《ヒメボタルのアダム視点》
こんにちは。僕はヒメボタルのアダム。お腹が光るのがとても嫌だったんだ。でも、インセクトランドのみんなは光るって素敵だねって言ってくれた!僕、光ってよかったって思ったよ!
ここは、ヴェルサイユ宮殿正門前という場所。フランス国家警察本部DGPN長官さんが、フランス共和国保安機動隊CRS隊員の二人と話をしているよ。
そこへ日本の警部さんが出て、隊員の二人が彼に気づいて敬礼している。
隊員1「オランド長官」
日本の警部さん「ICPOの銭形です」
銭形という警部さんは身分証を見せた。
オランド長官さん「ふむ。君がルパン専任捜査官の銭形警部か。噂は聞いているよ。私はDGPNのオランドだ」
銭形さん「ご苦労様であります!」
オランド長官さん「しかし、いくらルパンからの予告状が届いたからといって、本当に国家保安機動隊の全面配備まで必要なのかね?」
銭形さん「当然であります!」
銭形さんが何かを使い大きな声で叫ぶと、長官さんと隊員たちは耳を塞いだ!
銭形さん「すでに失われた秘宝『マリー・アントワネットの首飾り』。500個以上のダイヤモンドをはめ込んだその時価は30億円以上。今回は本物のダイヤモンドを使用してその首飾りを完璧に再現し、このヴェルサイユ宮殿で一般公開するということで大きな話題になっております!!それをルパンに盗まれるわけにはいかないのです!このような予告状など!」
銭形さんがポケットから予告状出そうとしても、何かのパンフレットを取り出した!あれ?予告状じゃないんだね・・・。
隊員2「何ですか、それは?」
銭形さん「う、間違えた・・・今回の展覧会のパンフレットだ。宮殿の見取り図もついていて大変便利だ。ではなく・・・予告状・・・予告状・・・」
そう言ってポケットを探した。もう、銭形さんは警部さんなのにおちょこちょいだね。
オランド長官さん「とにかく、今回は君の要請に従って宮殿全体に精鋭の機動隊員を配置したうえ、首飾りの展示してある鏡の回廊には触ると即死する赤外線レーザーを張り巡らせてあり、展示ケース自体にも高圧電流が流れている。ネズミ一匹通れない状態だ。例えルパンが大泥棒でも侵入することは不可能なのだ」
機動隊員が二人入ってきたよ。
謎の隊員1「失礼いたします!ただ今、王妃の寝室付近で不審者を見つけたと連絡がありました!」
銭形さん「何だと!」
謎の隊員2「不審者は赤いジャケットと黒いスーツの二人連れ」
銭形さん「くそっ。ルパンと次元だ!」
謎の隊員1「現在宮殿南翼より鏡の回廊に向かっている模様」
オランド長官さん「了解。南翼に応援を回す。北翼A・B班、南翼Cブロックヘ向かえ。侵入者の情報あり」
その間、銭形さんは謎の隊員二人を見ているよ。
銭形さん「むむっ。むむむむむっ」
オランド長官さん「我々も向かいましょう。銭形警部」
銭形さん「むむむむむ〜」
隊員1「さ、早く」
三人「銭形警部!」
謎の隊員の二人が銭形さんに敬礼し、彼らは下手に行きかけ見送って謎の彼ら上手へ向かったところで何かのベルが鳴った。
謎の隊員1は驚いた。
オランド長官さん「しまった。鏡の回廊に到達したか」
隊員2「急ぎましょう、警部」
謎の隊員1「ん?どういうことだ?」
謎の隊員2「五ェ門がしくじったか?」
謎の隊員1「まっさか〜」
謎の隊員2「じゃ、俺たち以外に首飾りを狙っているヤツが?」
謎の隊員1「とりあえず行ってみっか〜」
謎の隊員2「待て、ルパン!」
銭形さん「ルパン・・・ルパン・・・ルパン⁉︎」
謎の隊員1(ルパンさん)「ありゃりゃりゃら〜、バレちゃったか」
謎の隊員2「行くぞ、ルパン」
銭形さん「捕まえろ!」
二人が制服を脱ぐと本当の姿を現した。あのルパンと次元という人だ。
隊員1「どうしたんですか?銭形警部」
隊員2「ルパン?今のは機動隊員・・・」
銭形さん「ばっかも〜ん!あいつがルパンだ〜〜〜!」
隊員2「は?」
銭形さん「追え!追うんだ‼︎」
隊員たちがルパンさんを追い掛けた。
銭形さん「ルパン、必ず捕まえてやるからな!」
銭形さんが走り出した。
ヴェルサイユ宮殿を再現した美術館にやってきたインセクトランドという昆虫の国から来た僕ヒメボタルのアダムと僕の友達ナナホシテントウのミア、ヘラクレスオオカブトのガブリエル、オオクワガタのラファエル、マメコバチのテオ、ハナカマキリのシャルロット、モンシロチョウのエデン、ギンヤンマのアクセル、そしてハキリアリのマキシームに、逃げるルパンさんと次元さんに銭形さんと長官さんと隊員たちを追うのを見つめると彼らにぶつけられたり退いてきたりして、すると一人の女性が隊員をお色気で倒しているのも見つめたり騒ぎを起こされた。
僕たちは展示回廊まで行くとマリー・アントワネットという王妃たち過去の人々たちの絵を見ていると、またその間を縫ってルパンさんと次元さんを隊員たちが追い掛けてきた。
南翼平和の間まで来た僕たちインセクトランドのみんなから、五ェ門という男の人が、多数の警備員を相手に立ち回りし始め、僕たちは全てを見つめた。
銭形さん「五ェ門!」
騒ぎに巻き込まれながら逃げた僕たちは鏡の回廊にやって来た。部屋中にレーザーが張り巡らされていた。そこへ、あのルパンさんと次元さんと五ェ門さんがやって来た。
ルパンさん「やれやれ、相変わらずとっつぁん、しつこいぜ。よお、五ェ門」
次元さん「誰もいないみたいだな」
五ェ門さん「ぬぬ?お主ら何者だ?」
五ェ門さんが僕たちを見て剣を抜こうとした。
僕らは怖くなって隠れるとガブリエルとラファエルは僕らを庇った。
ルパンさん「おいおい五ェ門、彼らは美術館のお客さんみたいだぜ」
五ェ門さん「美術館の客?」
ラファエル「そうだよ!おいらたちは美術館の客だよ。おいらたちを悪いと勝手に決めつけないでよ!」
ラファエルが泣き出すと五ェ門さんは驚き剣を抜くのを諦めた。
ルパンさん「おいおい泣くなよクワガタ君。俺はアルセーヌ・ルパンの孫ルパン三世。相棒の次元大介、そして斬鉄剣の達人石川五ェ門だぜ」
ラファエル「ルパン三世・・・さんですか」
ラファエルは涙を拭いルパン三世さんを見つめた。
ミア「もう石川五ェ門さんったら、とーっても怖かったよ!」
五ェ門さん「すまん。またつまらぬ言葉を決めつけてしまった」
次元大介さん「それにお前たち、誰なんだ?もう五ェ門反省しているようだが」
アダム「は、初めまして。僕たちはインセクトランドから来ました。僕はヒメボタルのアダム」
ミア「ナナホシテントウのミアです」
シャルロット「ハナカマキリのシャルロットですわ」
エデン「わたくしはモンシロチョウのエデンですわ」
ラファエル「おいらはオオクワガタのラファエル!」
ガブリエル「俺様はヘラクレスオオカブトのガブリエルだ!」
アクセル「俺はギンヤンマのアクセルです」
ルパンさん「なるほど、お前たちはインセクトランドと言う昆虫の国から来たのか。おや、ハチの坊ちゃんとアリん子もまだ怖がってるらしいぜ」
ルパンさんと次元さんと五ェ門さんがまだ怯えているテオとマキシームを見た。
アダム「彼らもインセクトランドから来た、インセクトランドのプリンス、マメコバチのテオと、ハキリアリのマキシームなんです!テオ、マキシーム、もう怖くないって!」
僕が呼びかけるとテオとマキシームは顔を覗いて怖がるのをやめた。
ルパンさん「おいそれよりじゃあ、さっきの非常ベルは誰が・・・」
五ェ門さん「どうせあの女だろう」
ところがあの女の人が下手から出てきた。
女の人「あら、私、そんなヘマはしないわよ」
ルパンさん「おや、不二子ちゃ〜ん。随分いいネックレスしてるじゃねえか」
不二子さん「マリアの涙。ここに来る途中でこっそり頂いたのよ」
次元さん「相変わらず宝石に目のない女だぜ」
ルパンさん「ま、非常ベルは可愛いネズミちゃんでも忍び込んだか・・・。とりあえず、とっつあんが来る前にとっとと終わらせちまおう。二人とも頼むぜ」
次元さん「仕方ねぇな」
次元さんが何かを抜き、天井に向かって撃つとレーザーが消えた。
アダム「レーザーが消えちゃった!」
次元さん「このピストルで天井に向けて撃つだけでレーザーが消えたんだぜ」
次元さんが説明してくれて僕たちが唖然と驚き、その隙をぬって四人がケースに近づくと・・・。
不二子さん「キャー」
ラファエル「あの・・・どうしましたか?」
不二子さん「そこ!ネ、ネ、ネ・・・」
ルパンさん「ん?」
ラファエルがケースの後ろに密かに侵入してきていたネズミを抱いてルパンさんに渡した。
ルパンさん「なんだ。ホントにネズミちゃんかよ〜」
するとネズミがもう目が開かなくなった。
ルパンさん「死んじまったぜ。可哀想に。成仏しろよ」
ルパンさんがつまみ上げたネズミをケースの横に置いたよ。
次元さん「ルパン、ラファエル。そんなもんにかまってないで早くしろ!」
五ェ門さん「いざ、参る」
いつも無口な五ェ門さんがケースに向かって刀を振ると高圧電流の電線が切れ、その後火花が。
五ェ門さん「電流は・・・遅いな・・・」
ルパンさん「エロイム・エッサイム。エロイム・エッサイム。開けゴマ!そいじゃあ・・・」
ケースが開くとルパンさんが、近づいて首飾りに手を触れようとする。
五ェ門さん「待て!」
ルパンさん「うわ!五ェ門。びっくりするじゃねえか」
五ェ門さん「どうも嫌な予感がする。その首飾り何やら禍々しい気配を感じるのだ」
アダム「え?そう・・・なの?」
僕らは怖くなりみんなと抱き合った。
次元さん「確かに・・・どうも様子がおかしい」
不二子さん「すごいダイヤモンドの輝き・・・魔法みたい・・・。こんな宝石がたくさんあった時代に行ってみたいわぁ」
ルパンさんが雰囲気に魅入られたようにゆっくり首飾りに手を伸ばそうとしたその時、銭形さんと機動隊が入ってきた!
銭形さん「見つけたぞ、ルパン!」
ルパンさん「ありゃりゃりゃりゃ〜。のんびり呪文を唱えてる間に囲まれちまったぜ」
アダム「あー!」
不二子さん「どうしたの坊や?」
アダム「僕らが美術館に観に行っている途中、うるさい声出した人はその人だ!その警部さんが美術館に迷惑かけている、騒ぎを起こした本人なんだよ!」
五ェ門さん「銭形がうるさい声を出して騒ぎを起こしたところを見ていたから迷惑だと思ってたんだな!」
僕たちは頷いた。
銭形さん「今度こそ捕まえてやる!ルパ・・・うわっちちちちち」
銭形さんがルパンさんをとりおさえようとして、自分がレーザーにひっかかり、僕たちは銭形さんと機動隊に向けて大騒ぎの天才だと笑い出した。
不二子さん「いやーエッチ!」
銭形さん「うわっちっち!」
銭形さんが慌てて避けようとしてよろけて僕たちにぶつかり、玉突きでルパンさんが首飾りに手を触れたその時、首飾りが光り、レーザーが回りだした!
