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第一章完なら、第2章もあるって事でいいんですかぁぁぁぁ?!一緒にお部屋で作戦立てよ☆
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 神作〜!!!ありがてぇぇぇ!! 全員の特徴捉えてて凄ぉぉぉぉ!!!
夜の廃ビル。悪鬼麗奈たち、紫兎、天野、霧吹兄弟が、情報を追って歩いていると――
「なぁ、兄貴。あれ……人いないか?」
凪斗が鼻を利かせる。
「……ええ、確かに気配がします」
結羽も慎重に目を細めた。
ざり……と靴音が響く。
暗闇の奥から現れたのは――
「よォ……ガキども、こんなとこで何してんだ?」
現れたのは、三途春千夜。
隣には、無表情のマイキーと、ニヤリと笑う鶴蝶の姿が。
さらに、
背の高い金髪の男――望月莞爾
不敵な双子――灰谷蘭と灰谷竜胆
冷めた目の九井一
渋い雰囲気の明司武臣
――梵天の主力メンバーたちが揃っていた。
「っ……梵天……」
天野がぼそりと呟く。
「オイオイ、ビビってんじゃねぇだろうな?」莞爾が嘲るように笑う。
「……うるせぇ。誰がビビるかってんだよ」
天野がギラリと睨み返した、その時――
「……あれ? こいつら、なんか……知ってる匂いするなぁ」
三途がニヤリと口を吊り上げた。
その空気を、麗奈が冷たく断ち切った。
「……用がないなら、道を開けろ」
低く、鋭い声。
麗奈の赤い瞳が、梵天全員を威圧する。
「おーこわ。けど、オレらも暇じゃねぇんだよ。ここ、ウチらのシマなんだわ」
蘭が笑う。
「勝手に入ってきたってんなら……」
竜胆もニヤニヤと肩を揺らす。
「――覚悟、できてんだろうな?」
緊張が走る。
銃のグリップを握りしめる結羽と凪斗。
そして――
紫兎がウサピョンをギュッと抱きしめた。
ピリピリと空気が張り詰める中――
マイキーが、静かに一歩、前に出た。
「やめろ、春千夜」
その声だけで、全員が動きを止めた。
三途春千夜は、舌打ちして肩をすくめた。
「チッ……わかったよ、マイキー」
鶴蝶も莞爾も、蘭も竜胆も、九井も、武臣も、
全員、不満そうにしながらも引き下がる。
マイキーは、無表情のまま麗奈たちを見た。
「……ここは、オレたちのシマだ。あんまりウロウロすんなよ」
そのまま、マイキーたちは暗闇へと消えていった。
――しん……と静まる廃墟のビル。
天野は小さく鼻を鳴らす。
「……アイツら、ムカつくな」
「でも……ぶつかるのは、今じゃないですぅ……」
紫兎がウサピョンを抱きしめながら、震えた声で言った。
麗奈は、深く息を吐いて、仲間たちを見渡す。
「……行こう。今はまだ、戦う時じゃない」
結羽と凪斗も、静かにうなずく。
こうして、
一度、梵天との遭遇は――
緊張だけを残して、別れる形になった。
◆桜組サイド
紫兎「紫兎は戦えないですぅ…足引っ張っちゃうかも知れないですぅ、」
天野「力がねぇなら、なんか武器持っときゃいいやろ。振り回すだけでも十分や。」
紫兎「ヌォ!天才ですか?!」
天野「知らん。」
麗奈「……駄目だ。紫兎にはまだ早ぇ。」
天野「じゃあ、紫兎はどうすんだよ?戦えなきゃ意味ねぇだろ。」
麗奈「大きくなってからだ。」
紫兎「じゃあ、紫兎はお留守番ですかぁ?」
麗奈「これ、持っとけ。」(タブレットを渡す)
紫兎「わぁ!ありがとですぅ!」
(そこに結羽と凪斗が現れる)
結羽「麗奈、武器も人数分そろえました。準備万端です。」
凪斗「俺、マジで暴れたくてたまんねぇわ!」
