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ぬくもりのなかで

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2024年12月02日

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pixivの再掲です

垢→やゆよ @user_npdx4375




水桃 生理男子



その日、オフィスは普段通りの賑やかさに包まれていた。書類を整理し、電話をかける声、コンピュータのキーボードを打つ音が入り混じり、活気に満ちている。若手社長として仕事に邁進する俺は、デスクに向かい真剣な表情で画面を見つめていた。何も気にせず、業務に集中しているはずだったが、心のどこかに不安の影がちらついていた。

そんな時、ほとけが静かに近づいてきて、俺の耳元で囁いた。「ないちゃん、ズボンに血ついてる。一緒にトイレ行こう」彼の声は柔らかいのに、どこか緊迫した雰囲気を醸し出していた。

驚いた俺は一瞬動揺し、何が起こっているのか理解できないまま、心の中で不安が広がり始めた。不安がよぎる。まさか、会社でこんな状況になるなんて、思ってもみなかった。

「大丈夫、急ごう」と、ほとけは俺の手を優しく引いてトイレへと急がせた。足取りは重く、心はどこか不安でいっぱいだったが、普段通りを装おうと努めていた。俺の心には何かが引っかかっているような感覚が残り続けていた。

トイレに到着し、広い個室の中へ入ると、ほとけは少し緊張した様子で俺の顔を見つめ、「今日は生理用品持ってる?」と尋ねた。

「………周期じゃなかったから、持ってない」と、目を伏せながら俺は言った。生理が突然来るなんて考えもしなかった。心臓がドキドキして、不安が押し寄せる。

その時、涙が浮かび始めた。心の中で何かが崩れ落ちる音がした。「ごめ、いむ…っ」俺の声は震え、思わず涙がこぼれた。

ほとけはすぐに俺を抱きしめ、「そっか、周期じゃなかったもんね。不安になるのも無理ないよ」と優しく耳元でささやいた。その声が、俺の心に温かさを届けてくれた。いむの存在がどれほど心強いか、改めて感じる。

「ごめん、いむ…ほんとにごめん…っ」と、涙を止めることができず、ただ泣き続けた。ほとけはそのまま優しく背中をさすり、俺の心が落ち着くまで待ってくれた。抱きしめることで、少しでも俺の不安を取り除けたらと願ってくれた。

「大丈夫、僕がいるからね」ほとけの優しい声が響く。

「焦らなくていいよ。僕がちゃんとサポートするから」

その言葉に、少しずつ心が和らいでいくのを感じた。彼の温かい手が自分を包み込んでくれることで、心の不安も少しずつ消えていくようだった。

ほとけは冷静さを取り戻し、カバンから生理用品を取り出して、「これ、使って。一応、カバンに入れてるから」と俺に渡した。その瞬間、ほとけの優しさが胸にしみた。「ほんとにありがとう、いむ。こんな時に支えてくれて…」

「何があっても、僕がいるから心配しないで。これからも一緒に乗り越えていこう」とほとけは、俺の手を握りしめた。彼のその言葉が心に深く響き、少しずつ不安が和らいでいくのを感じていた。


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