ルパンさん「うわあああ」
次元さん「なんだこれは」
五ェ門さん「くっ」
銭形さん「待てルパン」
銭形さんがルパンさんに捕まえようとした際に僕たちのおかげで離させる事が出来た。
ルパンさん「みんなありがとよ」
銭形さん「諦めないぞルパン!」
ルパンさん「とっつあん、離せって」
銭形さん「絶対離さんぞ!ルパ〜〜〜〜〜ン‼︎」
ルパンさん「離せ!とっつぁ〜〜〜〜〜ん‼︎」
僕たちは銭形さんを飛ばそうとするがレーザー回りに耐えず悲鳴を上げた。
みんな「ぎゃー‼︎」
不二子さん「きゃあああ」
ルパンさんたちと僕らインセクトランドの友達は混乱と共に消えていった!
現在のヴェルサイユ宮殿の鏡の回廊とは違い、見たこともないドレスを着ている男女たちが集まってきて噂話しているよ。
ドレスを着ている女性1「今年の冬も寒いですわね。なかなか春が来ない」
ドレスを着ている女性2「どうやらどこか北の方で火山が噴火したらしいですわ。お陰で平民たちがうるさくてたまらない」
紳士服を着ている男性1「やれ啓豪思想の、やれ人権の・・・。そんな話ばかりしてなまけてさえいなければ、ちゃんと税金だって納められるだろうしさ」
ドレスを着ている女性1「本当に」
すると一人のおじさんとお姉さんの会話にもう一人のお姉さんが割り込んできたよ。
ドレスを着ているお姉さん2「相変わらず陛下はカロンヌ財務長官のいいなりなのですか?」
おじさん「ええ。ただでさえ国内の財政が厳しいというのに、アメリカの独立戦争にまで出資したツケですな」
ドレスを着ているお姉さん1「仕方ないわよあの方、錠前と大工仕事にしか興味ないんですもの。だから、王妃様もあんな出来心を」
声「宮中ですよ!おだまりなさい!」
聞いていたドレスを着ているおばさんがお姉さんを扇で制した。
別場所では、悪いお姉さんとその愛人の悪いお兄さんが話しているよ。
悪いお兄さん「宮廷のしきたりを守らず、浪費三昧。その上にスウェーデン大使、フェルゼン伯爵との浮気騒動で、あのオーストリー女の評判は下がる一方だ」
悪いお姉さん「いい気味だわ。ブルボン家の人間なんて地獄に堕ちればいい。家を取り潰された恨みを忘れはしない」
悪いお兄さん「そしてジャンヌ。それを利用して俺と君は天国へ行くってわけだ」
悪いお兄さんはジャンヌという悪いお姉さんの肩を抱く。
奥から、ルパンさんと次元さんと五ェ門さん、そして僕たちインセクトランドのみんなが出た。
テオ「Oh,Mr.Lupin。これはいったいWhat do you meanなのさー!」
五ェ門さん「落ち着けテオ殿。これは・・・仮装パーティーか?」
ルパンさん「財政不安、錠前作りに、オーストリアから来た王妃とフェルゼン伯爵・・・。どこかで聞いた話じゃねえか?アダムたちも知ってるだろう?」
アダム「うん、僕たち、現代美術館の絵の人々がいっぱいいたよ」
次元さん「まさか・・・」
声「国王陛下と王妃様がおいでになりました」
ドレス姿の人々が恭しく分かれる中、僕たちが写真から見たマリー・アントワネット王妃様とルイ16世陛下が現れた。
五ェ門さん「あれは・・・」
テオ「Louis XVI世陛下様とQueen Marie Antoinetteだね」
次元さん「ルイ16世陛下とマリー・アントワネット王妃って事か」
テオが頷いたよ。
ルパンさん「どうやら俺たちは、首飾りの力で18世紀フランスにタイムスリップしちまったらしい」
マリー・アントワネットという女性と人々の中に男の人を見つけた。
マリー・アントワネットという女性「あら」
男の人「ご機嫌うるわしゅう、王妃様」
男の人が花を一輪王妃様に差し出してきた。
王妃様「どちら様だったかしら?」
ルイ16世陛下「ストラブール大司教のロアンですよ、王妃」
ロアン大司教さん「ええ」
王妃様「ああ・・・オーストリーにいらした時にはあんな所やこんな所に行かれて随分お楽しみになられたお方だったかしら?」
お姉さん1が笑うとおばさんが咳払いした。
おばさん「王妃様」
王妃様「だって、嫌いなのよ、あの方。どうせ私に取り入って、財務長官にでも取り立ててもらおうと思ってるんでしょ」
王妃様が小声でロアンさんを見て言った。
おじさん「王妃様。彼は代々続くカトリック枢機職、ロアン=ゲネメ家のプリンスとしてフランスの民衆から人気があります。あまり表だっての諍いをおこすのは・・・」
王妃様「フランス民衆に人気?じゃあ、もっと嫌いだわ!」
王妃様が近づいてくるロアンさんを無視した。
王妃様「それでは皆様、よい一日を。ごきげんよう」
ルイ16世陛下「王妃!それではこれで謁見を終わる。フランス王室の栄光の永遠に続かんことを!」
王妃様とルイ16世陛下が謁見を終え、ドレスを着ている人々が礼をし、ルパンさんと次元さんと五ェ門さんと僕たちも礼をした。
ルイ16世陛下がおじさんを小声で呼んだ。
ルイ16世陛下「メルシー、メルシー」
メルシーさん「はい」
ルイ16世陛下「では、私は作りかけの錠前があるので、これで失礼する。後は頼んだぞ」
メルシーさん「陛下!」
ルイ16世陛下が帰ろうとするところに僕がぶつかてしまった!
アダム「あの、ごめんなさい!」
ルイ16世陛下「これは失礼・・・ん?メルシー伯爵、今日は随分と奇妙な格好の客とかわいい虫たちがおるのう」
ルイ16世陛下が笑ってルパンさんたちと僕らを見た。メルシー伯爵という人もルパンさんとその仲間たちとインセクトランドの僕らを見つめた。
メルシー伯爵さん「何者だお前たち!近衛兵!」
近衛兵たちが現れ、僕らは怖くなって怯えた。
近衛兵1「曲者だ!捕らえろ!」
近衛兵2「不審者だ!皆の者、かかれ!」
みんなが大騒ぎとなり、近衛兵の二人の指揮で兵士たちが飛びかかってきた。ルパンさんは五ェ門さん、次元さんと共に近衛兵から怖がる僕たちを守ってくれた。その中でルパンさんがロアン枢機卿様から花を盗み、ミアが王妃様とぶつかり、あまりにも近衛兵が怖かったために泣き叫んだ。王妃様が手を差し出し、ミアの手を繋いで起こしてくれた。僕たちはミアを見て喜びルパンさんが王妃様に声をかけた。
ルパンさん「失礼、王妃様。少し時の狭間に迷い込みまして。では」
ルパンさんが恭しく王妃様の手に口づけして花を渡し、ルパンさんたちがインセクトランドの僕たちと共に逃げ去って行った。
人々は呆然としている。
ロアンさん「あれ?私のバラがない。私のバラを知らないか?・・・あれは、あれは私のバラだ!くそっ!」
王妃様がその様子に思わず笑い出した。近衛兵が我に返った。
近衛兵1「追え!」
近衛兵たちが走り去り、王妃様が笑い続ける様子をみんなが呆然と見つめるのだった。
城の外、銭形さんが歩いてきた。
銭形さん「ルパ〜ン。どこにいった〜。ルパ〜ン」
近衛兵の二人がやってきた。
近衛兵2「くそっ、あの男たちと虫らどこに行った」
銭形さん「ん?お前たち、何者だ!」
近衛兵1が銭形さんに気づいた。
近衛兵1「お前こそ何者だ!」
銭形さん「私はICPOの銭形警部です」
近衛兵2「ICPO?」
銭形さん「インターポール。国際警察です」
近衛兵1「警察?警官の方ですか!我々は王宮の警備の者です」
銭形さん「それはそれは、ご苦労様であります」
銭形さんが敬礼すると、つられた二人の兵隊も敬礼した。
近衛兵1「ひょっとして不審者と虫っ子らの報告を受けられたのですか」
銭形さん「不審者と虫っ子ら?あれ、虫っ子らって美術館のお客さんだったな・・・確か、私に声がうるさい人だと言ってた・・・」
近衛兵2「美術館のお客様?」
銭形さん「は、はい。それより不審者は?」
近衛兵2「赤い服を着た男と、その連れの三人組です」
銭形さん「赤い服!ルパンだ!そうです!それに違いありません。やつらは王妃の首飾りを盗みにきたんです」
近衛兵1「王妃様の首飾りを・・・なんと不敬な!」
近衛兵2「銭形警部!よかったらご協力いただけませんか?」
銭形さん「もちろんです!ルパンを捕まえるためなら協力は惜しみませんぞ」
近衛兵2「ありがとうございます!」
近衛兵1「では、参りましょう!」
銭形さん「おう!」
銭形さんと衛兵の2人が行ってしまうと、ルパンさんと五ェ門さんと次元さんとインセクトランドの僕たちが出てきた。
ルパンさん「さすがとっつあん、仕事熱心だねぇ〜」
次元さん「おい、それよりこれからどうするんだ」
ルパンさん「とりあえず、首飾りの力でタイムスリップしちまったなら、その首飾りでも探してみっか。しかし、この格好じゃ目立ってしかたねぇな」
次元さん「俺たちはともかく五ェ門は目立つだろうな」
五ェ門さん「ぐぬぬ」
ルパンさん「ジャポンから来たサムライだって言ってごまかせりゃいいんだけどなぁ・・・」
五ェ門さん「拙者ではない。このハチのテオ殿とエデン殿の方が目立つだろう」
五ェ門さんがテオを指してきた。
テオ「僕とEdenですか?Me and Eden?」
五ェ門さん「テオ殿はインセクトランドのプリンスで王子のような服着ているんだしエデン殿だって緑のドレスと水色のリボン付けてオシャレだしどこかの金持ちの子だと言ってごまかせりゃいいだろう」
テオとエデンが顔を見合わせていると花道により男の人が三人やってきた。あれは僕らの仲間かな?
