僕は沼姫も引き入れた大きなあやかしの群れを引き連れて、山の中を行軍している。
すると、凄まじい妖気を肌でピリピリと感じられた。
「あれが大百足…」
凄まじい大きさの百足が空を飛んでいる。
暗赤色の体に大きな釘が無数に打ち込まれており、釘が打ち込まれている傷口や口から緑色の体液を吐き出している。
そして凄まじい瘴気を放っている。
ーこの濃度の瘴気は人だけではなく、弱いあやかしにも影響が出ますねー
じゃあ、早く倒さないとね。
「みんな攻撃開始。まずは遠距離攻撃して様子を見よう。」
僕はそういうと光線を放つ。
僕に続いて各々が炎を放ったり水の弾や水の槍、弓矢、石の玉を放つ。
そのほとんどが大百足に当たる。
「グゥオオーー!!」
大百足が悲痛な叫びを上げる。
「効いてるぞ!」
大百足はこちらを向き、確実にこちらを認識した。
そして凄まじいスピードでこちらに向かってくる。
「こちらに向かってくるぞ!者ども迎え打て!」
沼姫が迎撃を命令する。
大百足が凄まじい弾幕の中怯まずにこちらに向かってくる。
「く、くるぞぉ!」「ヒッ!」「グアーー!」「い、痛い!」
こちらに突撃した大百足は地面を抉りながら、味方のあやかしたちを黒い煙に変えていく。
「や、やめろーー!!」
僕は破邪を抜き、大百足に切り掛かった。
しかし、大百足の大きな身体に致命傷には程遠い傷しか与えられない。
「グゥあぁー」
大百足は口から緑の煙を放つ。
「ガァー!体が溶ける!」「なんだこりゃあー!」「あ、あぁ!痛い!痛い!痛い!」
緑の煙を浴びたあやかし達が溶け始め、黒い煙に変わっていく。
「これ以上はゆるさん!」
クロが切り掛かった!しかし、やはり大百足の硬い外殻に少し傷が入るくらいだ。
「ぬぅ。呪詛が届かん…」
シロも紫も攻撃をしているが、有効な攻撃には程遠い。紫の幻術にもかかっていないようだ。
「これが…4級なのか…」
味方のあやかしがどんどん黒い煙に変わっていく。
僕もがむしゃらに切り掛かるが、切り傷くらいしかつけられない。
「くっ、これならどうじゃ!!」
カエルや河童など紫の高位のあやかしの配下と力を合わせて作り上げたのか、凄い大きさの泥の混ざった水槍が彼らの頭上に出来上がっていた。
しかし、それは当たれば高威力であろうが、放つ前に大百足の突進で沼姫たちが吹き飛ばされ水槍がただの泥水に変わり、大きな水溜まりを作る。
「くそ!これは放つまで時間がかかってしまってやつに当てられん!」
くそ!あれが大百足に当てられれば!
グサ!グサ!グサ!
空から何かが一斉に降ってきて大百足に何かが刺さった。
「助太刀いたす!」
大百足に刀を刺した大天狗とそれに続いて刀や混合杖や槍を刺した烏天狗がいた。さらに、空にも無数の烏天狗たちがいる。
「大天狗!!」
沼姫が叫ぶ。
「久しいな沼姫。流石に其方らでは厳しかろうと思い助太刀に来てやった。」
「なにを偉そうに。最初からシン様の行軍に混ざれば良いものを。雲行きが怪しかったから出てきたのであろう?」
「ふん!助けに来てやっただけでもありがたく思うのだな!貴様が殺されてから出てくればよかったわ!」
かなり仲が悪そうだ。
「助太刀してくれてありがとう!助かった!」
「其方があの悪凱を倒した新しい土地神か。うむ。感謝するが良い。」
こいつかなり態度がでかい…沼姫がこいつのことが嫌いな理由がわかった気がする。
「者ども!土地神と沼姫の軍と協力し、我ら比類山の天狗が大百足を討ち取るぞ!」
「「おぉー!!」」
あぁ、近くにあるここら辺で一番高い山からこいつら来てるのか。
そしてあの大天狗。沼姫と同じくらい強いな。そして周りの烏天狗たちもなかなか強い。
これは本当に助かった。
しかし、天狗たちが加わったその後も、戦況は思わしくなかった。
相手にも着実にダメージは与えてはいるが、こちらの損害もかなりでかい。みんな満身創痍である。
「これ、勝てないかも…」
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