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きのこ
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めあ
212
#中1イラスト
七吉。
738
ゲスト
217
続き~
꒰ঌ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈𓆪
『いつも通り』
翌朝。
「……眠ぃ」
葛葉はいつもより少し遅れて教室に入った。
昨夜は結局、あまり眠れなかった。
頭の中にずっと残っている。
――あの路地裏。
――あの声。
――銃を向けられたこと。
そして。
「もし誰かに言ったら――分かるよね?」
「…………」
葛葉は小さく息を吐いて、自分の席へ向かう。
教室にはすでに何人か来ていた。
「おはよー!」
「おはよ」
「叶くん昨日の――」
「うん、それでさ――」
いつも通りの光景。
そして。
「葛葉、おはよ」
「…………」
声がした。
葛葉が顔を上げる。
そこにいたのは――
叶。
いつもの制服。
いつもの髪。
いつもの柔らかい表情。
「……お、おう」
「ん?」
叶が首を傾げる。
「どうしたの?」
「……いや」
葛葉は目を逸らす。
「なんでもねぇ」
「そっか」
叶は特に気にする様子もなく、自分の席へ戻っていく。
「……」
葛葉はその背中を見つめる。
(……普通だ)
昨日の夜なんて存在しなかったみたいに。
いや。
実際、何もなかった。
少なくとも――
学校では。
「ねぇ葛葉」
「……ん?」
また叶がこちらを向く。
「今日の数学の課題やった?」
「……やってねぇ」
「やっぱり?」
「なんだよ」
「いや、昨日先生が結構大事そうに言ってたから」
「……マジ?」
「マジ」
叶が笑う。
「あとで見せよっか?」
「……いいの?」
「別にいいよ」
昨日までなら。
ただの親切だと思っていた。
でも今は――
(……こいつ、昨日のこと覚えてんのか?)
葛葉は叶の顔を見る。
いつも通り。
何の変化もない。
「…………」
「葛葉?」
「……あ?」
「どうしたの?」
「いや……」
葛葉は一瞬迷ってから、
「……お前さ」
「うん?」
「昨日――」
言いかけて。
止まる。
叶が不思議そうに見ている。
「昨日?」
「…………」
葛葉は目を逸らした。
「……なんでもねぇ」
「そ?」
叶はそれ以上聞かなかった。
「じゃ、あとで課題見せるね」
「……おう」
「じゃーね」
そう言って叶は友達のところへ戻っていく。
「叶、今日の体育さ――」
「うん?」
また笑い声。
いつもの叶。
誰にでも優しい。
誰にでも同じ。
そして。
昨夜のことなんて、最初から存在しなかったかのように振る舞っている。
葛葉は頬杖をつきながら、叶を眺める。
(……やっぱ、叶だよな)
顔も。
声も。
仕草も。
全部同じ。
でも――
(……昨日のあいつも、叶だった)
どっちが本物なのか。
それとも。
どっちも本物なのか。
葛葉にはまだ分からなかった。
ただ一つ分かること。
昨日までなら何とも思わなかった叶の笑顔が――
今日からは、少しだけ違って見えるようになった。
꒰ঌ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈𓆪
ここまで~
コメント
1件
読み終わりました。あの夜の出来事を「なかったこと」にするかのような叶さんのいつも通りの態度、逆にそれが怖いですね。葛葉くんが「どっちも本物なのか」と迷う気持ち、すごく伝わってきました。日常の裏に潜む違和感、続きが気になります!