麗奈「よし、行くぞ。」
(麗奈、招待状を送信)
──『今夜21時、桜組が梵天にバトルを仕掛ける。準備しとけ。 By 桜組ボス』──
◆梵天サイド
(梵天アジトにて)
マイキー「……桜組?どこの誰だよ。」
春千夜「ハッ、また小物が吠えてんのか。面倒くせぇな。」
鶴蝶「油断すんなよ。相手が誰でも関係ねぇ。」
莞爾「おもしれぇ、久々に体動かせるじゃねぇか。」
蘭「ヒマだったし、ちょうどいいな。」
竜胆「だりぃけど、さっさと終わらせっか。」
ココ「手間かけたくねぇ。最短で潰すぞ。」
武臣「桜組?知らねぇな。まあ、すぐに泣かすけどな。」
春千夜「マイキー、どうすんだ?」
マイキー「……潰す。」
(梵天メンバー全員、迎撃準備完了)
【桜組 出陣~】
夜の廃ビル街。
悪鬼麗奈、霧吹結羽、霧吹凪斗、天野が、静かに梵天アジトへ向かって進む。
紫兎は、桜組アジトの安全な部屋で、タブレットを手にみんなを見守っていた。
紫兎(アジト):「麗奈たち、頑張ってくださいですぅ~……!」
一方、出陣組。
麗奈「……今回の目的は威圧。深追いは禁止だ。」
結羽「了解です。無理は致しません。」
凪斗「でも少しくらい、暴れてもバレねーよな?」
天野「……ウチも、ちょっと暴れたい気分や。」
麗奈「勝手は許さねぇ。俺が合図するまで勝手に突っ込むな。」
結羽・凪斗・天野「了解。」
夜霧を突き抜けて――桜組、梵天アジト前に到着。
一方、梵天側では…
マイキー「来たか。」
春千夜「……全員、潰す気でいけ。」
鶴蝶「おう、楽しくなりそうだ。」
莞爾「ハハ、久々に腕が鳴るぜ。」
蘭「ふ~ん、ちょっとは楽しませろよ?」
竜胆「兄貴ィ、派手にいこうぜ!」
ココ「……無駄な怪我すんなよ。」
武臣「状況見て動け。全員、準備完了だ。」
正面からぶつかる二つの組織。
麗奈「――行くぞ、桜組!!」
麗奈たちが一斉に飛び出し、
夜の廃墟に、激しい衝突音が響き渡る!!
【桜組、梵天アジトへ突入!】
ビルの重たい鉄扉を蹴り破り、
麗奈たち桜組4人が、真っ直ぐに梵天の本拠地へと踏み込んだ。
麗奈(ハンドガンを低く構えて)「――行くぞ、みんな。」
結羽(同じくハンドガンを素早く抜きながら)「了解です、麗奈。」
凪斗(ナイフをクルクル回しながらニヤリ)「うっしゃ!暴れっか!」
天野(拳を握ってボソッと)「……めんど。」
広いホールの向こうに、
黒ずくめの梵天メンバーたちがすでに待ち構えていた。
マイキー(片手にハンドガンをだらりと持って)「……遅ぇぞ。」
春千夜(にやにやしながら)「フフ……血祭りだなァ……!」
鶴蝶(銃を指でトントン叩きながら)「楽しませろよ。」
莞爾(莞爾〈かんじ〉、不敵な笑み)「……すぐ終わりそうだな。」
蘭(気だるそうに銃を握り直し)「……あーあ、めんど。」
竜胆(ワクワクした目で兄貴を見ながら)「兄貴、俺、行っていい?」
蘭「好きにしろ。」
ココ(九井一、静かにハンドガンのマガジンを確認)「……短時間で決めるぞ。」
武臣(銃を構えて仁王立ち)「派手にやるぞコラァ!!」
緊迫した空気のなか、
互いに一歩も引かず銃口と視線をぶつけ合う。
麗奈(じっと狙いを定めながら)「……撃て。」
バンッ!!
鋭い銃声がホールに鳴り響き、
桜組と梵天、最初の一発が戦いの火蓋を切った
梵天アジト内――
鋭く鳴り響く銃声と、床を蹴る音。
麗奈(ハンドガンを構え、マイキーと向かい合いながら)
「――来いよ、マイキー。」
マイキー(ニヤリと笑って)
「……後悔すんなよ?」
バンッ!バンバンッ!!
