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経営者の古賀良彦(46)、受付で事務作業をしている。
来客があり、
(古賀)「いらっしゃいませー」
と、顔を上げる。
客は湊斗。
(古賀)「なんだお前か」
(湊斗)「古賀先生」
(古賀)「もう先生ではございません」
(湊斗)「想、何してるか知りません?」
古賀、その名前にドキッとしつつ、
(古賀)「ソウ?」
(湊斗)「佐倉想。俺らと同級の。覚えてるでしょ。推薦で大学行った」
(古賀)「あー、はいはい。佐倉ね、はいはい」
(湊斗)「·····知らないですか?」
(古賀)「卒業後のことまで把握してないよ。何百人見てきたと思ってんだよ」
(湊斗)「そっか。ですよね」
(古賀)「·····青羽、元気?」
(湊斗)「元気元気」
(古賀)「結婚するならちゃんと俺のとこに先に挨拶に来いよ。紬さんを僕にください、って」
(湊斗)「紬さんを僕にください」
(古賀)「あげません」
(湊斗)「(笑って)今度紬も連れてきますね」
(古賀)「はいはい」
店を出て行く湊斗。
古賀、スマホを出し【最近どう?】とLINEを送る。
相手は【佐倉想】。
紬、帰宅。
(紬)「ただいまー」
(光)「おかえりー。炒飯でいい?」
(紬)「うん」
光、料理を始めながら、
(光)「ねぇ、内見、次いつ行くん? いつ引っ越すん?」
(紬)「まだ決めてないけど·····え、光そんなに一人暮らししたいの?」
(光)「湊斗くんと結婚してほしいの」
(紬)「(驚きを隠しつつ)·····ほう」
(光)「何その反応。きもいよ」
(紬)「え、いや、なんか。あ、そうなんだ。そっか。そういうの、考えるんだ。ほう」
(光)「考えるよ。姉ちゃんに幸せになってほしいもん」
紬、ちょっとキュンとして、
(紬)「えー、なんか、やだー、照れる」
(光)「(照れくさくなり)·····違う違う。俺は別にお兄ちゃんほしいだけ」
(紬)「(ニヤニヤして)あっそ」
(光)「姉ちゃんとか、飽きたし。そろそろ兄ちゃんがほしい年頃なの」
(紬)「そうだね。二十歳ってそういう年頃だよね」
(光)「·····卵といて」
(紬)「はーい」
と、光にちょっかいヲタ出しながら料理を手伝う。