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じりりり、と嫌な音が響く。
[夜]が始まった。
“僕”の嫌いな[夜]が。
“私”は[夜]を[朝]として受け入れ、そこが好きな振りをしなければいけない。
「…嫌だな」
つい、私の口から零れ落ちてしまった。
これは僕の言葉だと言い聞かせて目覚ましを止める。
部屋から出るとお母さんがいた。
「よる、おはよう!」
いつもと相反する明るい口調に驚く。
「…あれ?あ、喋れないんだっけ?笑」
…違った。
やっぱりお母さんはいつもの調子だ。
少しでも期待した自分が恥ずかしい、などと思っていると。
「もしもーし?笑おみみついてないんでちゅかね〜?笑」
猿が騒ぎ出したので取り敢えず謝っておく。
「ご、めんっ、 な、さぃ、」
「え?笑なんて?笑笑」
そっちこそ耳付いてねぇじゃねぇかよ猿以下じゃねぇか。
聴力が著しく低いらしき猿は無視して作ってもらうことは勿論、作ることさえ許されない朝食の代わりに氷を食べて登校。今までは氷を食べる事さえ許されなかったけれど、無視していたら飽き性の猿はどうやら飽きたらしい。
「…ねぇ来てんじゃん、笑」
「いい加減辞めればいいのに笑笑」
__猿小屋から出たら解放される訳では無い。
今度は老い猿より若い猿の対応だ。
どうやら私の周りには猿しか居ないらしい。
『いってきます』
“僕”として携帯に打ち込む。
直ぐに反応が来る。
微笑んでまた歩き出した。
「ねぇなんかニヤついてんだけど…!きっしょ……!笑」
…気にしない。
若い猿は老い猿に比べて声が小さい。声帯かメンタルが成長しきっていないのだろう。
、着いてしまった。
もう一度携帯を開いて生気を養う。
行ってきます。