元貴は俺の顔を一瞬だけ見て、息を吐いた。
「…とりあえず、シャワー浴びてきたら」
低くて、抑揚のない声。
俺は、素直に頷くことしか出来なかった。
相変わらず広いバスルームだ。
でも今は、それが余計に孤独を感じさせる。
元貴は、俺のことが本当に好きなのだろうか。
いつからかこんな関係がずっと続いている。
恋人ではない。
セフレっていうのも違う気がする。
ただ、度々身体を重ねるだけの都合の良い関係。
いつまでこんなこと続けるんだろう。
俺も、元貴も。
この胸の穴はどうすれば埋まる?
そんなことを考えながら、シャワーと一緒に零れたものを流した。
タオルを巻いて、洗面所の鏡の前に立つ。
曇りが少し残ってる。
ゆっくり息を吐いて、顔を上げる。
少し、目が赤く腫れている。
なんとも情けない顔だ。
「…こんな顔、元貴に見られたくないな…」
バスルームを出る。
廊下の空気が少し冷たい。
足音が静かに響く。
寝室のドアを開けると、元貴がベッドに腰かけていた。
「若井」
さっきよりも少し甘い声で元貴が呼ぶ。
「来て」
足が重い。
沈黙を掻き消すように雨音が強くなる。
彼の瞳が雨で滲んだ窓へと逸らされる。
それを合図にようやく一歩踏み出す。






