信国への遠征を控えたある日、隊員たちに1日の休暇が与えられ
メイと翔太もその貴重な休みを利用して、街へ買い物に出かけた。メイには私服がなかったのだ。
「翔太、せっかくの休みなのに付き合ってくれてありがとう」とメイが感謝の言葉を口にする。
「別に、特にやることもないし、いいさ」と翔太は気軽に答えた。
「いつも練習にも付き合ってくれてるし、今日は何かご馳走するね」とメイが提案する。
「気をつかうなよ」と翔太は遠慮するが、
「いいじゃん、ボクがご馳走したいんだから」とメイは笑顔で翔太の腕を掴んだ。
「おい(ドキ)」
メイは楽しそうに「翔太、このお店見たい」といつものように微笑んでいた。
「うん、今行くよ」
店内に入り、メイが「これ似合うかな?」と女性もののシャツを当ててみると、
翔太は驚いて声を上げた。「メイ、それは…?」
メイは楽しさのあまり、自分が男であることを忘れてしまっていたのだ。
内心焦りながらも、表情には出さず、(しまった!ついレディースを取ってしまった!!)
一方、翔太は心の中で叫んだ。(か、かわいいぞ、コイツ!!)
メイは気を取り直し、男性物のシャツを手に取り「やっぱり、ぼ、僕はこっちだよね」と照れくさそうに言った。
「そうだな、いいんじゃないか」と翔太は応じたが、胸の中のドキドキは止まらなかった
翔太とメイは、店を後にし、新たな場所へと足を向けた。翔太は、
先ほどの出来事が頭から離れず、
(なんでさっき女性の上着を取ったんだろう?しかも似合ってたし…)と、
疑問を抱きながら歩いていると、一滴、また一滴と雨が降り始めた。
メイが空を見上げ、「雨だ」とつぶやいた瞬間、空がゴロゴロと鳴り出し、
雷が響いた。「これは夕立だ、どこか避難しよう」「うん」二人は急いで足を早めたが、
案の定、豪雨に見舞われた。公園の屋根のあるベンチにたどり着き、二人はホッと息をついた。
「すぐやむよね」とメイが言い、翔太も「うん、一時的だから、少し待とうか」と答えた。
メイが笑いながら、「それにしてもびしょびしょだね」と言った時、
翔太はふとメイの姿に目を奪われた。メイのTシャツが雨で濡れて、体にぴったりと張り付いていた。
翔太の心臓はドキドキと高鳴り、ハンカチを取り出して、
「すごい濡れてるから、これで拭いて」と差し出した。メイは不思議そうにハンカチを受け取り、
「翔太も風邪ひいちゃうよ」と言って、翔太の頭を優しく拭いた。翔太の心臓はさらに早打ち、
ドキドキが止まらなかった。
(もう、これ以上は無理だ、メイの顔を見れない)翔太は心の中で叫び、
「ごめんメイ、おれ先に帰る」と言って、雨の中を走り出した。
濡れた服が冷たく肌に張り付き、翔太の心は混乱していた。
(なんだ、この気持ちは、相手は男だぞ…)翔太は雨の中を走りながら、
自分の感情と向き合わざるを得なかった。
翔太は宿舎に戻ると、濡れた髪をタオルで拭きながら、
「メイを置いてきてしまった。大丈夫かな…」心配が募り、もう一度迎えに行くことを決意した。
その時、部屋のドアが勢いよく開き、びしょ濡れのメイが現れた。
「もう、先に帰っちゃうなんてひどいよ」翔太は慌ててタオルを取り出し、
「ごめんメイ…」と謝りながらメイの頭を拭いた。
メイは心の中で(やっぱりさっき女性ものの服を選んだから変だと思われたかな)と不安を抱え、
翔太は(置いて帰るなんておれ最低だよな)と自己嫌悪に陥っていた。
そんな二人の間に気まずい沈黙が流れた。しかし、メイが突然明るい声で提案した。
「そうだ!風邪ひいちゃうからお風呂に入ろう!!」
「ふろ?別にかまわないけど」と翔太が答えると、メイは一瞬ほっとした表情を見せた。
メイはお風呂に入れば、自分は男性であることを再確認でき、
また翔太に対する奇妙な感情を整理できると考えていたのだ。
二人は浴室へ向かった。もちろん、体は男同士であることに変わりはないが、
メイは心の中で(もう何回も入ってるはずだし、恥ずかしくないけど…二人きりって緊張するな…)と思い、
翔太も(なんだ…この緊張感…意識しすぎだぞ!!)と自分に言い聞かせていた。
浴室には、二人の間に重い沈黙が流れていた。
その時、突然誰かが入ってきた。「急に降ってくるんだもんなぁ」と言いながら現れたのはタケルだった。
タケルは浴室に入ると、メイと翔太に気づいて声をかけた。「あれ、お前らも入ってたの?」
メイは「うん、雨がすごかったから」と答え、浴槽から出て洗い場へ向かった。
その途中でメイは「タケルはエリナちゃんと一緒だったの?」と尋ねた。
タケルは一瞬表情を暗くし、「そうそう、デートしてたんだけど…」とつぶやいた。
メイが心配そうに「どうした?」と聞くと、タケルは突然メイに抱きつき、
感情を爆発させた。「ちくしょう!あと一歩だったのに!」
タケルはエリナとのデート中、突然の雨に降られたのを口実にホテルに誘い、
しかし平手打ちされて帰ってきたという。メイは心の中で(全然あと1歩じゃないじゃん)と呟いた。
「はぁ、この気持ちどうすれば…」とため息をつくタケルに、
メイは「またチャンスはあるよ」と慰めた。
タケルはその言葉に少しだけ元気を取り戻し、「そうか…」と言いながらメイの背中を洗い始めた。
「ちょっと…」とメイが驚くと、タケルは「上手くいってたら、
今頃エリナちゃんと洗いっこできたのになぁ」と冗談めかして言い、
素手で石鹸を泡立ててメイの背中から胸にかけて滑らせてきた。
「タケル!わたし…ボク、エリナちゃんじゃないよ!!」とメイが叫ぶと、
タケルは「想像だけでもさせてくれ!」と返した。
その様子を見ていた翔太は内心で(た、タケル!!よせ、それ以上メイにさわるな…)と焦りを感じていた。
しかし、タケルはエスカレートし、メイの股間に手を滑らせた。
「ひ!!」と声を上げたメイの叫びに反応して、翔太は浴槽から飛び出した。
「タケル、メイが嫌がってるだろう!!男のお前に触られたくないんだよ!」と怒鳴りつつ、
翔太の股間は熱くなっていた。タケルとメイは驚いた表情をして、翔太の顔は真っ赤になり、
慌ててその場から去っていった。タケルは「あいつ、もしかしてエリナちゃんのこと想像しちゃったかな」
「そうなんだ..」と心配そうにつぶやく。
こうして3人の貴重な休日は終わった。翔太の気持に新たな感情が芽生えた瞬間だった。
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