赤嫌われ
赤side
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「うわあ~終わったあ~泣」
「やっと帰れる~泣」
「黄くん、青ちゃん、俺たち今日も頑張ったね泣」
今日も学校が終わったあと塾でみっちり授業を終え帰宅の準備をする。
俺たちは高校受験を間近に控えた中学3年生。
1日だって油断は許されない状況だ。
俺と黄くんと青ちゃんは小学校の頃から大の仲良しで奇遇にも同じ高校を志望校とし日々頑張っている。
勉強は辛いけれど学校でも塾でも黄ちゃんと一緒で楽しいから頑張れるんだ。
___そう、1週間前まではそう思っていた。
なんだか最近黄くんと青ちゃんに避けられているような気がする。
今日も塾での授業が終わり一緒に帰ろうと席を立つ。
「黄くん、青ちゃん、帰ろう?」
「あー、うん」
「…」
駅までの道のりは居心地が悪かった。
頑張っていつものように会話を繋げようとしても2人はスマホに夢中で俺の話は聞いていないようだった。
その代わりに2人だけがわかる話題で盛り上がっていて会話に参加することができず窮屈だった。
青ちゃんがアイスが食べたいと言い出し途中コンビニに寄ることになった。
「どれにしようかな~?」
「あっ、しまった…財布家に置いてきたの忘れてました泣」
その言葉を聞き俺も財布を忘れていてアイスが買えないことに気がついた。
「俺も財布忘れちゃっt」
「えー!!じゃあ黄くん僕と半分こしよ!ほらこれ“2つ”入りの!!」
「え!!いいんですか!!」
「いいのいいの!!黄くん“には”お世話になってるし」
その後2人はアイスを食べながら楽しそうに話をしていた。
別にアイスがすごく食べたかったわけでも俺もアイスを半分こしてもらいたかったわけでもない。
ただ前よりも2人と距離ができてしまったことが何よりも辛かった。
本来勉強に当てないといけない時間をどうやったらまた2人と仲良くできるか、そもそも避けられていると思っているのは勘違いなのではないのか、それとも俺がなにか2人が不快に思うことをしてしまったのではないのかとぐるぐる考える時間に使ってしまっていた。
その結果塾のテストの結果に響いてしまった。
「じゃあいつも通り30点未満の生徒は補習に参加するように」
そう言い残し先生が退出する。
と、共に俺は焦っていた。
30点未満を初めて取ってしまったからだ。
一緒に偏差値の高い志望校を目指している黄ちゃんや青ちゃんはもちろん余裕で30点以上を取っている。
こんな受験間近に30点以下を取ってしまった焦りと不安で心がぐちゃぐちゃだった。
そんな時に声をかけられた。
「あれ?赤?」
「あっ、桃くん」
桃くんとは昔からの幼なじみ。
幼なじみとは言っても中学校は別々のところに行き塾がたまたま一緒になった。
「赤が補習って珍しいね、何かあったの?」
「まあ、、、ちょっとね」
「ふーん」
桃くんはそれ以上俺から聞き出すことはなかった。
塾で黄くんと青ちゃんといつも一緒にいるのに最近ぼっちなのを何回か桃くんに見られていたのでたぶん気を使ってくれたのだと思う。
桃くんが声をかけてくれた日からだんだん塾では桃くんと行動することが多くなった。
相変わらず2人とは話せなくて学校では嫌がらせをされたりもした。
でも俺はどんなことをされても2人のことがまだ大好きで叶うことならば一緒に居たいと思っていた。
今日もいつものように塾で授業の準備をしていると急に2人に話しかけられた。
「赤~!!この日ってあいてる?」
「受験近いけど最後の息抜きってことで一緒にお祭り行かない?」
「行く!!行きたい!!」
俺は即答した。
なんで急に話しかけてきたんだろうと思ったけれどそれよりも嬉しさが勝っていた。
お祭りでまた2人と距離を縮められたらなとわくわくして桃くんに話した。
「桃くん!!俺、黄くんと青ちゃんとお祭り行くことになったんだ!!」
「おっ、赤もお祭り行くんだ」
「俺も友達と行くから向こうで会うかもなw」
「会ったら何かで勝負しようぜw」
なんて他愛ない会話をしていると桃くんが急に真面目な顔になった。
「そういえばその友達って赤のことハブってなかった?」
やっぱり桃くんには気づかれていたようだ。
「うーんそう見えただけじゃない?w」
俺は笑って誤魔化したつもりだったが桃くんが表情を変えることはなかった。
「…まあ、なんかあったら言えよ?」
頼りになる桃くんに一瞬ドキッとした。
お祭り当日、俺は気合いを入れて髪をセットし集合場所に向かった。
まだかなとそわそわしながら待っていたが2人とも集合場所に来ない。
何か事故にでもあったのかと心配になるくらい待った。
そんな時青ちゃんから連絡が来た。
内容は“急用が入ってお祭りにいけない”という内容だった。
そして同時刻くらいにも黄くんから同じような内容の連絡が来た。
急用だったら仕方がない。
1人で出店を回ろうとした時人混みの中に黄くんと青ちゃんを見つけた。
…そういう事か。
俺は全てを察した。
黄くんと青ちゃんの手には出店で買ったであろう食べ物を持っていた。
そう、急用ではなく2人きりでお祭りをまわりたかったらしい。
俺は気合を入れてオシャレをしてきた自分が恥ずかしくなって走って集合場所から離れた。
目から涙が溢れてきて道行く人が走っていく俺を何事かと見る視線も恥ずかしかったがそんなことよりも早くその場から離れたかった。
人混みを走っていると人にぶつかってしまった。
「あっ、す、すみません」
「赤?どしたの?」
「え、?」
俺がぶつかったのは運悪く桃くんだった。
泣いている自分を見られたくなくてその場から逃げようとしたが手を掴まれた。
「なんで泣いてるの?」
「…」
「赤、人少ないところ行こっか」
桃くんは人混みの中を俺の手をつかみ無言で歩きながら人が少ない場所まで連れてきてくれた。
「…で、何があったの?」
俺は2人にハブられていること、学校でも嫌がらせを受けていること、ところが急にお祭りの誘いを受けたこと、集合場所に来ず急用があると言われたが2人でお祭りをまわっているのを見てしまったこと、全てを話した。
桃くんは優しく背中を擦りながら話を聞いてくれた。
「ん、話してくれてありがとう」
「良かったらこの後一緒にお祭りまわらない?」
「…えっ!?で、でも桃くん友達と一緒に来たんじゃ…」
「赤の方が大事だし///」
「えっ、!?///」
「…ほら、行くぞ」
「わっ、」
俺たちがこの後付き合ったのはまた別の話___。
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❦ℯꫛᎴ❧
コメント
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ブクマ失礼しますm(*_ _)m
初コメ失礼します🐾♡ 以前から主様の作品をみさせてもらっています. 主様の作る作品本当に大好きですɞ̴̶̷ ·̫ ɞ̴̶̷ ブクマ失礼いたします!