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かき氷のシロップになり損ねた人
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夜更け。
静かな部屋の中で、スマホの画面だけがぼんやり光っていた。
眠れなくて、何度も寝返りを打っていたあなたの元に、突然通知が入る。
『まだ起きとる?』
送り主は、たっつん 。
思わず少しだけ顔がゆるむ。
『寝れなくて…』
そう返すと、数秒で電話がかかってきた。
『もしもしー?』
聞き慣れた関西弁の声が耳に届いた瞬間、不思議なくらい安心する。
『なんや、ほんまに寝れてへんかったんやな』
「うん…なんか目冴えちゃって」
『そっかぁ』
たっつんは優しく笑って、それから少し静かになる。
無理に盛り上げようとしないその感じが、逆に心地よかった。
『……なぁ』
「ん?」
「今、布団ちゃんとかぶっとる?」
『かぶってるよ』
『えらい』
くすっと笑う声。
『じゃあそのまま、目閉じてみ?』
言われた通りにすると、たっつんの声だけが近く感じる。
『よしよし。今日は頑張ったん?』
「…まぁちょっと」
『そっかぁ。じゃあ今日は特別に甘やかしたるわ』
その言い方が優しすぎて、胸がぎゅっとなる。
『大丈夫やで。眠れん日ってあるし』
『でも、こうして俺がおるやろ?』
低くて落ち着いた声が、まるで隣にいるみたいで。
『だから安心して寝ぇや』
少し照れたように笑ったあと、たっつんはふっと優しく続ける。
『寝るまで通話繋いどいたるから』
「……いいの?」
『当たり前やん』
即答だった。
『むしろ、寝落ちされるんちょっと嬉しいまである』
「ふふ」
『お、やっと笑った』
その声が嬉しそうで、また胸があったかくなる。
『ほら、深呼吸してー』
『……よし、ええ子ええ子』
甘やかすみたいに囁かれて、眠気が少しずつ近づいてくる。
『眠くなるまで話したるし、静かがええなら黙っとく』
『せやけど、一個だけ言わせて?』
「なに?」
『……今日もお疲れさん』
『ちゃんと頑張っとるの、俺知っとるからな』
その言葉があまりにも優しくて。
安心したみたいに、あなたはゆっくり目を閉じた。
すると小さな声で、たっつんが最後に呟く。
『おやすみ。また明日もいっぱい甘やかしたる』