ズババアンバ~ン
僕は飴玉が大好きだ、だけど
そんな飴玉に貫かれるだなんて思いもしなかった。
「ハッ…!」
目が覚めたら僕の家じゃない、知らない天井があった。
「知らない天井だ…」
唖然としている僕に、白衣を着た医者であろう人が何故僕がここにいるのかを説明してくれた。
まずひとつ、ここは病院で、僕は重症を負ったのだということ。
ふたつ、僕は飴玉に貫かれて怪我を負ったということ。
みっつ、今、日本で1人の男による飴玉テロが起きているということ。
を、教えてくれた。
意味が分からなかった。
僕の大好きな飴玉が僕を貫くだなんて…
信じられない。
だが、目の前のこの医者に八つ当たりする訳には行かない。
僕は飴玉テロの詳細、なんの飴玉が使われているのかを聞くことにした。
飴玉テロに使われている飴玉は
駄菓子屋さんのあめ玉…
三ツ矢サイダーキャンディ…
あわだま…
という事だった…。
「クソッ…」
どれも僕が大好きな飴ばかりじゃないか…。
その時!
ガッシャアンシャシャンシャァ~アン!!!!!
と言う音と共に、1人の男が窓を突き破り僕の前に現れる。
そして彼は僕に何かを向けた、何を向けたのか、一瞬では分からなかった。
あれはなんだ?
考える。
だが敵は待ってくれない。
なんの力もない俺に、彼はその何かを放つ。
「クッ…!」
間一髪で避ける事に成功した…
何かが向かった先を見てみると…
壁に穴が空いていた、先程まではなかった小さくて丸い穴が…
それを見た瞬間すぐに理解した。
彼が持っているのは……
飴玉だ…。
間違いなく、僕が大好きな飴玉なのだ。
「なるほど、これが飴玉テロって訳か…!」
敵はもう一度僕に向かって飴玉を放つ。
だけどそんなもの、僕にはもう当たらない。
「僕はね、飴玉が大好きなんだよ。」
「っ…!」
「飴玉の事は僕が1番わかってるんだ!!!」
だがなんだ?彼が持っている飴玉はなんの飴玉なんだ?
僕は常にスマートフォンで飴玉の情報を調べてる、定期的に飴玉を作る工場にだって行っているんだ。
なのになんだ?あの飴玉は…
分からない。
そんな僕に彼はこう言った。
「フッ、これが何か知りたいか?」
「っ………!」
言えなかった、教えてくれ、だなんて。
飴玉が大好きな僕にとって、飴玉の事を知らないなんてのはこの上ない屈辱なのだ。
「これはこの世に存在しない俺だけの飴玉だ。」
「………?」
何を言っているんだ?
「フッ…好きだろう?飴玉テロに使われている飴玉。」
彼がそう言った瞬間すぐに理解した。
「お前…!まさか!」
駄菓子屋さんのあめ玉、三ツ矢サイダーキャンディ、あわだま、この3つが集まり、あの飴玉になったのか…!?
そしたら彼はこう言った。
「やっと気づいたようだな、飴玉が好きだと言っても所詮その程度だったと言う訳だ!」
……プツンッ
僕の中で何かが切れる音がした。
「お前…なんなんだよ…なんなんだよお前!!お前は一体何者なんだ!!!」
「俺か?俺は全世界の飴玉を愛す者。
飴玉が大大大大大好きな男だ!」
彼は無数の飴玉を僕に向かって放つ
ズババアンバ~ン
まさか…僕より上がいたのか…。
僕の飴玉への愛は、こんな奴に負けるようなもんだったのか…?
違う。
認めない、そんなの絶対に認めない!
「僕は…!」
「っ…!?」
「僕はこの世界で誰よりも!飴玉を愛しているんだ!!!」
「そんなこと」
「ヴェルタースオリジナル!!」
僕がポケットからヴェルタースオリジナルを出すと彼は。
「ヴェッ…ヴェルタースオリジナルッ…だと!?」
と、とても驚いたような表情でそう言った。
そして僕は…
「はははははっ!!」
と、高らかに笑い。
こう言った
「君はヴェルタースオリジナルなんて持っていないよね、高価だから。」
「っ……」
「それに君、飴飛ばしの精度が悪い、全部外してるじゃん。」
「そんなこと!」
「現実から目を背けるなよ、事実だろ。」
「っ………」
「まぁ飴飛ばしの精度が悪い君は乱発するか、相手の不意をつくしかない。
だからヴェルタースオリジナルなんて高価な物は買えないんだよね?」
「………っ!!」
「その反応からするに図星かな?」
彼は…
「そんな事ない!俺の飴飛ばしの精度が悪いなんて!そんな事絶対にあるはずないんだ!!」
と言い、幾つもの飴玉を放った。
彼の飴飛ばしの精度が悪いなんて嘘だ、彼の飴飛ばしは精度が良いとは言えないが、常人なら絶対に避けられない。
「なんでだっ!なんで当たらないんだよ!!」
彼はそう言い、更に飴を放つ。
だが当たらない、ひとつも僕に当たらない、かすりもしない。
そして彼は叫んだ。
「お前…なんなんだよ…なんなんだよお前!!お前は一体何者なんだ!!!」
僕は答える。
「僕?僕は飴が大好きな、ただの高校生だよ。」
スパ~ン!!!
僕はヴェルタースオリジナルで彼を撃ち抜いた…はずだった。
「なんだ…と…?」
彼は立っていた、ただ立っている訳じゃない、そう…彼は無傷で立っていたのだ。
彼は何事もなく立っていた、様に見えたが、よく見ると彼の足元に何か、キラキラと光る欠片があった。
「まさかそんな…!!」
ヴェルタースオリジナルの飴飛ばしを、彼の飴玉で弾き、防いだとでもいうのか!?
「ありえない…」
そして彼は
「フフフフ…ははははは!」
と、高らかに笑い。
「ヴェルタースオリジナルより、俺の飴玉の方が強いということだな!!……お前もこれで終わりだ…!」
と言いながら、ゆっくりと僕に近ずいてくる
「やめろ…来るな……俺のそばに近寄るなア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!」
「もう…だめだ………なんて、言うとでも思ってた?」
僕がそういうと、彼は
「…………は?」
と、間抜けな声を出した。
そんな彼を見て、僕はこう言った。
「君は駄菓子屋さんのあめ玉、三ツ矢サイダーキャンディ、あわだまを合成しているよね。」
「………それがどうした」
彼は僕を見て凄く警戒しているようだった。
そんな彼に対し僕はこう言った。
「君に出来る事が僕に出来ないと思うかい?」
そして彼は何か気づいたかのように
「お前まさか!やめろ!!」
と、叫んだが。
「もう遅いよ」
「合成!ヴェルタースオリジナル・ヴェルタースオリジナルキャラメルキャンディ・ヴェルタースオリジナルキャラメルクリームイン!」
「やめろ…やめてくれ…」
彼は酷く怯えているようだった。
「出来た…!ヴェルタースオリジナルオリジナル!!」
だが僕はそんな彼に構わず__
「これで終わりだあぁぁぁぁあ!!!」
こうして、飴玉テロは1人の少年によって、終わりを迎えたのであった…。
コメント
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すき💕