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「皺になったらもったいないので脱ぎますね」
言いながら綾瀬がワンピースを脱ぐ。
丁寧に足先からそれを抜き、ハンガーにかけて振り返った顔は、男に戻っていて、眞美はその美しい雄の顔を見上げながら「器用なやつ」と毒づいた。
再び重なってきた綾瀬が、眞美の唇を啄む。
そのくすぐったい感触に、先ほどの熱を求めて、つい顎を上げ、彼の首に腕を絡ませると、
「はは…かわいい。素直な栗山さんも悪くないですねー」
と妙に間延びした低い声を発した後、望み通りの熱いキスをくれた。
その手がキャミソールを捲り上げる。
ワインレッドの刺繍が入ったブラジャーの上を綾瀬の手が滑っていく。
「……下着には興味ないの?」
照れ隠しにそう言うと、彼はふっと笑った。
「ありますよ、当然」
言いながらその中心をつまむ。
「っ!」
「でもここに関しては、下着よりその中身に興味あるかなぁ?」
言うと下からそれも捲り上げられる。
思わず恥ずかしくて目を閉じる。
「ーーーーーー?」
しかし、なかなか触ってくれない。
目を開けると、綾瀬は両手を眞美の両側について、ただ、見下ろしていた。
窓際の間接照明に、綾瀬の顔が、身体が照らされている。
浮き出た鎖骨。
メリハリのある胸板と、上腕の筋肉。
うっすら縦の線が入る腹筋。
服の上から見るよりずっと男らしい体に眞美は劣等感からめまいを覚えた。
「———見ないで」
思わず目を逸らすと、彼は微笑みながら、また覆いかぶさってきた。
「どうして?」
「だって―――こんな体、恥ずかしい……」
自分で言った言葉に傷つき、涙が滲む。
「————柔らかい」
言いながら綾瀬は眞美のかろうじて見える鎖骨の下あたりにキスをした。
「あなたは、俺が欲しいものを全部持ってる―――」
言いながらその手が、胸の膨らみを触る。
「この柔らかさってのは、女性特有のものですもんね」
愛でるように優しく。
「例えば俺が太ったとして、この柔らかさと質感は出ないんですよ」
叱るように強く。
「こういう柔らかい体じゃないと、本当はに合わないんだよな、ワンピースも」
怒るように激しく。
「ひらひらのドレスも、ロングドレスも全部」
「————っ」
荒々しい触り方に、先端が痛いほど硬くなるのがわかる。
眞美は自分の腕を唇に押し付けた。
「“こんな体”って恥ずかしがるくらいなら。
ーーー俺にください。今夜、全部」
綾瀬の唇が、眞美の胸を包んだ。
(――――た、食べられるっ…。)
必死に快感に耐える。
跨いだ綾瀬のモノが質量と熱量を上げていくのがわかる。
「———こんな私に、よく……」
思わず言葉が零れる。
綾瀬は唇を離し、眞美の視線が自分に注がれているのに気づいて微笑んだ。
「“よく、興奮するわね”って?まだ言いますか?」
言いながら眞美の手を取り、自分のそこに宛がう。
「—————っ」
「わかった?あなたを触ってこうなってるんですよ」
眞美が小さく頷くと、
綾瀬は顔を寄せて、口に押し付けていた腕を優しく除けた。
「さっきのお返しで言うわけじゃないですけど」
その手が優しく、眞美の顔を包み込む。
「ーーーあなたは、綺麗です」
その唇に再度、柔らかい彼の唇が押し当てられる。
そうしながら眞美の足の間に自分の身体を滑り込ませると、膝の裏から手を差し込む。
押し付けられて、圧迫感に顔を歪めた眞美を綾瀬が微笑んで見下ろす。
「いきますよ」
中に入ってくる。
異物の違和感と同時に、熱の解放感に弾け、眞美は思わず声を出した。
慌てて手で口を塞ぐと、綾瀬はその手と、ついでにもう一つの手も捕まえて、眞美の両側に押し付けた。
強い。とても眞美の力じゃ抵抗できない。
その抗えなさが、眞美の心を満たしていく。
「これで、あなたは俺のもんです」
(…………え?)
その言葉の意味を考えるより早く、綾瀬は動き出した。
赤く熱い波が眞美を襲っていく。
たちまち一度目の大きな波が来て、サーッと引いたかと思うと、また次の波が勢いを増してくる。
(……やばい、また……!)
涙に滲んだ眞美の眼に、綾瀬の手でかけられた花柄のワンピースが映る。
(あれは………)
綾瀬の硬い首と肩に手を回す。
(絶対、あげないんだから)
快感のあまり、その背中に爪を立てる。
(でも…二人の物にするってことなら……)
すごいスピードで勢いを増してくる熱い波に諦めて身をゆだねる。
(考えてあげてもいいけど)
波が眞美を打ち付ける。
それに合わせて、大きく打ち付けた綾瀬の体も震えた。
途端に力をなくした身体を、笑いながら抱きしめる。
「笑わないでくださいよ。彼女とか、久しぶりなんで」
(………は?)
「…………いつ私が、あなたの彼女になったの?」
「ーーえ?」
込み上げる笑いをこらえられずに吹き出すと、慌てて起き上がろうとする綾瀬を抱きしめた。
その艶々の髪を撫で、尚も笑いながら、眞美は目を閉じた。