テラーノベル
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ENTP中心
「ノイズの中心で、彼は笑う」
朝の教室は、いつも通り騒がしい。
机を引く音、スマホの通知音、誰かの笑い声。
その全部を、まるでBGMみたいに聞き流しながら、ENTPは窓際の席で頬杖をついていた。
黒板の前では教師が何か言っている。
多分大事なことだ。でも、ENTPの意識は別の場所にある。
「ねえ、もしこの学校が突然消えたらさ」
突然、後ろの席から声が飛んできた。
ENTPは振り返りもせずに答える。
「都市伝説系?それともSF?」
「どっちでも。想像実験」
「いいね。じゃあまずインフラから考えよっか」
そんな会話が自然に始まる。
誰かが投げた雑な話題を、ENTPは勝手に膨らませて、勝手に面白くする。
気づけば周囲に人が集まっている。
でも、本人は気づいていない。
自分がこの空間の“中心”になっていることを。
ENTPは、目立ちたいタイプではない。
騒ぐのは好きだけど、注目されたいわけじゃない。
ただ「考えるのが楽しい」だけだ。
面白い発想。
突拍子もない仮説。
誰も思いつかなかった視点。
それらが頭の中で次々に生まれて、
外に出さないと溢れてしまうから、口にしているだけ。
「お前さ、ほんと何考えてるかわかんねーな」
そう言って笑うのはESTPだ。
運動神経抜群で、クラスの空気を一瞬で掌握するタイプ。
「わかんない方が楽しくない?」
ENTPは軽く笑って返す。
ESTPは肩をすくめる。
「まあな。でもさ」
一瞬だけ、ESTPの視線がENTPから外れる。
それを、ENTPは見逃さない。
放課後。
教室にはENTPとINTJだけが残っていた。
INTJは窓際で本を読んでいる。
無駄な動きは一切ない。
沈黙が似合う男だ。
「ねえINTJ」
ENTPが声をかける。
「今日の俺、うるさかった?」
INTJはページをめくらずに答える。
「いつも通りだ」
「そっか」
それで会話は終わるはずだった。
でも、INTJは本を閉じて続ける。
「ただ」
ENTPが顔を上げる。
「無意識に人を引き寄せすぎる」
一瞬、空気が止まる。
ENTPは笑おうとしたが、少しだけ失敗した。
「それ、悪い?」
「悪くはない」
INTJは淡々と言う。
「だが、君自身が置き去りになる」
ENTPは返事をしない。
代わりに、窓の外を見る。
夕焼けが、やけに眩しい。
ENTPは、自分のことを「軽い人間」だと思っている。
深く考えない。
悩まない。
いつも楽しそう。
周囲もそう思っている。
でも実際は違う。
考えすぎるほど考えているし、
悩みも多い。
ただ、それを“重く見せない”だけだ。
「まあさ」
ENTPは笑う。
「置き去りにされるよりマシじゃない?」
INTJは何も言わない。
その沈黙が、肯定なのか否定なのかはわからない。
数日後。
ちょっとしたトラブルが起きた。
クラス内の噂。
誰かの誤解。
小さなすれ違い。
ENTPは、いつものように間に入る。
冗談を言って、空気を和らげて、
全員が少しだけ楽になるように動く。
結果、問題は解決した。
「さすがENTP」
「助かったわ」
そんな言葉が飛ぶ。
でもその夜、
ENTPは一人でベッドに転がって、天井を見つめていた。
頭の中が静かすぎて、逆にうるさい。
「俺、何してんだろ」
誰にも聞かれない独り言。
翌朝。
ENTPは少しだけ遅れて登校した。
教室に入ると、ESTPが気づいて声をかける。
「珍しいな」
「まあね」
ENTPは笑うが、どこか薄い。
ESTPはしばらく黙ってから言う。
「無理すんなよ」
ENTPは一瞬、目を見開く。
そして、ゆっくり笑った。
「バレてた?」
「なんとなく」
ESTPはそれ以上、踏み込まない。
それが、彼なりの優しさだ。
昼休み。
ENTPは屋上にいた。
風が強くて、少し寒い。
でも、頭は冴える。
そこに、INTJが現れる。
「やはりここか」
「予測済み?」
「行動パターンから」
ENTPは笑う。
「こわ」
INTJは気にしない。
「君は」
INTJは一拍置く。
「中心に立つ人間だ」
ENTPは否定しようとしたが、INTJは続ける。
「だが、中心は孤独だ」
その言葉は、静かに刺さった。
ENTPは、しばらく黙る。
そして、珍しく真面目な声で言う。
「……それでもさ」
「?」
「俺は、面白い方を選びたい」
INTJは微かに口角を上げた。
「君らしい」
ENTPは今日も笑う。
冗談を言う。
人を巻き込む。
でも、以前より少しだけ、自分の足元を見るようになった。
中心であること。
軽やかであること。
考え続けること。
全部、自分だ。
ノイズの中心で、
ENTPは今日も世界を回している。
静かに、楽しそうに。
めっちゃ伸びててびっくり()
こめんとまってます
コメント
1件
本アカです。よかったらふぉろ~してね!