男の人「パリの視察、勉強になりました。ミラボー殿も、バルナーヴ殿も、ありがとうございました」
ミラボーさん「もう少しパリを楽しんでいけばいいのに。もうアルトワへ戻られるのですか?」
バルナーヴさん「そうですよ。あ、カリオストロ伯爵を知っていますか?いまパリで話題の錬金術師です。時を超える秘術を知っていて、恋人を使って未来予知をするとか」
男の人は笑い出した。
男の人「馬鹿馬鹿しい。この宮殿といい、パリといい、無秩序の塊ですよ。私はいつか必ずフランスを、全てが計画通りに進む、秩序だった国に変えてみせます」
ミラボーさん「健闘を祈りますよ。マクシミリアン・ロベスピエール殿」
マクシミリアン・ロベスピエールと言う男の人とミラボーさんが握手を交わしたところにルパンさんたちが襲いかかった。どうやら、僕らの仲間じゃなかったみたい。
マクシミリアン・ロベスピエールさん「うわ。何だお前たち!それに虫⁉︎」
ルパンさん「悪く思わないでくれよ〜」
ロベスピエールさん「返せ、こいつ!待てー!」
ロベスピエールさんとミラボーさんとバルナーヴさんが僕ら以外にルパンさんたちを追いかけて去っていった。
アダム「あー、びっくりしたよ。でもあの人、美術館で見た絵に出てきたマクシミリアン・ロベスピエールさんだったよね?」
テオ「うんそうだねアダムBoy。あれ、Mr.Lupin?Mr.Jigen!Mr.Goemon!Wait!」
テオがルパンさんたちを追いかけ、僕たちもルパンさんたちを追いかけて行った。
ここは、僕らがまだ知らない地下。誰かさんの工房らしいね。そこには悪いお姉さんジャンヌさんの夫らしき男の人、あのおばさんと何かの商売人がいるよ。その中にいるのは、美術館で見たことのあるあの錬金術師カリオストロ伯爵さんだ。彼は、水晶玉を待つ助手のお姉さんに呪文をかけ、未来を語らせているよ。
カリオストロ伯爵さん「エロヒーム・イッシーム。エロヒーム・イッシーム!我は求めて訴えたり。世界一の秘術をお見せしましょう。あなただけに教える、時を超えたメモワール。では、ド・ラ・モット伯爵」
ド・ラ・モット伯爵さん「実は、妻のジャンヌが秘書のレトーと浮気しているのではないかと疑っている。せっかく修道院から逃げ出したところを助けてやったというのに。もし本当に浮気しているのなら、今すぐにもあいつを捨ててやる。カリオストロ殿、どうか、我々の未来を教えてくれ」
カリオストロさん「嘘とデマを混ぜて、真実を作る。水晶にうつるは作られた未来。お望みのままにお答えしましょう。アブラカタブラ、開け扉よ」
カリオストロさんは、女性に耳元で囁くように術をかけた。
女性「奥様はあなたを愛している。末永く幸せに暮らす姿が見えます。レトーと話しているのはあなたを喜ばせる方法。今晩奥様はあなたの好きな白いバラの花束を贈る。それが愛の証」
ド・ラ・モット伯爵さん「本当かね!」
カリオストロさん「真偽は今夜分かるはず。お代はその後で結構ですよ」
ド・ラ・モット伯爵というジャンヌさんの夫が立ち去った。
おばさん「カリオストロ伯爵!この間の予言通り、無事にマカロンちゃんが帰ってきました。本当にありがとうございます。少し薄汚れておりましたけど、元気な様子で・・・伯爵様のおかげでございます。お礼にこの、アントワネット様から頂いた紋章入りのハンカチーフを」
おばさんがハンカチーフにくるんだ金貨を渡した。
カリオストロさん「いえ、私はただ見た未来を告げたのみ。ですが、こちらは、多くの人々を救う研究のために頂いておきましょう」
カリオストロさんが金貨をしまうとおばさんが自分の席へ座った。
カリオストロさん「瓢箪から駒を取り出し、絵に描いたパンをこねる。これぞ現代の錬金術。石ころも宝石に変える」
2人の商人が前に出た。
商人1「カリオストロ伯爵、どうぞお救いください」
商人2「私たちは宝石商のポール・パッサンジュと」
商人1「シャルル・ペーマーでございます。実は我々は先代のルイ15世の命をうけ、愛妾であられましたデュ・バリュー夫人のために540個のダイヤモンドを使った首飾りを作ったのでございます。ですが、先王は急死なされ、デュ・バリュー夫人も宮殿を去り、制作費用に用立てた160万ルーブルは返せないどころか、その負債でついに倒産の危機なのでございます」
ポール・パッサンジュさん「先日たまりかねてマリー・アントワネット様に購入いただけないかと持ちかけたのですが、デュ・バリュー夫人と敵対なさっていた王妃様はつれないご様子で」
シャルル・ぺーマーさん「このままでは私たちはセーヌ川に飛び込むしかありません。・・・追い詰められてカリオストロ様にご相談に参った次第でございます」
パッサンジュさん「こちらがその首飾りでございます」
パッサンジュという宝石商が持っていた箱を開くと。
カリオストロさん「・・・素晴らしい。よろしい、未来を見てみましょう」
カリオストロさんが女性に術をかけた。
女性「まもなく買い手が見つかります。心配することは何もない」
ペーマーさん、パッサンジュさん「おお」
女性「春のセーヌ川で船遊びを楽しむお二人の姿が見えます。カリオストロ伯爵の言うことを聞いて・・・。正しき情報を得るでしょう」
ペーマーさん「わかりました!」
パッサンジュさん「ありがとうございます!」
2人の宝石商が首飾りの箱をしまうといそいそと去って行った。
カリオストロさん「家出娘を巫女にしたて、偽りの口寄せ詐欺。これぞ現代の錬金術。嘘の木に、金の花咲く。さあほらご覧あれ。これがちまたで話題の時を超えるカリオストロ、錬金術師!」
女性が拍手して話し始めた。
女性「相変わらず口からでまかせが上手ねぇ。この間、メルシーとかいう伯爵に売りつけたあなた若返りの薬も、セーヌ川で汲んできた水にニワトリの糞を混ぜただけなんでしょ?」
カリオストロさん「黙れセラフィーナ」
セラフィーナという女性はしゃべり続けた。
セラフィーナさん「それにしてもさっきの首飾り素敵だったわねぇ。一度でいいから手にしてみたいわ」
カリオストロさん「早く着替えないと、そんな格好じゃ腹壊すぞ」
セラフィーナさん「そんな格好ってあんたが着ろって言ったんでしょ!」
セラフィーナさんが奥に去ると、カリオストロさんが金貨を数えた。
地下室の入り口でジャンヌさんとレトーという秘書がやってきた。
カリオストロさん「遅かったな」
そしてカリオストロさんはジャンヌさんに顔を向けた。
カリオストロさん「お前の旦那が来てたぞ。しばらくレトーといちゃつくのは止めろ。それから帰りに帰りに白いバラの花束を買って帰れ。レトー、あの犬はどこから連れてきた」
レトーさん「ああ、その辺に結んであったスピッツを捕まえて、リボンを付けた」
カリオストロさん「なるほど。今度からはよく洗っておけ!」
カリオストロさんは笑いながらもはレトーさんに叱った。
レトーさん「お・・・おう」
カリオストロさんに怒られたレトーさんは怯えた。この人カリオストロさんに弱そうだ。
ジャンヌさん「宮廷に変な三人組と虫の子たちが現れて大変だったのよ。それにロアン枢機卿が宮殿まで押しかけてきてアントワネット様と一悶着あって」
カリオストロさんが、金貨を数え終えて、ハンカチを暖炉に投げつけようとすると・・・。
声「お〜っとっとっとっと。それはまだ使えるぜ」
テーブルの後ろからルパンさん、次元さん、五ェ門さん、そして僕たちインセクトランドの友達が現れた。
カリオストロさん「何だ、お前たち!どこから入ってきた」
レトーさん「おい!」
ジャンヌさん「あんたたち!さっきの!」
ルパンさん「そのハンカチの価値が分からないようじゃ、錬金術師としてはともかく詐欺師としてもまだまだだぜ」
カリオストロさん「お前たち何者だ!」
ルパンさん「俺たちは未来から来た泥棒だ。こっちがジ・ゲーンとゴ・エモーン。そして俺は人呼んでルパン三世。大泥棒ルパン一世の孫。こいつらも同じく未来からやってきた『インセクトランド』という昆虫の国に住むお客さんだ」
僕らはそれぞれ自己紹介しながらお辞儀した。
カリオストロさん「ふん、バカバカしい」
ルパンさん「おや、時を操る魔術師らしからぬ言葉だぜ。お客さんが怖がってるぞ?」
カリオストロさん「時なんか操れるわけがない。下手な嘘を吐くのは止めろ」
ルパンさん「そうだな。嘘はあんたほど上手くねぇがな」
カリオストロさん「なんだと」
ルパンさん「おっと怒るなよ。じゃあ、証拠にうまい儲け話を教えてやるぜ」
カリオストロさん「うるさい、出ていけ」
ルパンさん「ありゃりゃりゃりゃ〜。さっきのマカロンちゃんの話、バラされちゃっていいのかな〜」
テオ「Mr.Lupin、マカロンちゃんって?」
ルパンさん「マカロンちゃんはな犬の名前で・・・」
ルパンさんがヒソヒソとテオに教えると・・・。
カリオストロさん「なんだと!」
カリオストロさんが、ルパンさんとテオに斬りかかろうとするが五ェ門さんが刀で制した。
テオ「Suprised・・・」
ルパンさん「そうカッカすんなって。いいか、俺はあんたたちにルイ15世の首飾りを手に入れてやろうっつってんだ」
ジャンヌさん「ルイ15世の首飾りって、あのデュ・バリュー夫人の⁉︎」
着替えて戻ってきたセラフィーナさんが叫んだ。
セラフィーナさん「それって、さっきのあの首飾り⁉︎ステキ‼︎それにあんたの予言門一緒に当たることになるじゃない。話を聞きましょうよ」
カリオストロさん「お前は黙ってろ!」
ルパンさん「その代わり、あんたに教えてほしいことがあるんだ。あんた、時を超える秘術を知ってるんだろう?その方法を教えてほしい」
カリオストロさん「時を超える秘術?ふん、あんなのまやかしだ」
すると、モンシロチョウのエデンが本棚から一冊の本を抜き出した。美術館で展示していた『ヘルメス文書』だ。
エデン「ヘルメス文書?皆さん、この本」
ルパンさん「エデンちゃんよく見つけたな」
エデンがルパンさんに『ヘルメスの文書』を渡した。
ルパンさん「ヘルメス文書。こいつは本物だ。紀元前3世紀にヘルメス・トリスメギステスという大魔術師が記した錬金術の秘術書だ。いつか妖しげな大金持ちの金庫で見たことがあるぜ。あんた、これをどこに手に入れたんだ?」
カリオストロさん「ギリシャ人の錬金術師アルトタスの所だ。弟子入りしたがとんだアル中で魔術も使えないジジイだった」
エデン「でも皆さん、これは本物ですわ。一応、カリオストロ様は錬金術師の振りをする程度には勉強したのでは?」
カリオストロさん「・・・マリアの涙が500の星に彩られし時、全ての願いが叶う」
ガブリエル「マリアの涙・・・俺様たちが未来の美術館で見たあれだよな?」
僕らは頷いた。カリオストロさんは続けた。
カリオストロさん「聖母マリアが、キリストが死んだ時に流した涙が結晶して出来たと言われる伝説の宝石だ。あらゆる願いを叶える力を持つと言われる」
アダム「500の星が王妃様の首飾り・・・。あの、そのマリアの涙はどこの中にありますか?例えば宝箱の中とか?」
僕はお腹の光をチカチカしながら怯えながら勇気を出して声をかけた。
カリオストロさん「宝物庫の中だよ。マリアの涙はハプスブルクの秘宝だ。先代のマリア・テレジアはそいつを他国に嫁ぐ娘に持たせた」
テオ「I see・・・つまり」
ジャンヌさん「王妃様が寝室にしまっているペンダントがあるわ。母上の形見だって言っていた」
セラフィーナさん「そうなの?ジュゼッペ⁉︎」
カリオストロさん「本名で呼ぶな、セラフィーナ!俺は世紀の錬金術師カリオストロ伯爵だ」
ルパンさんがジャンヌさんとレトーさんに声をかけた。
