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「そんな顔をしないでほしい」
繰り返し私の頭を撫でて、そう口にすると、
「君は、何も悪くないから……」
低く抑えたトーンで、なだめるように続けた。
「でも、あなたを困らせて……」
胸が押し潰されそうで、涙が込み上げてきそうになる。
「大丈夫だから、私は……」
言葉とともに、運転席からふっと腕が引かれ、
「少し、こうしていてもいいか」
不意に、身体ごと腕に包み込まれた──。
「ドキドキしているだろう……。私は、意外と臆病なのかもしれないな……」
彼の胸の鼓動が耳元で響く。
「ごめんなさい……」
切ない記憶を呼び起こさせたのだろうことを謝る私に、「違うんだ」と、彼が口を開いた──。