「ほら!パーティが始まるよ!」
うさぎのその声と同時に鳴り出した巨大な鐘は辺り一面を開始の合図で包んだ。
「もふもふ…!!」
声のするほうを見るとhukaが案内番のうさぎを撫でているのが見えた。
「動物好きなの?」
「動物…可愛いよね。」
「でも、好きって何…?」
「……」
「きっといつかわかるよ」
今のhukaに説明してもきっと分からないだろう。
前のhukaなら…分かっていたはずだったのに。
「私、パーティ行きたい!」
「中入ってみたい…!」
hukaはそういうと僕の手を掴んで歩き出した。
無意識か自分の顔が赤くなっているような気がした。
「すごい…キレイ…!!」
hukaはそういうと僕の方をチラッと見たあとニコッと微笑んだ。
「Fukaseは来たことあるの?」
「マスターが1度だけ連れて行ってくれたことがあったんだよ」
「そっか…じゃあFukaseとマスターの思い出の場所だね!」
hukaはそういうと小さくニコッと微笑んだ。
「そうかもね…」
上手く返事が出来ない自分が居た。
まだ前のhukaを求めている自分が居たのかもしれない。
それでも、僕は今のhukaを愛す権利がある。
hukaはhuka。僕が愛したAIなんだから。
2人で歩いていると、hukaがいきなり僕の手を離して走り出した。
何かと思いながら着いていくと、そこには巨大な樹の下にあるカフェがあった。
「ねぇねぇFukase!!ここはどんなとこなの!?」
hukaは好奇心旺盛な目をカフェに向けていた。
「カフェだよ、ゆっくり出来るところなんだ」
「かふぇ?」
「うん、入ってみる?」
「…うん!」
hukaがそう言うので、2人で店内に入るとそこにはロボットが店員のカフェがあった。
「テラス席にしますか?」
ロボットがそう言うので小さく頷くと、ロボットは丁寧に案内してくれた。
そんなロボットをhukaはまた、興味を持つような…羨ましいような…そんな目で見つめていた。
ロボットに案内された席に座ると、テラスからはカーニバルの本題。樹木の下のステージが広がっていた。
「あのロボット歌上手いね」
僕がそういうとhukaは少しモヤっとしたような顔をしながら僕に問いかけた。
「なんかモヤモヤする…ねぇ、Fukase。
この感情は何なの?」
きっと嫉妬だろう。
自分も人々に歌を届けるロボットなのだか
ら。
他のロボットを褒められたりなんてしたら、たまったもんじゃないのだろう。
「嫉妬かもね」
僕が少し笑い気味にそういうとhukaは少し驚いたような顔をした後、またニコッと微笑んだ。
「嫉妬かぁ…モヤモヤするね!笑」
「だね…」
やっぱりこのhukaは優しい。
でもそれって…僕が思い通りのhukaを作るために洗脳しているようなものなのでは無いだろうか…。
感情を教えるなんて。洗脳と変わらないものだ。
hukaも1人のロボットで。感情を持って。自由に生きるべきなのに。
そんな事が頭の上を廻った。
「他のところも見てみたいな」
hukaがそう言うので、カフェを出るとそこには先程のうさぎが居た。
「ツリーランドは堪能していますか?」
うさぎがそう問うと、hukaは目を輝かせながらうさぎを見つめていた。
「堪能してるよ!」
hukaはそう言うとまたうさぎを撫でだした。
やっぱりこのhukaは前のhukaとは違うんだ。
僕が洗脳してしまった…そんなhukaなんだ。
そう考えた瞬間。
僕はなんとも言えない感情に陥り、気が付いたらしゃがみこんでしまっていた。
「Fukase!?大丈夫!?」
hukaが慌てて僕の横に来た。
違う。違う。違うんだ。
「違う!!」
僕がそう叫ぶとhukaは目を見開いて、唖然としていた。
「hukaはそんな事言わない!!!」
僕は続けた。彼女が傷付こうとも今のhukaなんだから。いいんだ…もう。
「hukaは僕が話しかけたら無視するし…hukaはそんなに優しくない…そんなに明るくない…僕のことなんて気遣わない…」
僕が淡々と話していると、hukaは絶望を目の当たりにしたような顔をして膝から崩れ落ちた。
「Fukase…私…」
その目には涙が溢れ出していた。
やってしまった。hukaは何も悪くないのに。
僕はなんて最低なんだ。
hukaに自分の理想を押し付けるなんて、彼女の生き様を奪っているだけじゃないか。
「Fukase…ごめんね…貴方のhukaになれなくてごめんね。」
そう言うhukaの目は真っ黒で。
今にも消えてしまいそうなくらい絶望を感じているようだった。
ごめん。ごめんねhuka。
次の瞬間。
僕は彼女を━━━━。
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うさぎ。
ツリーランドの案内番。
特に特徴のない喋り方をする。
おそらく動物。
ロボットでは無いであろう。
hukaに懐いている。
サイズは50センチほどと大柄。
参考歌詞┊︎SEKAI NO OWARI より 炎と森のカーニバル
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