ルパンさん「あんたはアントワネットの 鼻を明かしてやりたいんだろ?その上で魔術が成功した後に宝石を売れば、愛していない旦那と別れてそのイケメンさんと一緒に楽しい暮らしが始められる」
そしてカリオストロさんに向けて続けた。
ルパンさん「あんたも錬金術師としての評判はたかまるし、詐欺がばれる前に次の場所に高跳びする資金も手に入る。どうだい、協力しないか?」
ルパンさんがカリオストロさんとジャンヌさんとレトーさんをそそのかした。僕らも加わって掛け合い、僕らは順番にインセクトランドの出来事を説明した。
アダム「僕ヒメボタルのアダムは、初めて昆虫の国『インセクトランド』に来た頃は、恥ずかしがり屋でみんなと遊びたかったけど、お腹が光ったのがきっかけで逃げちゃってたんだ!それがとても怖くて嫌だったんだけど後で光るのはステキだねって言ってくれたんだよ!」
カリオストロさん「お前にも、怖がりな所があったのか・・・」
僕は頷いてお腹を光らせた。
ミア「私ナナホシテントウのミアは、お空が大好きで、気にしちゃうの。いつもお空をタッチが出来るように練習しているし頑張ってるんだ!」
レトーさん「ミアちゃん、羨ましいし可愛いな」
ガブリエル「俺様ヘラクレスオオカブトのガブリエルは、卵の時はすごく小さかったんだ」
ガブリエルは指で卵を作った。
カリオストロさん「え、そうなのか?こんなに小さかったのか?」
ガブリエル「はい。それから幼虫になって何日も何日も大きな森の土の中で眠ったんですよ。サナギになったらこんなに大きくなったんだぞ!」
ジャンヌさん「それで、ガブリエル君は、どんな出来事があったのかしら?」
ガブリエル「俺様は、暗い雨の中、アダムが葉っぱのさきにしがみついて助けを呼んで助けたり、雨が上がった後、このマメコバチのテオの蜂の巣で出来たお家が大きな木に入り口塞がれて泣いてたんだ」
テオが頷いた。
レトーさん「そうなのか。災難だったな」
ガブリエル「いえいえ、災難だったのはアダムとテオとそのお家ですよ」
ジャンヌさん「ガブリエル君、優しいヒーローだわ」
テオ「僕マメコバチのテオは、『インセクトランド』の荷物をDeliveryしているんだ」
カリオストロさん「デリバリーってなんだ?」
テオ「知らないんですか?配達っていう意味ですよ」
セラフィーナさん「配達?よくわからないけど、インセクトランドの荷物を届けているのがテオ君の仕事って事ね」
テオ「はい!料理が得意で、そしてDanceとSing a song」
テオがそう言って歌を披露してくれたよ。
僕らが喜び、ルパンさんたちとカリオストロさんたちはテオの綺麗な歌声を聴き驚いた。
ラファエル「おいらオオクワガタのラファエルは、失敗が大きくて、悪い事しちゃったなら、自分の気持ちお話するのが苦手なんだ」
レトーさん「そうなのか。ラファエル君は、感情表現が苦手だと思うな」
アダム「でもラファエルは、僕がお腹痛いのをちゃんと知っていて、たくさんの種を拾って僕に届けてくれた優しい友達なんです」
レトーさん「そうか!ラファエル君は感情表現苦手だけど優しい子なんだな」
ラファエルは嬉しそう。
エデン「わたくしモンシロチョウのエデンは、いつもおしゃれでダンスが得意ですの。笑顔の魔法を知っていますか?」
カリオストロさんと、ジャンヌさんとレトーさんはうーんと首を傾げた。
エデン「正解は・・・ヒラヒラヒラリーン!心を込めたご挨拶でした」
カリオストロさんとジャンヌさんとレトーさんは驚いた。
アクセル「俺ギンヤンマのアクセルは、とても目が良くて、『インセクトランド』のパトロールをしているんです」
レトーさん「それでアクセル君は、どんな出来事が?」
アクセル「アダムの事を“ポコポコアダム”とアダムが嫌がっていたのに呼んでしまったり、アダムを空の大きな雲を虫の大きなクモと勘違いをしてしまったり、湖にピクニックに行く時に早く着きたいと自分勝手に飛んでしまったり、それにマメコバチのテオとお花の探しに出て、羽が台無しにされた事で喧嘩してしまったりでしょうかね」
カリオストロさん「お前すごくトラブルメーカーだな」
アクセル「はい、カリオストロさんの言う通り俺はせっかちな性格なので(´∀`*)」
アクセルは苦笑いを浮かべた。
テオ「でもMr.カリオストロ、喧嘩しても僕を助けてくれたAccelは本当は優しい友達なんです!互いに助け合えばピンチも怖くありませんから!」
アダム「そうです。僕がポコポコと呼ばれるのを嫌って打ち明けたら分かっくれたし」
シャルロット「それに、ピクニックの時もいつも空から見下ろしてたから、こんな景色は初めてだって知ってゆっくりも悪くないと言いましたからね」
カリオストロさん「トラブルメーカーだけではなくて優しくて勇敢なんだな」
アクセルは頬を赤く染めて頷いたよ。
マキシーム「自分ハキリアリのマキシームは、世界の未知の面白い所ばかりで勉強中でありまして、いつも巣穴に大きな葉っぱを背負って、キノコを育てているのであります」
マキシームはカバンの中から紫に光るキノコを出した。
カリオストロさん「き、綺麗だな。それで、お前はどんな出来事があるんだ?」
マキシーム「モンシロチョウのエデンがファッションショー開いて、ミアとアダムとラファエルのおしゃれは大成功でしたが自分は緊張しながら歩こうとしてもステージの上から落ちてきて、怪我はありませんでした。でも、自分のオシャレが汚れてしまって悲しかったんです。ですが、エデンが魔法をかけてくれてそのおかげでオシャレができたと思いました。でもエデンは1番のおしゃれは自分の笑顔だと言ったのであります」
エデンはクスクス笑ったよ。
マキシーム「それに、ミアにこのアリがとうメダルを首にかけたのです。ミアはラファエルにあげようと、ラファエルはエデンに、そしてエデンは自分にアリがとうメダルをくれたのであります」
カリオストロさん「ハキリアリのマキシーム、可愛いし、働き者なんだな」
シャルロット「私ハナカマキリのシャルロットは、蘭の花に期待しているのが得意で、かくれんぼは負けませんわ」
ジャンヌさん「シャルロットちゃんはどんな出来事があるの?」
シャルロット「みんなとかくれんぼしていると、もうすぐ雨が降ると私が言って木の穴に入ったら、雨が降ってきたんです。なぜ分かったのかとマキシームが聞くと、私は自然が教えてくれたと答えました。森の木や、花、草、そして土、綺麗な小川。自然の話が耳をすましたら聞こえてきました。自然は私たちみんなの友達です」
カリオストロさん「自然は友達?」
シャルロット「はい。そして、最近まではかくれんぼ上手だったのにお花が少なくなってしまった事があって」
ジャンヌさん「それは気の毒だったわね」
ルパンさん「よぉし、お客さんの説明も終わったし、計画を説明しよう」
ルパンさんが、耳元でこちょこちょした。
ルパンさん「じゃ、五ェ門、次元、後はよろしく頼むぜ」
次元さん「おい、どこ行くんだよ?」
ルパンさん「俺はちょっとカワイ子ちゃんの枕元で子守唄でも歌ってくるぜ。後はよろしく頼むな〜」
テオ「Hey.Mr.Lupin、何考えているんですか⁉︎」
五ェ門さん「ルパン、真面目にやらんか!」
ルパンさんが去ってしまい、追おうとした五ェ門さんをジャンヌさんが引き留めてきた!
ジャンヌさん「さ、行くわよ、ゴ・エモーン」
五ェ門さん「人を変な名前で呼ぶな!」
五ェ門さんがジャンヌさんと言い合いながらレトーさんと花道に出かけた。
ロアンさんの邸では、女性と戯れているよ。召使は咳払いをしている。なんと女性はドレスを着た不二子さんだった。
召使いさん「ロアン様、お客様がおいででございます」
ロアンさん「客?追い返せ」
召使いさん「それが・・・マリー・アントワネット様からのお使いだと・・・」
ロアンさん「なんだと?」
五ェ門さん、ジャンヌさん、レトーさんが入ってきた。
ジャンヌさん「失礼いたしますわ、ロアン枢機卿。私、ジャンヌ・ド・ラ・モット・ヴァロワと申します。王妃様付きの女官でございます。こちらは秘書のレトーと用心棒のゴ・エモーン。今日は王妃様から枢機卿に伝言があってまいりました」
ロアンさん「王妃様からの伝言!・・・少し待て」
ロアンさんが、召使いにロザリオを取りに行かせ、五ェ門さんと不二子さんがお互いに気づいてこそこそ話しているよ。
不二子さん「五ェ門⁉︎」
五ェ門さん「不二子!おぬしここで何をしている⁉︎」
不二子さん「何って、この人のコ・イ・ビ・トになったの。すっごいお金持ちなのよ。お屋敷中に宝石がザックザク」
五ェ門さん「おぬし・・・いいか、ルパンの計画だ。話を合わせろ」
ロアンさん「とりあえず、話を聞こう。早く話せ」
ジャンヌさん「実は、王妃様はフランスでの評判を知って、枢機卿様の本当のお姿に気づき、今までつれなくしていたことに心を痛めておいでなのです。ですが、急に態度を変えては噂好きの人々に関係を疑われ、ロアン様にもご迷惑をおかけしてしまう。それできっかけで待ってらっしゃったのです」
ロアンさん「おお、何と!王妃様はそれほどまでに私を気にかけていてくださったのか!」
ジャンヌさん「それで、実は王妃様は大変心を痛めていらっしゃることがあるのです。そのことで、早急に枢機卿様と会って話がしたい、と。レトー」
レトーさん「これを」
レトーさんが王妃様のハンカチーフを取り出してロアンさんに渡した。
ジャンヌさん「これは王妃様より託された、王妃様のイニシャルの入ったハンカチーフです。これを持って今晩、ヴェルサイユ宮殿のヴィーナスの庭園にお越しください。暗闇の中で、そのバラの香りを頼りに」
ロアンさんがハンカチの縫い取りを見つめ匂いを嗅いだ。
ロアンさん「間違いない。王妃様の縫い取りだ。この匂い。王妃様を彷彿とさせる、バラの香り・・・」
レトーさん「匂いで判断するとか、変態だな・・・」
ロアンさん「分かった、必ず行こう」
ジャンヌさん「ありがとうございます、王妃様もどんなに喜ぶか」
ロアンさん「そうだろうな」
ジャンヌさん「では、お待ちしております」
ジャンヌさんと五ェ門さんとレトーさんが去って行ったのだった。
とても綺麗な私室があり、ベッドとテーブル、椅子もあるよ。アントワネット王妃様とお姉さん二人が入ってきた。
お姉さん1「それでね、そのカリオストロ伯爵すごいらしいのよ。千里眼に未来透視、若返りの薬に媚薬まで売ってくれてるらしいのよ。今度こっそり訪ねてみましょうよ」
王妃様の様子に気づいたお姉さんは声をかけた。
お姉さん1「どうしたの?」
王妃様は笑っていた。
王妃様「いえ、さっきの方々とかわいい昆虫たちを思い出して」
お姉さん2「王妃様!あんな怪しい人たちと昆虫というあの子たちの事を楽しむなんて!」
お姉さん1「あなたが笑うなんて久しぶりね。フェルゼン伯爵がいらっしゃらなくなってから初めてじゃないかしら」
お姉さん2「ポリニャック様」
ポリニャックさん「本当でしょ、マリー・ルイーズ。私、あなたの笑ってる姿が嬉しいのよ」
王妃様「ありがとう」
ポリニャックさん「じゃあ、おやすみなさい。よい夢を」
王妃様「おやすみなさい」
マリー・ルイーズさん「お召し替えのご用意をいたしますわ」
王妃様「ええ、お願い」
ポリニャック伯爵夫人というお姉さんとマリー・ルイーズというお姉さんが去って行った。
一人残った王妃様は、ネックレスを取り出し眺めた。
王妃様「どうかフェルゼン様をお守りください・・・それから先程の方々も」
ルパンさんと僕アダムとミアは、バルコニーから中を窺い、窓に頭をぶつけてしまった!
