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『都会の交差点で出会った君へ』最終話 ず っと隣で笑っていて
夏休みの終わり。
街は夕焼け色に染まり、セミの声もだんだん少なく なっていた。
「なあ、蓮翔。今日ってさ、なんの日か覚えて る?」
璃蓮がいたずらっぽく笑いながら、蓮翔の肩をツン とつつく。
「え? うーん…..告白した日、ちゃう?」
「正解~! ふたりがカップルになった記念日や で!」
「すごいな。もうあれから1か月か…」
ふたりはまた、あの日と同じ公園に来ていた。 ベンチも、空も、風の匂いも、全部が“あのとき”の ままだった。
「なあ璃蓮。」
「ん?」
「1か月前、ここで言ったこと、覚えてる?」
「覚えてるよ。
蓮翔が、“好き”って言ってくれて– うち、めっちゃ嬉しかった。」
蓮翔は静かに、でもしっかりと璃蓮の目を見つめ た。
「今も、その気持ち変わってへん。 いや、むしろどんどん大きくなってる。」
璃蓮のほほが、夕日でほんのり赤く染まった。
「うちもやで。
こんなに自然で、安心できる人、初めてやもん。」
そして蓮翔は、そっとポケットから小さな箱を取り 出した。
「これ… 今日の記念に。」
中には、さりげないシルバーのブレスレットが入っ ていた。
シンプルだけど、璃蓮のイメージにぴったり。
「えっ… ほんまに? こんなん初めて…!」
「これ見たら、いつでも俺のこと思い出せるよう
に。」
「これ見たら、いつでも俺のこと思い出せるよう に。」
璃蓮は笑いながら、小さな声で言った。
「見んでも… 忘れるわけないやん。」
その言葉に、蓮翔はそっと手を伸ばした。 璃蓮の手を取り、指をからめる。
「これからも、ずっと一緒におれるように頑張るか ら。 そばにいてくれる?」
璃蓮は、迷いなくうなずいた。
「もちろん。うちも、ずっと蓮翔の隣がええ。」
空には、最初の星がひとつだけ、静かに輝いてい
た。
–そして、ふたりの夏が、永遠になった。