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人外っっっっっっっ!!! 最高やんけ!!w
サメとクラゲが入ったプール...? 危ないけど...最高じゃねえか!w
第2話「プール授業で人魚が本気出す」
超常学園《モノノケ学園》には、専用のプールがある。
──水深20m。サメ付き。時々クラゲ(毒アリ)。
なぜそんな仕様なのかは、生徒が人外だからだ。
今日は、プール開き。
「ふぅ……やっぱり水の中がいちばん落ち着くわ」
ほとけが、尾びれをゆらゆらさせながら優雅に泳いでいた。まるでマーメイドのグラビア撮影会。
「……待て、なんかめっちゃ周り注目してない!? カメラ構えてるやつおるやん!」
「ほとけちゃん! 尾びれください!!!」
「どんな性癖!?」
ガラス越しに見守っていたいふ(メリーさん)が、タオルを持って仁王立ち。
「みんな! ほとけは俺のもんやで!! 尾びれ見るの禁止!!!」
「なんで体育で束縛入るん!?」
しかも、いふは水着の代わりに「着ぐるみパジャマ(クマ)」を着ていた。理由は、私服が全部白ワンピしかないから。
「……泳がんの?」
「泳げへん。俺のメリー成分、水に溶けんねん」
「そんな溶けやすいホラーある!?」
一方、雪女の初兎はというと。
「うちは氷系やのに、なんでプール来なアカンねん……」
足先つけただけで、水面が凍る。
監視員(ぬりかべ)にめっちゃ怒られる。
「初兎! お前、そこ凍らせたら沈むやろ! サメが困ってるわ!」
「え、サメ!? あっ……ごめんやで……」
そこへ、悠佑(花子さん・男)が颯爽と浮き輪で登場。
女子用浮き輪(ピンク・ハート型)を装着しているが、表情は真剣。
「俺が代わりに泳いだる! 初兎はベンチでジュース飲んどけ!」
「……悠佑……」
初兎の胸がきゅん、と凍る(物理的に)。
「ほな、がんばりや」
「よっしゃ! 今日の目標は──水中鬼ごっこで勝って、初兎に告る!」
「えっ!? 最後、変な目標まざってへんかった!?」
りうら(ヴァンパイア)はというと、完全にプールサイドで干からびていた。
「……私、水に弱いのに、なんでプール……」
「そこがまたエモいな」
隣で日傘を持っているのは、ないこ(二口男)。
りうら専属の影担当を自称している。
「てか俺が傘さしながら見守ってんの、もう
彼氏ムーブちゃう?」
「……ムーブじゃなくて、彼氏でしょ?」
「え、ちょっ……あ、そうやったわ!! 付き合ってたわ!!!」
第二の口「ド忘れすんなや!!」
「お前も俺の一部やろが!!」
そして始まった、水中鬼ごっこ。
鬼:サメ(狂暴)
ターゲット:ほとけ(人魚)
護衛:いふ(メリーさん・着ぐるみ)
──いや、無理がある。
「いふ、こっち!! サメきた!!」
「うおおおっ!! 俺が囮になる!!」
いふ、ジャンプ。クマパジャマのままダイブ。
瞬間、着ぐるみが水を吸って3倍に膨らんだ。
「溺れる!! これ沈むやつや!!!」
「えええっ!? 逆効果やん!!!」
結果、サメは逆にいふの膨れたパジャマにびびって逃げた。
「メリーさん、強っ……」
「これが愛の力や……ほとけ守るためやったら、俺、何回でも溺れたる」
「バカすぎる……けど、嬉しい……」
ほとけ、耳まで真っ赤(魚なので赤みがわかりにくいが、気持ちは真っ赤)。
そしてプール終了後。
初兎は悠佑に、氷のアイスを差し出した。
「さっき、かっこよかったで」
「へへ、サメにも勝ったからな……俺、初兎のこと、好きやで」
「……知ってた」
「うん?」
「うちもやで」
アイスが溶けかけたのを、ふたりで分け合って食べた。
その夜。
りうらはないこと帰り道。
「今日は……助かったわ」
「いや、俺こそ。りうらって、意外と弱いとこもあるんやなって、もっと好きなったわ」
「じゃあ……明日も、私の影でいてくれる?」
「うん、どこまでも」
第二の口「一生ついてくるで!!!」
「お前、夜だけしゃべれや!!」
──夜の月が照らす、愛と水と吸血の一日だった。
──つづく。