王妃様「誰?」
王妃様が慌ててネックレスをしまい、ルパンさんと僕たちが入ってきた。
ルパンさん「今晩は、王妃様」
王妃様「あなた、無事だったのね」
王妃様が驚いて大声を上げた。
王妃様「あなた、何者なの?」
ルパンさん「未来から来た大泥棒でございます。人呼んでルパン三世」
王妃様「まあ。あら、あなたたちは誰なの?」
王妃様の問いかけにミアはルパンさんの背中に隠れ僕が挨拶をした。
アダム「こ、こんばんは。僕は昆虫の国、『インセクトランド』というところから来た、ヒメボタルのアダムです」
王妃様「あらヒメボタルのアダムというのね。かっこいい名前。あら、女の子かしら」
王妃様がミアを見つけた。ミアは恥ずかしくなり顔を隠した!
アダム「ミア?恥ずかしいの?」
ミアは頷くと、ルパンさんが声をかけた。
ルパンさん「ミアちゃ〜ん・・・大丈夫だぜ」
ミア「ナナ・・・ホシ・・・テン・・・ト・・・ウ・・・の・・・ミア・・・で・・・す・・・」
ミアは顔を出して恥ずかしい顔で挨拶をした。
王妃様が笑い出した。ミアは驚いた。
王妃様「ミアちゃんなのね。とても可愛い名前のテントウムシちゃんだわ」
ミアは王妃様が笑ったのを見て僕と共に笑ってしまったよ。
王妃様「で、大泥棒さん。あなたはここに何を盗みに来たの?」
ルパンさん「あなたの一番大切なものを盗みに来ました」
王妃様が更に笑い始めた。
ルパンさん「えらい笑い上戸の王妃様だぜ。随分イメージと違うぜ。ありゃ?アダム君、ミアちゃん?」
僕と恥ずかしさも忘れたミアは王妃様に吊られて大きく笑っていた。
王妃様「ねえ、ルパン三世さん」
ルパンさん「ルパンでいいぜ、王妃様」
王妃様「じゃあ、私もマリーでいいわ。ルパン、アダム君、ミアちゃん、もっと話を聞かせてよ私、未来のこととインセクトランドのこと、いろいろ知りたいわ」
するとノックの音が!
ルパンさん「誰か来るぜ、見つかっちまう」
王妃様「じゃあ、見つからない所に行きましょう。入ってこられたなら出られるでしょ?私、とても退屈してたのよ」
ルパンさん「やれやれ。仕方ないな、お付き合いしますよ、マリーちゃん」
ルパンさんが王妃様の手を取り王妃様がミアの手、ミアが僕の手を取るとバルコニーに出た。着替えを持ったマリー・ルイーズさんが入ってきた。
マリー・ルイーズさん「王妃様、王妃様・・・王妃様⁉︎」
彼女は王妃様がいないのに気づいて慌てて部屋を出ていくのだった。
パリの市街、男の人が宣伝のチラシを配っているよ。
男の人「さあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。テアトル・ドゥ・リベルテの風刺劇だよ。宮廷の乱痴騒ぎ、王妃様の秘め事をお見せしますよ!さあ、やってらっしゃい、見てらっしゃい」
主演女優らしき女性、マリー・ルゲイさんが僕とミアを除いてカリオストロさんと、セラフィーナさんが僕の友達と共に出る。
マリー・ルゲイさん「話って何よ。あたし忙しいのよ。もうすぐ出番なんだから!」
カリオストロさん「だから、簡単な話だ。今晩、ヴェルサイユ宮殿のヴィーナス庭園に行って、バラの香りのしみ込んだ、白いハンカチ。持った男に、この台詞を言ってくれればいい」
セラフィーナさん「それから、この書類にサインしてもらって!」
カリオストロさんとセラフィーナさんがそれぞれ紙に書いた台詞と書類を渡す。
マリー・ルゲイさん「何よ、ヤバい話じゃないでしょうね。あたし面倒は嫌よ!」
カリオストロさん「これでも断るつもりか?」
カリオストロさんは、金貨の入った財布を取り出し、マリー・ルゲイさんは受け取った。
カリオストロさん「成功したらこの三倍やる」
マリー・ルゲイさん「まかせてよ。あたし、女優だから!」
カリオストロさん「分かった、分かった。庭園まではあの男とかわいい昆虫たちが護衛する」
次元さん「よろしく頼むぜ」
シャルロットたちもマリー・ルゲイさんに微笑みを見せた。
マリー・ルゲイさん「キャーとても可愛い虫ちゃんたちだわ^_^」
マリー・ルゲイさんは僕の友達を見てメロメロだ!
男の人「何してる!もう始まるぞ!」
マリー・ルゲイさん「分かったわ。芝居が跳ねたら迎えにきて。この子達と一緒にね」
カリオストロさん「頼んだぞ」
カリオストロさんと仲間たちは僕の友達の背中を抱きながら去って行った。
反対側からルパンさんと僕とミアと王妃様が出てきた。
王妃様「ねえミアちゃん。私にぶつかってたけど大丈夫だった?」
ミア「はい。ごめんなさい、ミアたちよそ見したせいで」
王妃様「そんな事ないわミアちゃん、あの時初めて私がぶつかられて転んだのを見て、私手を差し伸べたでしょう?」
ミア「そうですね。助けてくださりありがとうございました」
アダム「ルパンさん、ミア、王妃様と気が合ってますね」
ルパンさん「本当だぜ。マリーちゃんミアちゃんのママみたいだし甘られてるな」
ルパンさんと僕と王妃様とミアは、出店を見たりした。
一方、マリー・ルゲイさんが舞台に立ち、本物の王妃様らしく、芝居の座長がフェルゼン伯爵らしく、面白おかしく演じた。
マリー・ルゲイさん「♪退屈な夜抜け出し 過ごす夜ごとのアヴァンチュール あふれるワインと 煌めくダイヤ この世の全て 私のもの♪」
市民の男の人「アントワネットだ」
マリー・ルゲイさん「♪王室より 国民よりも 愛が大事なの やめられない 王様無視して 舞踏会 出会った伯爵と甘いダンスを 踊り踊ったらパラディ 人目なんて気にしないわ 誰にもしばられず 自由に生きてるの 人のお金で♪」
すると人々が口々に囃し立ててきた!
市民の女性「オーストリーの売女!」
市民のみんな「裏切り者!国に帰れ!税金泥棒だ!淫乱女め!」
マリー・ルゲイさん「♪パンがなければお菓子を♪食べればいいじゃない!♪踊り踊ったらパラディ 人目なんて 気にしないわ 破滅気づかずに 夢の城の中で 踊る 死のダンスを♪」
舞台が終わり、人々が喝采!
ルパンさん「マリーちゃん?」
ミア「どうしたの?」
王妃様「平気よ。嫌われるのは慣れてるもの」
ルパンさん「何か飲もうぜ。おい、ワインを二つにこの子二人にジュースを二つ」
店員「ウィ」
王妃様「ねえ、話の続きを聞かせてよ。未来はどんなところなの?」
ルパンさん「未来か・・・悪くねぇぜ。技術が進んでら世界中どこにでもすぐに行ける。馬鹿げたこともたくさん起こるが、それを何とかしようとするやつもいて・・・そうだな・・・一言で言えば“自由”だ」
王妃様「自由・・・」
ルパンさん「ああ。人生自分次第。心意気次第で何にも縛られないで生きていける。インセクトランドのこの子達も同じだ」
王妃様「あなたたちは自由に生きているのね。私とは大違いだわ」
店員がワインとジュースを運んできた。
店員「はい、お待たせ」
ルパンさん「王妃様に」
王妃様「大泥棒とインセクトランドの仲間たちに」
ルパンさん「ソンテ」
僕らは乾杯する。
アダム「ソンテって?」
ルパンさん「ソンテっていうのはフランス語で、乾杯という意味だぞ」
ミア「へえ、ミアたちの友達にソンテの事を教える!」
王妃様「私も・・・もっと自由に生きたかった。かごの中に閉じ込めておいて、何も知らないと批判するのはひどいわ。もっと色んなことを知っていれば、こんなに嫌われることもなかったかもしれない」
ルパンさん「被害者ぶるのはみっともないぜ。その気になれば何だって知ることはできたはずだ」
王妃様「ええ・・・そうね・・・」
ルパンさん「まあ、今からでも遅くないぜ。俺が教えてやるよ。今まで見てきたことを。それに、女の涙は苦手なんだ」
僕とミアはテオに教えられた「昆虫かくれんぼダンス」を踊って王妃様を勇気づけた。
王妃様「あなたたち、何踊ってるの?」
アダム「“昆虫かくれんぼダンス”だけど」
ミア「うん!同じくインセクトランドから来たダンスと歌が得意なマメコバチのテオというミアたちの友達がみんなに教えてくれたダンスだよ」
ルパンさん「テオ君が?」
僕は頷いた。
王妃様「私にもテオというマメコバチの子に会わせて」
アダム「無事に逃げ切ったら、または助けに来たら、会えるし分かってますよ」
ミア「ミアたちの友達みんなにも会わせてあげるよ」
王妃様「アダム君、ミアちゃん、ありがとう!」
ルパンさん「王妃様」
王妃様「ルパン」
おどけたルパンさん、気取った王妃様の手を取り、僕とミアも手を繋ぎ笑いながら去って行った。
ここはベルサイユ宮殿、ヴィーナス庭園。ロアン枢機卿さんが現れ、手には例のハンカチを持っているよ。かたわらに五ェ門さんがおり、反対側からマリー・ルゲイさんと次元さんと僕の友達が勢ぞろいに現れる。
マリー・ルゲイさん「ロアン枢機卿」
ロアンさん「王妃様!」
ロアンさんが跪きマリーさんの手に口づけた。
マリー・ルゲイさん「あなたにこれまでつれなくしたことは申し訳なく思います。これまでのことは水に流して、新しい関係を築きましょう。そのために、お願いしたいことがあるのです」
ロアンさん「何なりと、王妃様」
マリー・ルゲイさん「実は・・・先日、宝石商に頼まれてルイ15世が作らせた首飾りを購入したのですが」
大げさに泣きながら続けた。
マリー・ルゲイさん「財務大臣のさしがねで資金繰りがつかず・・・このままでは期日までに代金を支払えそうにないのです。数ヶ月後には実家に頼んだ分が送金されるはず、それまで・・・」
今度はケロッとした。
マリー・ルゲイさん「代金の160万リーブルを立て替えていただきたいのです」
ロアンさん「ひゃ・・・160万リーブル⁉︎それはあまりに高すぎる!国家予算なみですぞ!」
マリー・ルゲイさんがロアンさんに抱きついた。
マリー・ルゲイさん「お願いです。お助けください。ロアン様、その代わり、ザ・イ・ム・・・はい」
ロアンさん「大臣」
マリー・ルゲイさん「の座は必ずあなたに」
ロアンさん「バラの香り」
ロアンさんが髪に顔を埋めてる間、マリー・ルゲイさんが彼に気づかないようガッツポーズをした。ロアンさんが再び跪いた、
ロアンさん「分かりました!このロアンが王妃様をお救いいたします!」
マリー・ルゲイさん「まあ、ありがとう!では、この書類にサインを」
五ェ門さんと次元さんが書類と筆を出し、ロアンさんは筆に首をかしげながらも意を決してサインした。
マリー・ルゲイさん「この恩は必ず」
ロアンさんがマリー・ルゲイさんの手を取ったところに、不二子さんが出た。
不二子さん「ロアン様、誰か来るわ。早くこちらへ」
ロアンさん「分かった」
銭形さんと近衛兵の二人が来るよ。
銭形さん「不審者はこっちか!」
ロアンさん「王妃様、くれぐれも、くれぐれもよろしく」
ロアンさんと不二子さんが去った。
マリー・ルゲイさん「あたしたちも逃げるわよ、早く!」
次元さんと五ェ門さんとインセクトランドの友達とマリー・ルゲイさんが逃げ去って行った。
銭形さんと近衛兵の二人がその後ろ姿を見た。
銭形さん「むむ、あっちか。追うぞ!」
近衛兵二人「はい、警部!」
三人が去っていくと、その後に僕とミアとルパンさんとかなり酔っている王妃様が出てきた。
ルパンさん「ほら、もうあんたん家だぜ」
王妃様「ねえ、ルパン、アダム君とミアちゃん」
ルパンさん「なんだい、マリーちゃん」
王妃様「あなたたち、未来とインセクトランドから来たんでしょ?じゃあ、私の将来を教えて」
アダム「知ってるよ。幸せに暮らすこと。子供たちや孫たちに囲まれて旦那さんと添い遂げてね」
王妃様「本当に?」
ルパンさん「本当さ」
王妃様「ねえ・・・私、何も知らなくて愚かだったかもしれないけど、罪は犯してないわ。やり直せるなら、やり直したいの。私と、家族と、フランスのために」
ルパンさん「ああ・・・」
王妃様は、ルパンさんの肩にもたれさせる。
ルパンさん「ほら、ベッドはすぐそこだぜ、王妃様」
王妃様「はーい」
ルパンさんは王妃様を連れて歩き王妃様の私室に着いて王妃様をベッドで寝かせるとネックレスを盗った。それを持って僕たちと去ろうとした時、王妃様が呟いてきた。
王妃様「さよなら、ルパン、アダム君、ミアちゃん」
僕たちとルパンさんはその声に反応し顔を上げた。
ルパンさん「さよならじゃねえぜ、マリー」
アダム、ミア「王妃様・・・」
ネックレスを握り締めたルパンさんは僕とミアと去って行った。
地下墓地。セラフィーナさんとジャンヌさんと首飾りの入った箱を手にしたレトーさん、不二子さん、五ェ門さんと次元さんとシャルロット、テオ、エデン、アクセル、ガブリエル、ラファエル、そしてマキシームがカリオストロさんと戻ってきた。
ジャンヌさん「やったわよ!」
レトーさんが箱を開けたらとても綺麗なネックレスが!
