。
「行ってらっしゃい!!!」
ෆ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ෆ
貴方の声が大好きでした。
普段のかっこいい声、作られたショタボっぽい可愛い声、ちょっぴりえっちな声。
ひとつの声帯から出てるとは思えない多彩な声色を1番近くで聞けて幸せでした。
貴方の笑顔が大好きでした。
些細なことで、口を大きく開けて笑うそんな貴方が愛おしくてボケに力が入る。
そんな僕に応えるように沢山笑ってる貴方を傍で見れて幸せでした。
貴方の全てが大好きでした。
一挙一動ずっと見入っていたいくらい、それくらい貴方を愛してました。
いいえ、愛しています、
今も、これからも
いむくん視点でございます
こちらももちろんプr小であげてます(
死ネタ大好きです
コメント
7件
手紙のところでこんな内容あったっけと思ったら、前の話の🐤ちゃんの言ったセリフに繋がっててもうやばかったです!!((語彙力なくてすみません💦 前話も合わせてとても最高です!
小説でこんなに泣いたの初めてなんですが?😭 こーゆうお話大好きです!
待ってください。ん、あれ、んんん、あれれ、伏線多くて天才すぎますね、🐤ちゃんがタバコの味のお話の時に🍣くん優しいねの言葉の意味がツツツツツツ!!わかりますね!!