互いに低い姿勢で撃ち合いながら、
一瞬の隙を狙って詰め寄る。
別のエリアでは――
結羽(ハンドガンを両手で構え、冷静に)
「狙いは外しません。」
鶴蝶(不敵な顔で)
「撃ってこいよ、当たんねーけどな。」
結羽の鋭い一撃に、鶴蝶が軽やかに身をかわし、
互いに地を蹴って弾丸が飛び交う!
さらに奥では――
凪斗(ナイフをクルクル回して)
「ハァ?銃とかズルくね?」
竜胆(ハンドガンをにやつきながら構え)
「まぁ、死にたくなきゃ必死に避けろよ?」
ナイフの間合いまで一気に詰めたい凪斗。
銃弾をギリギリでかわし、竜胆に肉薄する!
一方――
天野(拳をギュッと握りしめ)
「……うるさいな、黙らせたるわ。」
春千夜(ニタニタ笑いながら銃を振りかざし)
「フッ、拳で銃に勝てると思ってんのか?」
天野が壁を蹴って一気に間合いを詰め、
拳と銃口が火花を散らす!
【桜組、崩壊寸前──】
麗奈(ハンドガンを構えなおしながら、肩で息をしている)
「……ッ、まだ……終わってねぇ……!」
マイキー(淡々と銃を持ち替えながら)
「無駄だ。」
バンッ――!!
マイキーの銃弾が、麗奈のすぐ足元を撃ち抜いた。
一瞬バランスを崩す麗奈を、鶴蝶がすかさず狙う。
結羽(顔をしかめながら麗奈をかばい、銃撃)
「麗奈さん、下がって!」
凪斗(ナイフを振るうが)
「くそっ……!」
蘭(余裕の笑みで銃を撃ち)
「ほらほら、ナイフじゃ届かねーよ。」
天野(拳を握り締めるが、足が止まる)
「……ウチじゃ、無理か……」
春千夜(冷酷に笑い)
「さっさと倒れろや。」
バン! バン! バン!
四方八方から銃弾が飛び交い、桜組は徐々に包囲され、追い詰められる。
麗奈(苦しそうに笑って)
「……チッ……ま、だ……!」
けれど、弾数も、体力も、限界だった。
桜組は、完全に――劣勢。
ココ(指を鳴らして)
「もういいだろ。勝ち確だな。」
マイキー(無表情で)
「……終わらせる。」
梵天、勝ちを確信――
その時だった。
――ズガァン!!!
アジトの天井を破って、
ド派手に乱入する影――!
???(不敵に笑いながら、降り立つ)
「――さぁ、ここからが本番やろ。」
もう一人の麗奈。
紫の髪が淡く、目つきは鋭いが、妙にはしゃいでいる。
続いて――
もう一人の結羽(凛とした目つきで、カチッと銃を構え)
「……やれやれ、ド派手にいこうぜ。」
口調は荒く、落ち着きゼロ。
通常の結羽とは正反対。
そして、
もう一人の凪斗(おどおどせず、静かに前を睨み)
「……支える。絶対、守る。」
今の凪斗よりもずっと静かで冷たい目をしていた。
桜組、もう一人の私たちが参戦
梵天のメンバーたちが、一瞬だけ動きを止めた。
春千夜(眉をひそめながら)
「なんだ、アイツら……」
マイキー(淡々と銃を構えなおし)
「面白ぇ。」
桜組、反撃開始
梵天アジト・ホール。
桜組とその”もう一人の自分たち”が加わったことで、空気が完全に一変していた。
だが――
マイキーは微動だにしない。
冷たい目で、全てを見据えていた。
マイキー「……まだ、終わらせる気はねぇってことか。」
三途「ったく、めんどくせぇなァ!!」
鶴蝶「仕方ねぇ。こっちも……本気出すしかねぇな。」
莞爾「遊びは、ここまでってわけだ。」
蘭「まとめて……叩き潰すぞ。」
竜胆「派手にいこうぜ、兄貴。」
ココ「……もう情けはいらねぇ。」
梵天精鋭たちが、次々と本気モードに切り替わる。
今までとは段違いの殺気と動き。
「もう一人の麗奈」がにやりと笑った。
もう一人の麗奈「おーおー、面白くなってきたじゃん!」
