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人が死んだらどこに行くのだろう。

死後の世界なんてあるのか?

ないだろう。非科学的なことは信じない。

最近、家族が死んだ。

死後の世界には行ったことがないから、家族がいるのか探しに行こうと思う。

…なんて、そんなきれいな思いじゃない。

ただ、人生に疲れただけ。

私は死にたかった。

お話ししましょう。

私が死にたいと思うまでの話を。

______________________________

朝は憂鬱だ。

靡かないカーテン

締め切った窓

音がしないキッチン

真っ暗な部屋

そのすべてが私が一人だということを示している。

嫌いだ、こんな世界。

大嫌いだ。

それでも私は学校に行き、大嫌いな世界の酸素を吸って、大嫌いなこの世界に生かされている。

なんて皮肉だ。

朝ごはんなんて最後いつ食べたかも思い出せない。

寝たいのに眠れない夜の繰り返し。

ずっと頭の中で何か音がなっている。

あぁ、浮遊感がする。

夢の中にいるみたいだ。

夢ならいいのにな、こんな世界。

「いってきます。」

______________________________

学校につくとまず、西藤由奈、という女子から嫌がらせを受ける。

のだが、今日は靴箱に上履きがなかったりという古典的、テンプレートのようないじめはなかった。

まだ気を緩めてはいけない。

教室の扉を開ける。そこにいたのは、由奈の幼馴染のうぜぇ奴___山河康太がいる。

「あ、由奈ー!!如月、きたぞ!」

如月、というのは私の苗字。名前は如月湊。

「あ、来たんだwwってか、よく来れるよねー!wこうやって、いじめられるってわかってるのにさぁww馬鹿じゃん。」

くすくす、という声が教室中から聞こえる。

担任は見て見ぬふり。

教育委員会ー。学級崩壊を起こしています、このクラスは。

「うわっ、何その毛。染めた?似合ってなー。かわいそうだから、私たちが落としてあげるね♡」

地毛です。

「せーのっ!!」

だから地毛だって。

心根はこんなにいえるのに。いざ彼女たちを前にすると何も言えない。

怖いんだろう。私は弱い。私も、そんな私を生み出したこの世界も憎い。大嫌いだ。

由奈が糸を引っ張ってバケツをひっくり返す。

髪の毛以外にも、冷たすぎる水が降りかかる。

局地的大雨が降ってしまった…。気象庁に報告せねば。雨降りましたよ。

「あっ、これ地毛だったー?ごっめーん!めっちゃ濡らしちゃったー!」

下品な笑い声をあげながら、ごめんね?と言ってくる。

謝った?え、嘘。ごめん、私にわかる言語でしゃべってもらえると嬉しい。

私は無言で席に着く。

そして、カバンの中から教科書を取り出し、机に入れる…のだが、上からの人の手が降りてきて教科書をかっさらう。

「ねぇ。」

そして、教科書を奪った犯人__由奈から声を掛けられる。

由奈に目を合わせるため、上を向く。

「やっぱり。その目、あんたのその目が気に入らないや。」

目?

「全部見透かしてそうなその目が気に入らないの。」

次の瞬間、彼女は衝撃的な言葉を放つ。

「ねぇ、二つあるんだからさ、一つぐらい無くなってもいいよね?」

その言葉にクラスが凍り付いた。

イカれてんのか、この女。

「由奈さん、それはさすがに……!」

それは、さすがに?

笑わせる。今まで我慢してきた私の気も知らないで、よくそんなことが言える。

私は、今までも全治一週間のけがをしたことがある。

それは彼女らに体育館裏に呼ばれ、大人数でボコられ、骨折やあざができるほどのけがを負わされた時だ。

もう、どうなってもいいや。

今はただ、こいつらが憎くて憎くてしょうがない。

あぁ、とっくに限界が来てたんだな、私の心は。頭に鳴り響く警告音も無視して。体は大丈夫だから、そう思って学校に行く。だけど、私の心はとっくに限界が来ていて。こんな弱い私にも、世界にも。心の底から怒っている。そして、心からとめどなく押し寄せる怒りの波を、抑えることができなかった。

その時、私の中の何かが切れて、吹っ切れた。

「クイズだ。私は、君にどれだけのけがを負わされたでしょーか。」

「は?」

「は?それが答えね。不正解!残念だったね~!」

「せーかいは…」

私は自分でも驚くほどの低音でこう言った。

「30以上だよ、クソアマ。」

「え」

クラスの空気がまた凍りつく。

「!?ね、ねぇ、こんな奴の言葉を信じんの!?」

「だ、だよね!嘘…だよね?」

「そ、そうよ!嘘よ!」

「復讐。」

「え?」

「復讐、してあげんね。」

私はいつでも死ねるようにと持っていた屋上の鍵を握りしめ、階段を駆け上がり、屋上に着くと扉の鍵を閉めた。

そのまま動画配信アプリを起動する。


「皆さんこんにちは!ウレイです!」

ユーザー名をそのまま言う。

「私は今から自殺しようと思います!!」

「理由はクラスの女の子にいじめられちゃって…でも!死ねば家族がどこに行ったかもわかるし、大っ嫌いなこの世界にさようならを告げることができます!」

こんな素晴らしいこと、ほかにないでしょう?

世界が、

私が、

あいつらが。

どうしようもなく、憎い。

私は、この感情に、世界に。さよならを告げる。

「ってことで、さようなら。」


きっと、この配信はクラスのみんなも見てるだろう。

それどころか、先生も見てるかも。現に、屋上の鍵を開けようとしている人がいる。

「大嫌いなこの世界にさよならを」

「大嫌いな奴に、最高で最悪の復讐劇を」

私はそう言って、綺麗な青空を最後に目を閉じ、屋上から飛び降りた。








私が今度生まれ変わった世界は、魔法にかかったように作り替わっていればいいな













さようなら、最後まで大嫌いでした。

死んでよかったことがあります。

大嫌いなあいつらの泣き顔が見れました。

いい気分です。







でも






友達が死にたいなんて言ったら、ちゃんと止めてあげてね。

「まだ早すぎるし、天国は楽しすぎるから帰ってこれないぞ」って。

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