テラーノベル
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・赤緑
・R18
🍵「えっ…なにこれ重た…」
玄関前に置かれていた宅配便。
俺が頼んだ記憶はないし置き配に設定した記憶も無いからきっとひまちゃんが頼んだものなんだろうけど、にしても異常な程に重たい。
🍵「こんなに重たい物、なに買ったんだろ……」
手荷物を一旦床に置き、両手でダンボールの下を持って玄関へと引きずっていく。
床と箱が擦れる特有の大きな摩擦音が少し苦手なものだから不意にも頬が引き攣るのを自覚した。
🍍「何が入ってるか知りたい?」
🍵「ぉわぁ!?」
聞き慣れたその優しい声が急に後ろから降ってくるものだから、びっくりして思わず尻餅を着く。
途端にじんじんとお尻に広がる痛みと、情けない姿を見せてしまったことの羞恥で顔が急速に熱を帯びていく。
🍍「ごめ、そんな驚かせると思ってなかったわw」
🍍「結構凄い勢いで尻もちついてたけど大丈夫か?」
心配しているような小馬鹿にしているような、あるいはどちらとも捉えられるようなくしゃった顔を覗かせながら俺に手を差し伸べた。
笑いながらも優しさを忘れないひまちゃんのせいで余計に顔が熱くなっていく。
🍵「お見苦しい姿をお見せしました…」
🍍「な、録画しとけばよかった」
🍵「うん絶対やめてね?」
ひまちゃんは俺が運び切れなかった荷物に手を伸ばし、グッと上に持ち上げた。
あのひまちゃんですらも少し重たそうに顔を顰めている。
🍵「…こんなに重たいのって、ひまちゃんほんとに何買ったの?」
🍍「あ〜……知りたい?」
🍵「えっ…知り、たいけど…」
意味深に口角を上げて勿体ぶるように選択肢を委ねてくるものだから、思わず言葉が突っかえる。
ひまちゃんは “本当にいいんだな?” と言わんばかりに俺の顔を覗き込み、ニヤッと口の端を上げる。
🍵「…なによ、そんなに勿体ぶっちゃって」
🍍「いや?すちが喜ぶだろうなぁと思って」
🍵「え、喜ぶもの……?」
俺が喜ぶもの。そう聞いて更に俺の中の疑問は莫大に膨らんでいく。
別に記念日は近くないし、誕生日だってまだまだだし、物を貰うほどの何か凄いことをした記憶は無い。
ふと『あ、これやるよ』みたいな感じで物は貰うことは多少あっても、前もって準備されるようなプレゼントは滅多にない。
🍍「…ほら、開けていいよ」
リビングから取ってきてくれたであろうカッターを差し出され、おろおろしながらも手に取って箱の隙間に刃物を進めていく。
箱を開けても気泡緩衝材やらエアー緩衝材やらで中身をすぐに見せずに、ひまちゃんだけでなくこの荷物までもがに焦らしてくる。
🍵「……え、なにこれ…」
やっと本体が現れた瞬間、俺は状況が掴めないまま固まった。
思考がピタリと止まり、思わず何度か目を擦ったほどだ。
🍍「この前すちが欲しいって言ってたやつ一旦たくさん買ってみた」
🍵「…いやいや、そんなこと一言も…/」
ダンボールの中はローズピンクの色をしたローターやスティック型のよく分からないもの、それに似た棒状の機械などで溢れかえっている。
所謂、アダルトグッズというもの。
🍍「いやいや、こさめと話してたっしょ?」
🍍「ひまちゃんが中々奥手で襲ってくれないからちょっと欲求不満……的なやつ全部スクショ送られてきた」
🍵「っ、…こさめちゃん…!/」
絶対にひまちゃんには言わないからって、こさめちゃんも交換条件で言うからって、長いこと説得してきたからやっとの思いで打ち明けたのに。
スクリーンショットまで送られちゃったら言い訳も何も出来ないし、というか全部送ったって言ってるし。
🍍「その反応、本当みたいだな?笑」
🍵「いや、その…えっと、…../」
こんなキャラにもないこと今すぐ否定しなきゃ。
あんなに聖人とか言ってる俺がこんな発言するなんて何かの間違いだよって、今すぐ違うって言わなきゃ。