もう一人の結羽「上等だ、やってやんぜ。」
もう一人の凪斗「……負けたくない……絶対に。」
桜組本体も、必死に立ち向かう。
麗奈(通常)「――来いよ、梵天ッ!!」
結羽(通常)「俺たちが、桜組だッ!!」
凪斗(通常)「絶対、負けねぇッ!!!」
天野「……ここで折れるわけに、いかへんやろ!」
激戦が始まった。
梵天の精鋭たちは桜組たちに殺到する。
マイキーは、まるで音もなく間合いを詰め、麗奈に重い蹴りを叩き込む。
三途は狂ったように銃を乱射し、結羽たちを追い詰める。
鶴蝶は拳一つで数メートル先まで吹き飛ばす。
蘭と竜胆は完全な連携で、隙をついてくる。
ココは冷静に状況を見極め、狙撃のタイミングを見計らっている。
通常桜組は、必死に食らいつきながら戦うが――
やはり「もう一人の自分たち」の力が圧倒的だった。
もう一人の麗奈は、信じられないスピードで銃弾を避けながら突っ込む。
もう一人の結羽は、ナイフ一本で三途の銃撃をすり抜け、懐に入る。
もう一人の凪斗は、静かに、でも確実に敵を制していく。
だが、それでも。
マイキーは一歩も引かなかった。
その無敵の存在感が、戦場の空気を支配していた。
麗奈(通常)「……やっぱ、こいつらは……強ぇな。」
それでも、諦めるつもりなどない。
体中が痛んでも、血が流れても、心は折れない。
結羽(通常)「……麗奈。まだ、行けますか。」
凪斗(通常)「俺ら……負けるつもり、ねぇしな。」
天野「ウチらは、桜組やからな……!」
麗奈は、ボロボロになった体を無理やり引き起こす。
麗奈「――桜組、総員。前進ッ!!」
「「「「おうッ!!」」」」
通常桜組と”もう一人の自分たち”、
全員が声を揃え、再び戦場へ飛び込んだ。
マイキーが、ようやく動く。
マイキー「……悪くねぇよ。オマエら。」
拳銃を捨て、拳を握りしめた。
マイキー「だが――ここからが、本当の地獄だ。」
マイキーが一歩踏み込んだその瞬間、
麗奈の中で、何かが切れた。
麗奈(通常)「っ……ぐ……うああああああああッ!!」
頭が、熱い。
胸が、焼けるように痛い。
でも、そんなの関係ない。
目の前には、
兄を殺したこの世界を壊したいほど憎い敵。
麗奈「ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ッ!!!」
叫びと共に、麗奈は地を蹴った。
普段とは比べ物にならないスピード。
振るった大鎌は空気を裂き、マイキーに向かって一直線に叩き込まれる。
マイキー「――チッ。」
間一髪、マイキーがかわす。
だが、それでも。
暴走した麗奈は止まらない。
もう理性なんか残っちゃいない。
ただ、憎悪と怒りだけを燃料にして、
目の前のすべてを壊そうとしていた。
マイキー「(こいつ……今、完全に”本能”だけで動いてる……!)」
結羽(通常)「麗奈!!落ち着いて!!」
凪斗(通常)「ヤバい……兄貴、俺ら、止めらんねぇ……!!」
天野「……(ウチらが知ってる麗奈ちゃう……)」
紫兎「れ、麗奈おねえちゃーーん!!?」(紫兎は遠くから叫んでいる)
それでも、
誰の声も届かない。
ただ、振り回した鎌が壁を砕き、
敵味方関係なく蹴散らしていく。
血の匂い、破壊の音。
麗奈の世界は、真っ赤に染まった。
──そして。
どれくらい時間が経ったのか。
静寂だけが、ホールに残った。
瓦礫の中、
麗奈はぼろぼろになりながら、
その場に膝をついた。
麗奈「……は……あれ……?」
虚ろな目で周囲を見渡す。
麗奈「私……なに、してた……?」
