テラーノベル
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人が死んだらどこに行くのだろう。
死後の世界なんてあるのか?
ないだろう。非科学的なことは信じない。
最近、家族が死んだ。
死後の世界には行ったことがないから、家族がいるのか探しに行こうと思う。
…なんて、そんなきれいな思いじゃない。
ただ、人生に疲れただけ。
私は死にたかった。
お話ししましょう。
私が死にたいと思うまでの話を。
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朝は憂鬱だ。
靡かないカーテン
締め切った窓
音がしないキッチン
真っ暗な部屋
そのすべてが私が一人だということを示している。
嫌いだ、こんな世界。
大嫌いだ。
それでも私は学校に行き、大嫌いな世界の酸素を吸って、大嫌いなこの世界に生かされている。
なんて皮肉だ。
朝ごはんなんて最後いつ食べたかも思い出せない。
寝たいのに眠れない夜の繰り返し。
ずっと頭の中で何か音がなっている。
あぁ、浮遊感がする。
夢の中にいるみたいだ。
夢ならいいのにな、こんな世界。
「いってきます。」
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学校につくとまず、西藤由奈、という女子から嫌がらせを受ける。
のだが、今日は靴箱に上履きがなかったりという古典的、テンプレートのようないじめはなかった。
まだ気を緩めてはいけない。
教室の扉を開ける。そこにいたのは、由奈の幼馴染のうぜぇ奴___山河康太がいる。
「あ、由奈ー!!如月、きたぞ!」
如月、というのは私の苗字。名前は如月湊。
「あ、来たんだwwってか、よく来れるよねー!wこうやって、いじめられるってわかってるのにさぁww馬鹿じゃん。」
くすくす、という声が教室中から聞こえる。
担任は見て見ぬふり。
教育委員会ー。学級崩壊を起こしています、このクラスは。
「うわっ、何その毛。染めた?似合ってなー。かわいそうだから、私たちが落としてあげるね♡」
地毛です。
「せーのっ!!」
だから地毛だって。
心根はこんなにいえるのに。いざ彼女たちを前にすると何も言えない。
怖いんだろう。私は弱い。私も、そんな私を生み出したこの世界も憎い。大嫌いだ。
由奈が糸を引っ張ってバケツをひっくり返す。
髪の毛以外にも、冷たすぎる水が降りかかる。
局地的大雨が降ってしまった…。気象庁に報告せねば。雨降りましたよ。
「あっ、これ地毛だったー?ごっめーん!めっちゃ濡らしちゃったー!」
下品な笑い声をあげながら、ごめんね?と言ってくる。
謝った?え、嘘。ごめん、私にわかる言語でしゃべってもらえると嬉しい。
私は無言で席に着く。
そして、カバンの中から教科書を取り出し、机に入れる…のだが、上からの人の手が降りてきて教科書をかっさらう。
「ねぇ。」
そして、教科書を奪った犯人__由奈から声を掛けられる。
由奈に目を合わせるため、上を向く。
「やっぱり。その目、あんたのその目が気に入らないや。」
目?
「全部見透かしてそうなその目が気に入らないの。」
次の瞬間、彼女は衝撃的な言葉を放つ。
「ねぇ、二つあるんだからさ、一つぐらい無くなってもいいよね?」
その言葉にクラスが凍り付いた。
イカれてんのか、この女。
「由奈さん、それはさすがに……!」
それは、さすがに?
笑わせる。今まで我慢してきた私の気も知らないで、よくそんなことが言える。
私は、今までも全治一週間のけがをしたことがある。
それは彼女らに体育館裏に呼ばれ、大人数でボコられ、骨折やあざができるほどのけがを負わされた時だ。
もう、どうなってもいいや。
今はただ、こいつらが憎くて憎くてしょうがない。
あぁ、とっくに限界が来てたんだな、私の心は。頭に鳴り響く警告音も無視して。体は大丈夫だから、そう思って学校に行く。だけど、私の心はとっくに限界が来ていて。こんな弱い私にも、世界にも。心の底から怒っている。そして、心からとめどなく押し寄せる怒りの波を、抑えることができなかった。
その時、私の中の何かが切れて、吹っ切れた。
「クイズだ。私は、君にどれだけのけがを負わされたでしょーか。」
「は?」
「は?それが答えね。不正解!残念だったね~!」
「せーかいは…」
私は自分でも驚くほどの低音でこう言った。
「30以上だよ、クソアマ。」
「え」
クラスの空気がまた凍りつく。
「!?ね、ねぇ、こんな奴の言葉を信じんの!?」
「だ、だよね!嘘…だよね?」
「そ、そうよ!嘘よ!」
「復讐。」
「え?」
「復讐、してあげんね。」
私はいつでも死ねるようにと持っていた屋上の鍵を握りしめ、階段を駆け上がり、屋上に着くと扉の鍵を閉めた。
そのまま動画配信アプリを起動する。
「皆さんこんにちは!ウレイです!」
ユーザー名をそのまま言う。
「私は今から自殺しようと思います!!」
「理由はクラスの女の子にいじめられちゃって…でも!死ねば家族がどこに行ったかもわかるし、大っ嫌いなこの世界にさようならを告げることができます!」
こんな素晴らしいこと、ほかにないでしょう?
世界が、
私が、
あいつらが。
どうしようもなく、憎い。
私は、この感情に、世界に。さよならを告げる。
「ってことで、さようなら。」
きっと、この配信はクラスのみんなも見てるだろう。
それどころか、先生も見てるかも。現に、屋上の鍵を開けようとしている人がいる。
「大嫌いなこの世界にさよならを」
「大嫌いな奴に、最高で最悪の復讐劇を」
私はそう言って、綺麗な青空を最後に目を閉じ、屋上から飛び降りた。
私が今度生まれ変わった世界は、魔法にかかったように作り替わっていればいいな
さようなら、最後まで大嫌いでした。
死んでよかったことがあります。
大嫌いなあいつらの泣き顔が見れました。
いい気分です。
でも
友達が死にたいなんて言ったら、ちゃんと止めてあげてね。
「まだ早すぎるし、天国は楽しすぎるから帰ってこれないぞ」って。
コメント
2件
メランコリーキッチンの歌詞がちょくちょく出てますね…。いい曲なので聞いてみてください…。
初夢小説なので誤字あるかもです...!! よければダメだしや感想よろしくお願いします!