わかってる、わかってるのに。
🍵「………そう、です…/」
俺の口は何故か言うことを聞かないだけでなく、肯定までもをしてしまう。
不覚にも頷いてしまう顔の動きも、何故か既に疼いてる俺のお腹も。
全部嘘って否定したいのに。
🍍「…ほんと、かわいいやつ…♡」
そんな顔されちゃったら嘘も本当も関係無く、全部頷いちゃうじゃんか。
🍵「…だって、あんなにずっとそういう話とかはしてるのに…実践まではしてくれないから、」
🍵「冷めたのかなって、不安で…」
やっぱり生物学的に女性には惹かれてしまうもので、男の俺じゃ不満なのかなとか。
流石にないとは信じていても浮気をしてしまう日がくるのかなとか。
そういうことも過ぎった。
🍍「…なわけねぇじゃん」
🍍「ペットは責任もって最後まで飼うのが飼い主の責任ってもんだろ…♡」
🍵「ぅ、゙……っ、♡」
けど、ひまちゃんが今みたいにそうやって首輪をキツく締め付けてくるからさ。
やっぱり全てを期待しちゃうよね。
🍍「…そうそう、この首輪もふたつ買ったんだわ」
🍍「赤色か緑色ならどっちがいい?」
今つけてくれた指輪を緩めて、外そうとするひまちゃんの手首を思いっきり掴んだ。
当の本人はびっくりしたように大きく目を見開いている。
🍵「今の赤のまんまでいい、」
🍵「……ううん、俺は赤色がいい…/」
ひまちゃんの赤色の瞳が揺れると同時に、ネオンのようにギラッと光った気がした。
俺とお揃いの赤い瞳だけど、ひまちゃんにしか無いような欲情がしっかりと現れた色。俺はそれが有り得ないほどに好きなんだ。
🍍「…どこでそんな言葉覚えてきたんだよ。俺は教えてねぇぞ?」
🍍「俺以外の飼い主の宛でも見つけてたら容赦しねぇけど?」
🍵「…っかは、…/♡(泣)」
首輪によって十分に締め付けられている俺の首に、更にひまちゃんの手が宛てがう。
一段と苦しくなる首元が、着実に薄れていく酸素の濃度が、これまでに無いくらいに愛おしい。
🍵「…首だけじゃ、なく…て、」
🍵「身体も締め付けてよ…っ、♡」
ひまちゃんの喉仏が上下する。
俺の今の発言で息を呑んだのだ。
🍍「……俺よりも淫乱に育ちやがって」
🍍「ほんと…下品な犬だな、♡」
俺のことを犬と示唆するけれど、俺のペースにまんまと呑まれているひまちゃんも十分犬っぽいよ。
…なんて、言ったら怒られるのなんて目に見えてわかってるから言わないけど。
俺とひまちゃんだったら、本当にずる賢い犬なのはどっちだろうね。
🍵「…ひまちゃん、すき…っ、♡」
そう言いながら、俺は強引にひまちゃんの口に舌をねじ込んで塞いだ。
🍍「…っは、すち、っ…?♡」
淫らに揺れ動く腰。
お腹に流れ込む生暖かい感覚。
俺の首を締め付ける手。
熱を含んだ甘い吐息。
繰り返すピストン。
俺の名前を呼ぶ君。
🍵「ひま、ちゃ…゙っ、……/♡」
🍍「…っ、すち…♡」
全部、痛いくらいに愛している。
というか、痛いこの行為を愛している。
🍵「っ、゙〜〜〜……?♡♡」
大胆に見えるひまちゃんだけど恋愛となると奥手で中々手を出さない。
お誘いだって受けたことはそうないし、俺もだけどひまちゃんだって顔を赤らめる。
攻めのくせに体力ないし、すぐに達しちゃうし。
でも、いざスイッチが入ったとなれば獣のように豹変しちゃうのがどうも扱い安くて単純でバカだ。
そういうところが好きなんだけど。
🍵「っひまひゃ、…ッあ、゙…?♡♡」
久々の行為だって言うのに、何故だか重たい瞼は下がってくる一方。
必死に抗おうとひまちゃんの手に縋るように掴むけど、もう視界はチカチカ白飛ばしていて使い物にならない。
もう、終わっちゃうんだな。
🍍「…っ、かわい…♡」
最後に俺の目に飛び交った腰を振るひまちゃんには、犬耳と尻尾が生えている程の幻覚が見える。
なんて考えた刹那、俺の視界は黒一面に覆われた。
コメント
2件
すんごいボリュームあって足りないけど満足!!美味しかったよ!!!!(?)