テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
眼前にたたずむ顔は、普段とはかけ離れたしかめっつらをしていた。23時32分。普段の温厚さを微塵も感じさせない程の不機嫌さを滲ませた恋人は、門限を破った俺を一瞥して「…次門限破ったらお仕置きだからね」とだけ言った。
それが、つい先日の出来事。そして今現在、時刻は23時55分。清々しいくらい門限を過ぎている。
「….流石にぺろさん、怒ってるよなあ」
はあ、とついたため息の情けないこと。鍵を鞄から取り出すことすらも憂鬱だ。どうかお仕置きとやらが優しいものでありますように….と念を込めて玄関を開ける。気圧差のせいか噴き出てくる風が額に当たった。
廊下は静けさを保っており、人気を感じられない。どうやら、恋人は門限破りの彼氏をまちくたびれたのか、就寝したようだ。
「…..た、ただいまー….」
恋人を起こさないための小さな声。その声の返答はないと踏んでのことだったのだが、
「おかえり、メロン」
しっかり返答はあった。ひょこ、とリビングから顔を覗かせてくる彼。可愛い。可愛いんだけど。その可愛さを噛み締める前に、確認しなくてはならなければならないことがある。
「う、うん…..あの、ぺろさん。怒ってない?」
「なんで?俺怒ってるように見えるかな」
「いや、見えないけど…でも…」
「もう、なんなのさ。今日はもう遅いんだから、早くお風呂入って寝てね」
彼があまりにも穏やかだったから、一瞬勘違いしそうになった。彼が、怒ってなんかないんじゃないかって。だっていつも通り優しいし、可愛いし。なんなら先日の「お仕置き」発言は気のせいだったんじゃないか、とすら考え始めていた。
「あ、俺明日から一週間メロンとえっちしないから」
_____気のせいだった。
ぺろさん怒ってる。表に出してないだけでかなりキレてる。
「…じゃあ、俺もう寝るから。おやすみ、メロン」
あくまで口ぶりは優しく。笑顔で俺に死刑宣告をした彼は柔和な雰囲気を崩すことなく、おやすみ、と同時に手を振る。ああもう可愛いな。本当に可愛い。明日からえっち禁止なのにもうムラムラしてきた。やばい。もう耐えられな______
……いやまて、「明日から」?
俺は勢いよく顔を上げてスマートフォンを取り出してロック画面を開く。現在の時刻は….
それを確認した俺の口元に思わず笑顔が浮かぶ。そして、突然元気になった俺を怪訝そうに見つめていたぺろさんの手を取り寝室へと引き摺り込む。
「っは、ちょっとメロン…!何するつもり!」
「何って….セックス」
「はぁ!?セッ…….、いやしないっていってるじゃん!ていうかいましてもすぐに『明日』になるし。俺明日からメロンとそういうことしないって、言ったよね」
ああ、ぺろさん可愛いな。ベッドに押し倒されてるくせに。俺に抵抗なんて出来ないくせに、勝ち誇ったみたいな顔して反論する姿がたまらなく可愛くて仕方がない。そんな姿もずっと見てられるけど。だけど今は。
「ぺろさん、みて」
それだけ口にして、俺はスマホのロック画面を堂々と見せつける。正確には、スマホのロック画面に浮かび上がる現在の時刻と日付を。
そこには、白く輝く文字で「00:10」と記されていた。
「ぺろさんが『明日から』えっち禁止って言ってた時は5分だった。0時5分、だったよ」
「えっ….」
さあっと、彼の顔から血の気が引いた。やっぱり。まだ昨日だって思い込んでたんだね。言い逃げする気マンマンだったんだ。
俺は満面の笑みを作る。
「…ぺろさん、あしたから出来ない分、たっくさんえっちしようね」
「いや、あの、えっと…..俺、準備とかしてないしちょっと出来ないかなって…..思うんだけど…」
「じゃあ今からしよう。俺も手伝うよ?てかむしろ手伝わせてよ」
「もう遅い時間だし、せめてやるなら寝た後とか….」
「ぺろさん、今夜は寝かせないから」
夜の帳がすでに降りきり、皆が夢へと旅立つ時間。彼らの熱は、始まったばかりだった。
*
おわりです….。ごめんなさいエロシーンなくて。普通に力つきました。
もしかしたら、今後出すかも….かも。
小説はえっちなやつとか普通に出るかもしれないので、苦手な方はみつけたらブラウザバック推奨です。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!