テオ「Wow!Beautifulだね」
不二子さん「本当ね。何コレ、ステキじゃない!」
次元さん「盗るなよ不二子。ヘタすると元の時代に戻れなくなるぞ」
不二子さん「あら、それも困るわね」
ルパンさんが僕とミアを連れて口笛吹きながら戻ってきた。
五ェ門さん「ルパン。アダム殿、ミア殿」
セラフィーナさん「マリアの涙は?」
ルパンさんがポケットからマリアの涙を取り出すと、カリオストロさんに渡した。
エデン「まあ、綺麗ですわ」
カリオストロさん「・・・これがマリアの涙か」
ルパンさん「よ〜し、じゃあ、カリオストロ!俺たちをインセクトランドのみんなと一緒に8年後に飛ばしてくれ」
カリオストロさん「おれは錬金術師じゃない、詐欺師だ!」
セラフィーナさん「ちょっと!」
不二子さん「ていうか、8年後って?どういうことよ」
テオ「8年後というと、1793年のはず・・・もしかして王妃様が処刑された年ですよ!」
ルパンさん「テオ君よく分かったな、正解だ!」
次元さん「ルパンまさか、あの女を助けようってわけか」
ルパンさん「そのまさかだ」
次元さん「なあ、お前、タイム・パラドックスって知ってるか?」
ルパンさん「もちろんさ。過去を変えると未来も変わる」
次元さん「そうだ。アントワネットがいなけりゃフランス革命も起きないぜ。下手すりゃ世界には民主主義もないままだ。俺は毎年年貢を納めるには勘弁だぜ」
ルパンさん「分かってるって。だから、歴史は変えない。だが、マリーは助ける」
カリオストロさん「お前、人の話、聞いてるか?」
ルパンさん「悪い知らせは聞こえなくなるタチなんだ〜」
ルパンさんは両人差し指に耳を塞いで早口で棒読みし始めた。
カリオストロさん「魔術なんてないんだ!あんなのガキの妄想だ!」
ルパンさん「じゃあ、なんでお前はそのガキの妄想を信じた?」
ルパンさんに指さされながらカリオストロさんは打ち明けた。
カリオストロさん「・・・俺は見たんだ!アルトタスは本当の錬金術師だった!何百年も生き続け、砂から金を作り、色んな過去の話をしてくれた。だけど、誰も信じなかった。もう魔術なんてない。そんな時代じゃない。そうやってみんなに詐欺師呼ばわりされて、酒に溺れて死んだんだ!師匠だけは、貧乏で家を飛び出した俺に優しくしてくれた。読み書きや世界中の色んなことを教えてくれた。師匠は詐欺師なんかじゃなかった!」
アダム「そうだったんですね・・・あなたという人は、カリオストロさんの師匠失って寂しかったから、魔術も失っちゃったんでしょうね」
カリオストロさん「アダム・・・」
エデン「カリオストロ様、元気を出してくださいませ。わたくしたちとルパン様たちは首飾りに触って未来からこの時代に飛ばされてきましたのよ」
カリオストロさん「エデン」
ルパンさん「アダム君とエデンちゃんの言う通り。だから、魔術はあるに決まってるんだ。あんたは今から8年後に異端の嫌疑をかけられて宗教裁判で終身刑になって獄死する。それが嫌なら、本当の錬金術師になるしかないんだ」
カリオストロさん「本当の・・・錬金術師・・・」
アクセル「カリオストロさん、あなたは200年後でも有名人でしょう?」
ラファエル「うんうん。今でも生きてあちこちに出没してるって噂だぞ」
カリオストロさんが笑い出した。僕らは顔を見合わせた。
カリオストロさん「嘘が上手いな。あんた俺以上の詐欺師だ」
ルパンさん「俺は詐欺師じゃない、泥棒だっつーの」
カリオストロさん「仕方ない、茶番に付き合ってやる。ただし失敗したら宝石は消える」
ジャンヌさん「え・・・もったいない」
カリオストロさん「セラフィーナ、用意を」
セラフィーナさん「分かったわ」
セラフィーナさんは錬成用の壺を持ってきた。
カリオストロさん「500のダイヤとマリアの涙、それから死にたてのネズミの死骸だ」
レトーさん「ネズミの死骸?そんなのどこに・・・」
ネズミが走ってきた。
ジャンヌさん「いたわ!」
ジャンヌさんはネズミを捕まえて、カリオストロさんがマリアの涙を壺に入れた。
ルパンさん「あんたたちは魔術が成功したらすぐに逃げろ。マリーにはとんだ迷惑だが、あんたたちみたいな生き方は嫌いじゃないぜ」
ルパンさんがジャンヌさんとレトーさんに言った。
カリオストロさん「世界一の秘術、お見せしましょう。あなただけに教える、時を超えたメモワール」
カリオストロさんが呪文を詠唱し始めたところに銭形さんと近衛兵二人が駆け込んできた。
銭形さん「ルパ〜ン。やっと見つけたぞ!」
近衛兵1「お手柄です!銭形警部」
ルパンさん「よう、とっつあん。良いところに来たぜ。俺はちょっとショートカットして未来に行ってくる。その間、8年間よろしく頼むぜ」
銭形さん「8年間?どういう事だ?」
ルパンさん「とっつあん〜、愚かさや無知なのと、犯罪を犯すことは違うだろう?」
銭形さん「そりゃもちろんだ。馬鹿だからって逮捕していては刑務所がいっぱいになってしまうからな」
ルパンさん「それだけ分かってりゃ上出来だ。じゃあ、みんなも国王一家を宜しく頼むぜ。資金とギャラはあの宝石だ」
カリオストロさん「エロヒーム・イッシーム、エロヒーム・イッシーム」
銭形さん「おい、ルパン待て!うわっ!」
魔方陣が光り始め、次元さんと五ェ門さんと不二子さん、そして僕たち、ルパンさんに寄った。
カリオストロさん「ダメだ、魔力が足りない」
ルパンさん「頑張れ」
ルパンさん、次元さん、五ェ門さん、不二子さん、インセクトランドのみんな「錬金術師(さん)」
カリオストロさんはポケットから金貨を取り出し、セラフィーナさんが壺に入れた。
カリオストロさん「エロヒーム・イッシーム、エロヒーム・イッシーム。炎の神よ。我は求め訴えたり!混沌を支配する赤き闇よ。十二の月を八つ巡りし運命の時へ、罪深きその名をもって時の運び手となれ!エロヒーム・イッシーム、エロヒーム・イッシーム。開けゴマ!」
カリオストロさんが呪文を詠唱すると、ルパンさんたちと僕たちが消えていく。
カリオストロさん「やった!やったぞ!」
セラフィーナさん「あんたすごいのね!」
ルパンさん「じゃあな、とっつあ〜ん」
アダム「僕らにうるさい声出した罰だからね」
僕もかっこよく言って友達と手を振った。
銭形さん「おい、待て、ルパン!」
ジャンヌさんが呆然として、レトーさんが床にへたり込んだ。
カリオストロさん「やった!やったぞ!俺は錬金術師だ!」
地下墓地に消えて行ったルパンさんたちと僕らに兵士がなだれこみ、みんなは大わらわとなったのだった。
8年が過ぎると、銭形さんは反省してくれるどころか、ルパンさんの逮捕しか頭になかったようだ。
近衛兵2「警部、頑張りましょう」
近衛兵1「そうですよ」
銭形さんはいつのまにか近衛兵二人を避けるようになり、二人とともに行こうとするも、勝手に別行動を起こったり二人にも手に負えなくなる始末だ。
パリ市街では、マクシミリアン・ロベスピエール本人と民衆に追われる身となったルイ16世陛下と双子の子供達にジャンヌさんとレトーさんが彼らの逃亡を助ける始末で忙しい日々。
ロベスピエール「徳なき恐怖は思わしく、恐怖なき徳は無力である!」
市民たち「そうだ!」
銭形さん「ロベスピエール殿!」
ロベスピエールの仲間となった銭形さんは近衛兵二人を裏切ったのだ。
近衛兵二人が現れた。
近衛兵1「やれやれ、嫌な時代になったものだ。自由を求める革命のはずが、今や、密告と粛清の嵐だ」
近衛兵2「それに、この8年の間に銭形警部も変わってしまわれた」
近衛兵1「今やロベスピエールの片腕として、粛清の先鋒に立っている。仲間に裏切られた痛手だろうか。おかわいそうに」
近衛兵2「行こう、ジョルジュ。今日は王妃様にお会い出来る日だ。急ごう」
ジョルジュさん「ああ」
ジョルジュという近衛兵と近衛兵2と去っていく。
牢獄の中で王妃様が机に向かって手紙を書いている。傍らに公安委員の見張りがいる。
ジョルジュさんと近衛兵2が入ってきた。
ジョルジュさん「失礼します」
王妃様「ジョルジュ、アンリ、来てくれたのですね」
アンリさん「王妃様にお会い出来るのを楽しみにして参りました」
王妃様「私も、あなたたちから世間のことを聞くのがなによりも楽しいのです」
ジョルジュさん「王妃様・・・国外への脱出を成功させることもできなかった我々に、そのようなお言葉を」
王妃様「いいのです。このような状況になって分かることもあります。不幸のうちに初めて、人は、自分が本当に何者であるか知るのです。今、私の心は自由です」
アンリさん「王妃様・・・」
マリー・ルイーズさん「王妃様。面会の方がいらっしゃってます」
王妃様「面会?」
マリー・ルイーズさん「聖ルイ騎士団のルージュヴィル様と名乗っていらっしゃりそのお連れのお子様も一緒です」
王妃様「お会いしましょう。折角来て頂いたのですが・・・」
王妃様はジョルジュさんとアンリさんに言った。
ジョルジュさん「いえ。またすぐにお伺いします!」
王妃様「ありがとう。ええ、また会いましょう、ジョルジュ、アンリ」
ジョルジュさん、アンリさん「はっ!」
二人が敬礼して去った。
入れ替わりに騎士の変装をしたルパンさんと連れの子を変装したテオが現れた。
テオ「Oh.あなたがマリー・アントワネット王妃様ですね」
ルパンさん「お元気ですか?王妃様」
王妃様「今は王妃ではありません。カペー未亡人と呼ばれていますわ」
テオ「Oh no、もったいないですよ」
ルパンさん「では、マリーと呼ばせていただきましょう」
王妃様「え?ええ・・・」
王妃様がルパンさんとテオの顔を見つめるけど顔は帽子に隠れて見えていないよ。
