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第1話 堕ちた恋は桜の香り


〜ライダーside〜


強くなりたいと思っていた。

S+に登りつめるために、強くなりたいと思っていた。

夜遅くまで一人で、一人で、一人で、たった一人で練習場に籠もっていた。

結果、得られたものは何か。

それは孤独。

それは孤立。

それは周囲からの冷たい目だった。

オレは元々周りの目に敏感な方だった。

自分が孤立していることを感じて、さらに虚勢を張った。

嫌われものになることで、強がっていた。


ある日、それが通じないヤツらが現れた。

ブルーチーム。

ヤツらに負けたあとにいつのまにか言っていた「次も勝てよ」という言葉は、

オレが誰からも言ってもらえなかった、ずっと言ってほしかったものだった。


「とうとう入学式か!」


橙色の髪と目を持つ男が、隣で言い放つ。

シオカラシティ・ナワバリバトルウデマエS+の四天王「S4」の一人、アーミー


「そーだね♪アーミーは主席で合格したんでしょ?」


桃色の髪と瞳を持つ男、

同じくS4、アロハ


「デュフッ…そーゆーお前はスポーツ推薦トップなんだろ〜〜〜」


ガスマスクを被った、藍紫色の瞳の男、

S4のマスク


「 それより、甘いモノはないか?」


布を口元に巻いた、紫色の髪と瞳の男、

S4トップのスカル


「チッ…静かにしろ」


そして黄緑色の髪と瞳を持つ、

最近S4のコイツらとつるむ機会が増えているオレ、S+のライダー


オレたち5人は、桜の舞う今日、ここ「ハイカラ学園」の生徒となる。


「行くぞ!」

「行こっか♪」

「行くよ〜」

「行くか。」

「はぁ…」


声を合わせるS4に溜息を付きつつ、オレは桜並木を歩き出した。


ー入学式後ー


「5組か…」

「ライダーは5組だったのか?ワガハイは1組だったぞ」

「オレは2組だったよ♪」

「コッチは3組〜。スカルは〜?」

「オレは4組だ。」

「チッ、見事に全員被ってねぇな」

「何だ貴様、寂しかったのか?」

「あ゛ぁ!?」

「デュフッ、うるさいな〜〜〜」

「とりあえずここで解散するか。」

「OK♪後でみんなでパーリーしよっか☆」

「誰がするか!」


苦し紛れに言い放ち、後頭部の校舎に入る。


「…あれっ?」

「?どうした、ゴーグル?」

「またフク脱げたの…?」


聞き覚えのある声に振り返った。


「ああ、ゴーグル。メガネ。ヘッドホン。」

「あー!ライダーだ、やっほー!」

「らっライダー!?なんでライダーがここに…(汗)」

「ライダーくん?」


そこにはブルーチームのメガネとゴーグル、そしてヘッドホンが立っていた。

オレがハイカラ学園に入学した理由は、コイツらブルーチームと共に過ごすためだ。

…なんて、一生かかっても言えねぇな。


「あのね、ライダーくん…ここって中高一環だけど、わざわざ高等部から進学にしたの?」

「高等部からの進学ってかなり狭い枠だぞ…」

「そーなんだ!スゲー!!ライダーって頭いいんだねー」

「というかライダーくん同学年だったんだね!」

「2.3年上だと思ってた…」

「頼れるおにーさんってカンジだよね」


ブルーチームはいつもこうしてオレを持ち上げてくるが、オレは尊敬されるようなヤツじゃない。

…自己満足のためにお前らと同じ高校にするようなヤツだぞ。


「…おまえらは何組だったんだ?」

「ボクは1組。」

「そうか、アーミーと同じだぞ」

「キビシそう!!」

「ワタシは2組だったよ」

「…アロハとだな」

「えぇ…反応しづらい(汗)」

「オレは3組ー!」

「マスクと一緒か」

「やったー、仲良くなれるー!!」

「ライダーはなんくみだったんだ…?」

「オレは5組だ」


途端にブルーチームのヤツらが薄く笑った。


「へー、5組か…(ニヤ)」

「応援してるー!!」

「頑張ってね、ライダーくん」

「は?何がだ??」


意味がわからない。5組になにかあるというのか。


「まあまあ!」

「細かいことは気にせず!」

「いってらっしゃ~い!」


一転して満面の笑みを浮かべるブルーチームに、薄気味悪いと感じた。

3人に背中を押され、廊下の奥の5組へ連れて行かれる。


「おい押すな…」

「それじゃこれで!!!」


ヘッドホンにピシャリと扉を閉められる。


(本当に何なんだ…)


自分の席を確認し、窓際の奥の席で他のヤツを待つ。

既に来ていた生徒たちはこちらを遠くから見ているだけだった。


(オレはここにきても1人か…)


諦めを感じていたオレの頭の上に、声が降りかかってきた。


「いいなー、その席!」


(ん?この声は…)


ふと顔を上げた先で、瞳が釘付けになった。


「アタシもその席が良かったー」

「っ…」


春がさらって来た桜の花弁とは対照的な、青く短い髪。

ほんのりと桜色に染まった、可愛らしい頬。

満開の桜のような、温かい笑顔。

指先から桜の香りを匂わせて。

たくさんの春を連れてやってきた彼女は、


(ニットキャップ!)


ブルーチームの最後の1人、ニットキャップ。

バトルに関して実は色々経験豊富な実力者。

どんなときも笑顔で乗り切る鋼メンタル。


声を、発せない。

挨拶も名前も、喉元で引っかからずに落ちていく。

それほど彼女に…ニットキャップに。

身を焦がされてしまっていた。


「アタシは前の席だよー、偶然だねー。これからよろしくー!」


差し出されたニットキャップの手を握り返すことさえ、動じてしまう。

不思議そうに首を傾げる彼女を見て、声が震える。


(なんだ…この気持ちは?)


風にのって窓から入ってきた一枚の桜の花弁が、オレの手に乗る。

ニットキャップが拾おうとオレの手に触れたとき、体に電撃が走った。


(一つだけ分かることは…これは絶対に表に出してはいけない)


「キレイだねー!」


彼女の手からはらはらと落ちる桜の花びらを見て、謎の胸の高鳴りに沈んだ。


思えばオレが本格的に恋に堕ちたのは、このときからだったと後で思い知ることになる。



<次回予告>

ハイカラ学園での日常開始!

朝は笑顔にキュン死!?

ランチは屋上で!?

放課後には秘密の密会!?

次回は今回よりかる~く書いていきます!(今回かなり重かった…)

リクエストもお待ちしてます!

それではまた水曜日、お楽しみに!

さようなら!


by Juju☆









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