周囲は……ボロボロだった。
床も壁も、仲間も、敵も、みんな傷だらけで倒れている。
結羽(通常)「……麗奈……」
凪斗(通常)「……こえぇよ……」
天野「……ウチ、ホンマに死ぬか思た……」
紫兎「れ、麗奈おねえちゃぁ……(半泣き)」
麗奈は、何も覚えていなかった。
ただ、手のひらには、血がべったりと付いていた。
麗奈「……私……やっちゃった……?」
誰に向けた言葉でもない、
ただ小さな、震える声だった――。
マイキー「……チッ、やるじゃねぇか。」
マイキーが、血まみれのまま立ち上がった。
桜組も、梵天も、互いに傷だらけでまともに動ける奴はほとんどいない。
三途「これ以上やったら……どっちも潰れちまうなァ……」
鶴蝶「……同点、だな。」
莞爾「マイキー、引こうぜ。」
ココ「これ以上続けたら、お互い後がない。」
マイキーは、舌打ちしたあと――
無言で背を向けた。
マイキー「……また、やろうぜ。」
それだけ言い残し、梵天のメンバーはホールから消えていった。
麗奈たちも、もはや追う気力もなかった。
麗奈「……はは……同点、か……。」
結羽「……上出来ですよ、麗奈。」
凪斗「俺ら、よくやった方だろ……マジで。」
天野「ウチ、全身バキバキやけどな……。」
互いに、かすかに笑い合った。
──そして。
桜組アジト。
ボロボロの体でどうにか帰還すると、
紫兎が真っ先に駆け寄ってきた。
紫兎「うわあああああん!!!」
麗奈「うわっ!?し、紫兎!?」
紫兎は、麗奈に思いっきり抱きつく。
紫兎「れ、れいなおねえちゃぁぁぁん!!し、しんじゃうかと思ったですぅ!!うわあああん!!!」
麗奈「だ、大丈夫……だから、泣くなって……!」
焦りながらも、
麗奈は紫兎の頭をそっと撫でた。
紫兎「み、みんなボロボロだしぃ!!れいなおねえちゃん、こわい顔してたしぃ!!うわああん!!!」
麗奈「(……紫兎、見てたんだ……あの、暴走した私を……)」
ふと、胸が痛んだ。
でも。
そんな紫兎を抱きしめ返して、麗奈は言った。
麗奈「……ごめんな、紫兎。もう……一人で背負わねぇから。」
紫兎「……れいなおねえちゃ……」
結羽、凪斗、天野も、静かにその様子を見守っていた。
結羽「……(やっと、麗奈も……)」
凪斗「(ちゃんと、支え合う気になったんだな……)」
天野「……(ウチらのボスは、やっぱ優しいわ……)」
夜の静けさの中、
桜組のアジトには、確かな絆が生まれつつあった――。
麗奈は、紫兎の小さな体を優しく抱きしめたまま、
ぽんぽんと背中を叩いた。
麗奈「……ほら、もう大丈夫だ。オレたちは、誰も欠けてねぇ。」
紫兎「……ほんと、ですぅ?」
麗奈「あぁ。オレたちは、ちゃんと帰ってきた。」
紫兎は、ぽろぽろ涙を流しながらも、
やっと――小さく笑った。
紫兎「……よかったですぅ……」
その顔を見て、
麗奈もふっと笑う。
結羽も、
凪斗も、
天野も、
疲れ切った顔のまま、
自然と笑みを浮かべた。
結羽「ふふっ……麗奈、抱きつかれてますね。」
凪斗「子守かよ、ボス。」
天野「ウチも抱きつかれたら泣くかもなぁ。」
麗奈「やめろ、マジで……!」
みんなの言葉に、思わず吹き出す。
紫兎も「えへへ」と、ぐしゃぐしゃの顔で笑った。
そして――
桜組全員、声をそろえたかのように
心の底から、笑い合った。
ボロボロでも、傷だらけでも、
ここにちゃんと、仲間がいる。
負けても、勝っても、
また立ち上がれる。
それが――
桜組だった。
夜空の下、
アジトには、あたたかい笑い声がいつまでも響いていた――。
【第一章・完】