ルパンさん「今日は再会の挨拶に参りました。この子は、王妃様にお会いしたいと思い初めて挨拶に参りました」
王妃様「再会?あの子は初対面?」
ルパンさん「この花をどうぞ」
王妃様が近づき花を受け取った。ルパンさんが小声で言う。
ルパンさん「マリー、あなたは明日処刑される」
王妃様「覚悟していたことです」
テオ「色々なことを知ったのですね、僕の友達から」
王妃様「そうよ坊や。裏切りも、挫折も、変わらぬ愛も」
ルパンさん「だが、俺の言葉は忘れちまったみたいだな」
テオも帽子を脱いで素顔を見せた。
王妃様「あなたは!そしてあなたはアダム君とミアちゃんの?」
テオ「僕のアダムBoyとミアGirlから聞きました。あなたは末永く幸せに暮らす事を!」
王妃様「ルパン。あなたはマメコバチのテオ君!」
ルパンさん「悟ったところ申し訳ねえが、俺は明日、あんたの命を盗ませていただく」
王妃様「国民が納得しません!」
見張りの公安委員、バルナーヴさんが声を上げてきた。
バルナーヴさん「おい!何を話してる。そろそろ時間だ!」
ルパンさん「では、マリー。また、明日。テオ君行くぞ」
テオ「OK、Mr.Lupin」
ルパンさんとテオは去って行った。入れ替わりに伝令ミラボーさんがやってきた。
ミラボーさん「カペー未亡人。判決が下った。敵国との共謀罪、国家の安全に対する陰謀の罪で、被告人を有罪、死刑とする。処刑は明日の朝、革命広場で行われる!」
王妃様は連行されて行った。
革命広場では、ギロチンというのがある。連行された王妃様がギロチンに寄った。民衆の人々が罵声を上げている。国民兵に扮した銭形さんがいる。
ジョルジュさん「銭形警部!」
アンリさん「警部!王妃様をお救いください!」
銭形さん「私はもう警部ではない!シトワイヤンと呼ぶのだ!」
ジョルジュさん、アンリさん「シ・・・シトワイヤン!」
ギロチンに横たわった王妃様に、死刑執行人とその弟子に化けているルパンさんとテオがいる。
ルパンさん「マリーちゃん、マリーちゃん!」
ルパンさんが小声で話しかけた。
王妃様「ルパン、テオ君!」
テオ「Don’t speak Princess Marie」
テオが小さな声で英語で言うと、王妃様は安心して、ほほ笑んでギロチンに横たわる。
テオ「行きますよ、Princess Marie」
ルパンさんがギロチンの台座を押すと、それがひっくりかえり、王妃様型人形が!それを見て銭形さんが号令を出した。
銭形さん「やれ!」
ギロチンの刃が落ちて、その様子をロベスピエールさんが見ている。民衆たちが歓声を上げるのだった。
ジョルジュさんとアンリさんが銭形さんに詰め寄っている。
ジョルジュさん「どうしてですか!」
アンリさん「シトワイヤン銭形!」
下手からしたい運び人に扮した五ェ門さんと次元さんと僕、アクセルが荷車を引いてやってきた。
アンリさん「王妃様!」
ジョルジュさん「止めろアンリ!お前まで王党派とみなされて処刑されるぞ」
駆け寄ろうとするアンリさんをジョルジュさんが止めた。
荷車は、銭形さんの前で止まるよ。
銭形さん「よーし!荷を見せろ!」
五ェ門さんとアクセルはかぶせていた布をめくる。思わずアンリさんが顔を背けたよ。それは、中には王妃様型の人形だったからだ。
ジョルジュさん「おい!」
アンリさん「あれは!」
銭形さんは、荷物を見ると目くばせしている。
銭形さん「うむ!よし!行け!」
五ェ門さんとアクセルと僕と次元さんは会釈して通り過ぎて行った。
ジョルジュさん「銭形警部!いや、シトワイヤン銭形!」
アンリさん「あなたはこの日のために身をやつしていたのですね!シトワイヤン銭形!万歳!」
銭形さん「お前たち!」
裏切られたと思っていたジョルジュさんとアンリさんが誤解されていた彼にに抱きついた。銭形さんは我に返った。
銭形さん「いや、待て!今度こそ置いていかれては困るのだ。行くぞ!」
ジョルジュさん、アンリさん「はい!」
銭形さん、ジョルジュさんとアンリさんと共に五ェ門さんと次元さんと僕とアクセルを追って去って行った。
パリの郊外では、元の格好に戻ったルパンさんとインセクトランドのプリンスの服姿のテオが立っている。そこへマリー・ルイーズさんが王妃様を連れてきた。
王妃様「ルパン!」
ルパンさん「マリーちゃん!」
王妃様「ルパン、本当にありがとう!」
ルパンさん「礼ならこいつらにも言ってやってくれ」
王妃様「マメコバチのテオ君。久しぶりね。とても可愛いアダム君の友達だわ」
反対側からジャンヌさん、レトーさんがルイ16世陛下、息子と娘たちを連れて出てきた。遅れて、首飾りの箱を持ったセラフィーナさんが出た。
男の子「ママ!」
女の子「お母様!」
王妃様「あなたたち!」
ルイ16世陛下「王妃・・・いや、マリーよ」
王妃様「あなた・・・」
ルイ16世陛下「心配かけてすまなかった」
一家が抱き合い、僕らとすでに仲良くなっている。
ジャンヌさん「外国に行ったあと、ずっとかくまっていたのよ」
レトーさん「おかげでマリアの涙を売った金もすっからかんだ」
ルパンさん「ギロチンの仕掛けは王様が考えたんだぜ」
アダム「え、そうなんですか⁉︎」
ルイ16世陛下「大工仕事は得意なのだ」
ジャンヌさん「まあ」
インセクトランドのみんな「あー!」
ジャンヌさんが僕らと頷き合い笑っていると、そこへ公安委員のバルナーヴさんとミラボーさん、ロベスピエールさんが現れた。
ミラボーさん「いたぞ!」
ロベスピエールさん「おい、そこの女!顔を見せろ!」
アクセル「あなたは・・・マクシミリアン・ロベスピエールさん!」
五ェ門さん「どうしてここが⁈」
マントを羽織った不二子さんが国民兵と現れた。
ロベスピエールさん「この女に聞いた」
アダム「不二子さん?」
不二子さん「だって、ルパン、みんな、その女の話ばっかりなんだもの。それにコレ、貰っちゃったし」
ミア「あ、不二子さん、王妃様に妬いているんでしょう?」
不二子さん「もう、ミアちゃんったら失礼ね」
不二子さんがマントを開けると宝石がジャラジャラ。
ルパンさん「ありゃりゃりゃりゃら〜」
五ェ門さん「やはり裏切ったか・・・」
不二子さん「裏切りは女のアクセサリーよ」
するとロベスピエールさんが不二子さんを捕らえた。
不二子さん「きゃあ。騙したわね、ロベスピエール」
ロベスピエールさん「お前に言われたくない。さあ、その女の顔を見せろ」
ロベスピエールさんは不二子さんを解放して王妃様に近づくとルパンさんが王妃様を庇った。
ロベスピエールさん「お前・・・俺たちの服を奪ったヤツか!それにお前たち、あの時の虫たちか!」
僕たちは怖くなり、次元さんと五ェ門さんの後ろに隠れた。
ルパンさん「いよぅ、久しぶりだな。ずいぶん偉くなったみたいじゃねえか」
ロベスピエールさん「ふざけるな。どけ!」
ロベスピエールさんが押しのけようとしたのを、ルパンさんが止めてくれた。
ロベスピエールさん「貴様ら・・・捕まえろ!」
一同「はっ!」
不二子さんがロベスピエールさんたちに連れ去られ、ルパンさんが後を追い、次元さんと五ェ門さんが国民兵との立ち回り、逃げる王妃様に国民兵が追いかけ、ルパンさんと不二子さんがピストルを使ってロベスピエールさんとミラボーさんとバルナーヴさん、国民兵と勝負をし、ルイ16世陛下、女の子と男の子、僕とミアとアクセルとマキシームとラファエルが国民兵に追いつめられたところを次元さんが助けて、ジャンヌさんとレトーさんとセラフィーナさんとテオとガブリエルとシャルロットとエデンが追いつめられて王妃様をルパンさんと助けたテオを捕まえようとすると五ェ門さんが助けてくれたよ。
テオ「Mr.Goemon!」
ガブリエル「五ェ門さん!」
五ェ門さん「またつまらぬものを斬ってしまった」
テオ「What?またつまらぬものを斬ったってどういう事ですか〜〜〜?」
ルパンさんと王妃様が国民兵に追い回され、銭形さんとジョルジュさんとアンリさんに捕まりそうになり、逃げてきたルパンさんと王妃様が僕とテオと意気投合して隠れて国民兵が走りぬけてきた。
兵士から逃れたルパンさんと王妃様と僕とテオは、パリ市街に戻ったところにロベスピエールさんが現れ、ミラボーさんとバルナーヴさんも反対側から現れた。
アダム「マクシミリアン・ロベスピエールさん」
ルパンさん「ありゃりゃりゃりゃ〜、はさまれちまったか」
ロベスピエールさん「やれ!」
ミラボーさんとバルナーヴさんがテオを捕まえてしまい、僕はお腹を光らせて彼らに向けて解放させた。
テオ「Thank you、アダムBoy。とても怖かった!」
アダム「良いよ。テオもう大丈夫だよ」
ルパンさんが最後にロベスピエールさんに向けてピストルを撃つと、その先端から花が!
テオ「僕の好きなお花が入ってる!」
ルパンさん「ほら、とっとと帰れ。こんなところで死にたいのか?」
ロベスピエールさん「くそっ。覚えてろよ」
ロベスピエールさんがテオを睨みつけて逃げた。ミラボーさんとバルナーヴさんもテオを睨みつけて後を追いかけた。
ルパンさん「まあ、どうせ数ヶ月には処刑されちまうけどな」
ルイ16世陛下と子供たちが僕の友達と出た。
男の子「ママー」
王妃様「あなたたち」
ルイ16世陛下「マリー。テオ、無事で良かった」
次元さん、五ェ門さんたちも出てきた。
ルパンさん「皆無事だったか」
ルパンさんが王妃様の方へ振り向いた。
ルパンさん「じゃあ、誰かが見つかる前に、早く行ったほうがいい」
次元さん「ルパン、俺たちも逃げよう。インセクトランドのみんなと一緒に」
セラフィーナさんが箱をルパンさんに渡した。
セラフィーナさん「コレを、ジュゼッペから」
セラフィーナさんが箱を開けると中には王妃様の首飾りが!
セラフィーナさん「彼がイタリアで逮捕された時に、私に託したんです。必ずあなたに渡してくれって」
ルパンさんは首飾りを手に取った。
ルパンさん「これはマリーちゃんが持って行けよ」
一同「え⁉︎」
アダム「ルパンさん、いいのですか?」
ルパンさん「逃げて暮らす金が必要だろ。これを売って生き延びるんだ」
王妃様「でも、これがないとあなたは未来に・・・それにアダム君たちはインセクトランドに・・・」
ルパンさん「どうせマリアの涙も必要だし、ダイヤの500個くらい盗むわけねえさ。それに、この首飾りは200年後には王妃の首飾りと呼ばれてるんだ。王妃様の胸元に輝いている方が一番ふさわしいぜ」
ルパンさんは、王妃様の首に首飾りをかけてくれた。
王妃様「ルパン・・・本当に、ありがとう。インセクトランドのみんなも助けてくれてありがとう」
ルパンさん「おっと、悲劇はここまでだぜ。これからは笑顔で暮らしてくれよ、マリーちゃん」
ルパンさんが王妃様の涙をぬぐうと、緑色の光が現れてきた!
王妃様「これは・・・」
五ェ門さん「どういうことだ?」
ルパンさん「マリアの涙。フランス語でマリーの涙。世界中で一番貴重な宝石か・・・」
アクセル「女性の涙で叶わない願いなんかない、って事ですよきっと!」
不二子さんが出てきた。
不二子さん「さ、行きましょう、ル・パ・ン」
次元さん「不二子!」
ルパンさん「仕方ねーなあ」
五ェ門さん「やれやれ」
五ェ門さんはため息をついた。
ルパンさん「じゃあな、幸せに生きろよ。マリー」
王妃様「元の時代でもお元気で」
ルパンさん「よし、行くか・・・エロイム・エッサイム、エロイム・エッサイム・・・」
五ェ門さんはネズミの死骸を取り出して、銭形さんとジョルジュさんとアンリさんが駆け込んできた!
銭形さん「おいおいおいおいおい待て待て待て待て待て!」
アダム「あー!また迷惑すぎる人だ!」
ルパンさん「よぉ、とっつあん。ずいぶん出世してたみたいだし、この時代に残るのかと思ったぜ」
銭形さん「ふざけるな!」
銭形さんがルパンさんに飛びかかってきた。
ルパンさん「うわ、気持ち悪いから離れろって、とっつあん!」
僕がお腹の光で銭形さんに向けて、ルパンさんがそのおかげで銭形さんを突き飛ばした。その前にはジョルジュさんとアンリさんがいる。
ジョルジュさん「さよなら!銭形警部!」
アンリさん「パリの平和は我々が守ります!お元気で!」
銭形さんが頷いてくれて、三人は敬礼をした。
ルパンさん「エロイム・エッサイム、エロイム・エッサイム、開けマメ!・・・違うか」
ジョルジュさん、アンリさん「警部、急いでください、早く!」
銭形さん「ルパン!」
ルパンさん「開け、ゴマ!じゃああばよ、マリーちゃん」
ミア「さよならみなさん!みなさんに会えてとても良かったし楽しかったです!」
アクセル「さようなら!」
アダム「さようなら王妃様、みなさん!」
テオもガブリエルもエデンもシャルロットもマキシームもラファエルも挨拶をしたよ。インセクトランドの僕たちとルパンさんたちと銭形さんが消えて行った。
現代、美術館の鏡の回廊では、光で僕たちインセクトランドとルパンさんと五ェ門さんと次元さんと不二子さんが帰ってきた!
五ェ門さん「ふむ、戻ったか」
不二子さん「元の時代に戻れたかしら?」
シャルロット「もちろんですわ不二子さん!」
エデン「わたくしたち、元の美術館に帰ってきましたの」
シャルロットとエデンは明るく言った。
ルパンさん「電源が切られてないな。じゃあその前っつーと」
不二子さん「やだ!ネズミ‼︎」
ルパンさんと僕たちは台の後ろを見た。
シャルロット「あら、ネズミだなんて何もいないですよ」
次元さん「おいルパン、銭形がいねーぞ」
みんなが見回した。
ルパンさん「ありゃりゃりゃひゃー。置いてきちまったか?」
ラファエル「どうするんですか?」
銭形さん(声)「ふ〜ざ〜け〜る〜な〜」
銭形さんと機動隊が駆け込んできて僕らはカンカンに怒り出した。
銭形さん「現代に戻ったからには容赦はせんぞ。必ずひっとらえてやる。お前たちかかれ!」
隊員1・2「はっ」
大量の機動隊員がルパンさんを追い詰めてきた。またまた大混乱となった!
その時、女性の声が!
女性(声)「待ってください!」
手紙を持った女性が駆け込んできた。彼女は僕らがすでに会っているここの学芸員マリー・カペーという女性だった。
銭形さん「え?」
アダム「マリー・カペーさん」
マリー・カペーさん「アダム君、ミアちゃん、ガブリエル君、ラファエル君、エデンちゃん、シャルロットちゃん、アクセル君、テオ君、マキシーム君久しぶり!」
ルパンさん「マリー・・・ちゃん・・・?ひょっとして一緒につれてきちまったか?」
マリーさん「あ、えと、ルパン三世さん、ですか?」
ルパンさん「え?ああ、そうだぜ」
マリーさん「よかった!あ、非常ベルを鳴らしてしまったのは私なんです。すみません!」
マリーさんが頭を下げてきた。
銭形さん「いえ、どういたしました」
長官さんが僕らの顔見知りのルーブル美術館館長を伴ってやってきた。
ルーブル美術館館長さん「マリー君!君はいつも無茶をして・・・。アダム君たちもすまないね」
マリーさん「すみません、館長」
インセクトランドの僕たちは気にしないでと言った。
テオ「いえ、勘違いや失敗は誰だってありますから」
銭形さん「どういうことですか?」
銭形さんが長官さんに声をかけた。
長官さん「こちらはルーブル美術館館長のオーギュスト氏。そちらのお嬢さんは同じく学芸員のマリー・カペー君。そして、そのネックレスの発見者でもある」
ルパンさん「発見者?」
マリーさん「ええ。うちの納屋で見つかったんです。それを伝えたらあれよこれよという間にこちらに展示されるようになって。で、私の大切なことを伝え忘れていたんです。そのネックレスは私のひいひいひいひいひいひいひいおばあちゃんのもので、ひいひいひいひいひいひいひいおばあちゃんは、いつか必ずルパン三世という大泥棒が現れるから、そうしたらそのネックレスを渡して欲しいって遺言していたんです!」
マリーさんが手紙をかかげてきた。
ルパンさん「マリーちゃん・・・」
不二子さん「ってことは・・・」
次元さん「そのネックレスの持ち主は」
五ェ門さん「ルパン、ってことか」
ルパンさん「だぜ、とっつあん。さあ、電源を切ってくれ。正々堂々とお宝をいただくぜ」
銭形さん「ぐ、ぐぬぬぬぬー。電源を切れ!」
隊員1が電源を切った。
ルパンさん「うひひひひー。感謝するぜ、マリーちゃん・・・ありゃ?」
ルパンさんが首飾りに触れようとした瞬間、首飾りが消えていた。
シャルロット「あら?ルパンさんの大切な首飾りがなくなってるわ!」
アクセル「大変だ大変だ大変すぎだあー!」
すると、首飾りを盗んだ本人のカリオストロ伯爵さんが光で現れた。過去から現代にやって来たのだ。
ルパンさん「この音は・・・」
みんな「カリオストロ(さん)(Mr.カリオストロ)⁉︎」
カリオストロさん「時を操り、永遠の命を得た錬金術師、カリオストロ伯爵、参上!」
ルパンさん「なんだその登場台詞・・・」
マキシーム「スーパーヒーローみたいな台詞でありますね・・・」
カリオストロさん「久しぶりだな、200年ぶりか?」
マキシーム「ええ、まあ。お元気そうで何よりです」
カリオストロさん「あの時は首飾りを返して結局タダ働きだった。ギャラとしてこれはいただくぜ」
ガブリエル「待てよ!これはルパンさんの!」
ガブリエルが怒り出して、カリオストロさんから首飾りを返そうとする。
カリオストロさん「それでは、失礼する」
ルパンさん「ふざけるな、あ!」
カリオストロさん「え?」
ルパンさん「待て、せめて山分けに!」
ルパンさんとガブリエル、カリオストロさんがネックレスを奪い合う様子を見たマリーさんが思わず笑い出した。ルパンさんとガブリエルはその姿を見て微笑み合った。その隙にカリオストロさんは、首飾りを持って逃げ出した。
不二子さん「なによ、2人で分けるなんて許さないわ!」
マリーさん「ダメです!それはルパン三世さんのものなんですから!」
ルパンさん「いくぜ、五ェ門、次元、アダム君、ガブリエル君、ミアちゃん、シャルロットちゃん、エデンちゃん、アクセル君、ラファエル君、テオ君、マキシーム君」
インセクトランドのみんな「はーい!」
五ェ門さん「仕方がない」
次元さん「行くか」
銭形さん「おい、待て!お前たち、行くぞ!」
隊員1・2「はい!銭形警部!」
銭形さん「よし!待て、ルパ〜ン!」
僕らとルパンさんと不二子さんと五ェ門さんと次元さんはカリオストロさんを追い、銭形さんと隊員2人がカリオストロさんよりルパンさんのみを追いかけた。
カリオストロさんの魔術でストップモーションされた。ネックレスはルパンさんの手に渡るが逆回しにされ、再びカリオストロさんの元へ。
カリオストロさん「開けゴマ!」
ストップモーションが解けるとアクセルのお陰で首飾りを奪い返すことができた。
アクセル「はい、ルパンさん!」
ルパンさん「ありがとう、アクセル君」
カリオストロさんは首飾りを奪おうとするけどガブリエルにより、腕を抑えられており、ストップモーションが出来なくなっている。インセクトランドの僕たちの活躍により、カリオストロさんは銭形さんに連行されて行った。
残ったルパンさんとインセクトランドの僕たちが美術館から出て現代のパリの夜になっていた。
アダム「わあ、過去の世界のパリみたいで変わってないね」
ミア「本当だね。ミアとアダム、ルパンさんと王妃様とパリに行ったんだよね?」
アダム「そうだねミア」
ルパンさん「アダム君、ミアちゃん、覚えてくれてたんだな」
僕とミアは頷いた。
マキシーム「アダム、ミア、ルパンさんとどういう事ですか?」
ルパンさん「アダム君とミアちゃんと俺はな、マリー・アントワネット王妃様が部屋の中で退屈だったから俺たちが案内していたんだ」
テオ「そうだったんですか。アダムBoyとミアGirl・・・」
ルパンさん「それだけではないぞ。アダム君たちが『昆虫かくれんぼダンス』を踊ってマリーちゃんを励ましてくれたんだぞ」
アダム「うんうん。昆虫かくれんぼダンスを教えてくれたのはテオのおかげだから、ルパンさんも王妃様もお礼を言いたかったんだって!」
ルパンさん「ああ。テオ君ありがとう!王妃様にも喜んでたからな」
テオは赤面して笑った。
アクセル「テオ、良かったな。ルパンさん、タイムスリップした冒険とても楽しかったですよ!」
マキシーム「自分たちもルパンさんたちに会えて良かったです」
シャルロット「ルパンさんも次のお宝盗んじゃってください!」
ガブリエル「シャルロット、ルパンさんの大ファンだな!」
ラファエル「うんうん」
アダム「ラファエルの言うとおり。僕らもルパンさん、五ェ門さんと次元さんと不二子さんやカリオストロさんたちが大好きですからね!」
ミアも、アクセルも、マキシームも、テオも、ガブリエルも、ラファエルも、頷き、エデンは面白く笑い頷いた。
ルパンさん「じゃあ、みんな、あばよ!みんなも幸せになれよ!」
インセクトランドのみんな「さようならルパン三世さん、また会える日まで!」
ルパンさんがその景色を見下ろすと、次のお宝を目指してパリの街へと歩いていき、僕らはその後ろ姿を見送ったのだった。
おわり
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