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ど「もふくん、遠い所へのお出かけ興味ありますか?」
本を読んでいたら、とつぜんどぬくさんが顔を覗かせてこう言ってきた
も「なぁんでそんなに他人行儀なの?行きたいなら行きたいって言っていいんだよ?」
ど「聞いてみたいな〜って思ったから」
も「何それww。そうだねぇ、たまにはいいかもね……」
ど「それは行きたいという事でいいんでしょうか?え?」
も「めっちゃ年押すじゃんwww。行きたいって事で言いよw」
ど「やぁった〜!」
も「で、どこ行きたいんですか?」
ど「ふふふ……ひーみーつ」
も「何それぇw」
そんなこんなで話が進んで、俺とどぬくさんはその遠い場所?とやらに行くことになった
行く途中の電車の中
カタンカタンと揺れる電車のリズムが心地よくて、俺はいつの間にかウトウトしてしまって
どぬくさんはそんな俺の隣で頭を撫でたり、頬をつついたり……とにかく俺で遊んでいる
携帯使いなさい、携帯を
も「どぬくさぁん?なぁんで俺で遊んでるの」
ど「ん?なんとなく〜」
も「も〜、恥ずかしいからやめて」
ど「えぇ〜」
も「言ったそばからほっぺつつかない!」
そんな感じで電車の中でワチャワチャしてる時間は、結構楽しかった
まぁ、頭撫でられるの嬉しかった〜なんて絶対言わないけど
ど「あ、もふくん!もうすぐ着くよ〜!」
も「あ、そうなの?じゃあ降りる準備しないと……って、あんまり荷物無いんだった」
そう、今回のお出かけ
荷物用意しようとしたら、どぬくさんが
ど「荷物無くて大丈夫だよ〜」
って言ってたから、特に何も持ってきてない
持ってきてるのは、財布と携帯
ど「着いた〜!もふくん、こっちこっちー!」
も「うわっ!ちょっ…急に引っ張らないでよ!」
どぬくさんに引っ張られながらついて行った先で俺が見たものは……
も「……わ、ここ……海?綺麗だなぁ…」
ど「でしょ?それにここ高いから景色もいいし!」
も「確かにそうかも。でも、なんで急にここに行きたかったの?どぬくさん」
ど「もふくん……ごめんね」
そう言ってどぬくさんは、そこから飛び降りようとした
俺はすぐに、どぬくさんの腕を引っ張って自分の元に戻した
も「っ!どぬくさん!!何してるの!?そんな事したら……どぬくさん、死んじゃうよ!!」
ど「だって……だってぇ……もふくん、俺…もう疲れた……。周りの目も、この関係も……疲れたよ。ありのままでいたいのに……いたいのに……」
も「……どぬく、さん……ごめん、ごめん……俺のせいで……俺の…せいで」
どぬくんさんの、疲れたという言葉
俺は心当たりがありまくりだった
まず、俺とどぬくさんは恋人関係にあった
性別は同じだけど、そんなの俺には関係なかった
お互いが好きでいるなら、それでいいって思ったから
でも、俺の家はそういう恋愛にすごく厳しい家だった
俺は産まれた子供の中で1番頭が良かったから尚更だった
俺には、生まれつき婚約者がいた
その人は、女性だ
そんな家が、俺に恋人
ましてや同性の恋人を許すだろうか
答えは否、認められない
現に、俺の親戚に婚約者がいるけれど、家に同性の恋人を連れてきた人が居た
その人は結果、親戚中から暴言や罵声の嵐を浴び、最終的に家から追放された
どぬくさんと一緒にいられるのなら、別に追放されても良かった
でも、問題は親戚からの暴言の的が恋人に向くこともあるって事だった
どぬくさんの為とはいえ、どぬくんさんに酷い言葉が浴びせられるなんて俺は嫌だった
それでどぬくさんが傷つくのを見たくなかった
も「お母さん、この人どぬくさんって言うんだけど、俺の友達なんだ。今から部屋で遊ぶんだけどいいよね?」
ど「はじめまして。どぬくっていいます。よろしくお願いします!」
も母「あら、そうなの。全然いいわよ。お茶とか持ってきた方がいいわよね?何がいいかしら〜」
ど「お、おかまいなく!」
だから、家にどぬくさんを連れてくる時は友達って体にした
母「それじゃ、お母さんはリビング行くから、何かあったら言ってね。どぬくくん、もふと仲良くしてね」
ど「はい!」
も「お母さん、そういうのいいから……」
ど「……行った、よね?」
も「うん」
ど「う〜……」
も「あっはは、いくら窮屈だったとはいえ急に抱きついてくる!?」
ど「窮屈だったから!充電する!」
も「も〜、可愛いなぁ」
部屋で親が来る事が無くなったタイミングを見計らってイチャイチャしたり……すごく息苦しかったけど、どぬくさんと一緒にいられるなら何だって嬉しかった
ど「俺だって、もふくんといられるなら……って何回も思った。もふくんが俺の為に悩んでくれてることも分かってた……。でも、俺やっぱり無理だ……。人の目なんて気にせずにもふくんの恋人として傍にいたいし……くっついてたい……」
も「うん……ごめん……。俺が、俺がもう少し勇気があったら……」
ど「もふくんは悪くないよ!お家の事は仕方ないもん……。だから、もふくんが、少しでも伸び伸び生きれる為に……」
も「でも!俺はどぬくさんがいなきゃやだよ!もっとどぬくさんといたいよ!!俺を1人にしないでよ!」
ど「……っ!もふくぅん……」
俺は、泣いてるどぬくさんを抱きしめた
どぬくさんが寂しい思いをしてたのに、なんで俺は気づけなかったんだろう
も「ねぇ、どぬくさん」
ど「……何?」
も「遠い所、2人で行こっか」
ど「……え……?」
も「俺も、ずっと窮屈なのは嫌だ。……だからさ、2人だけになれる所、行こうよ」
ど「もふくん……。……うん、行こっか」
そう言って、2人で抱きしめあったまま
俺達は、下へ落ちた
「……ふ、……も……!……もふ!!」
も「……ぅ」
目が覚めると、そこは白い空間
あ、俺……死ねたのか
どぬくさんを……探さなきゃ……
も母「もふ!ようやく目が覚めたのね!!」
も「……え……」
目の前には……お母さん
あれ?俺、あそこから飛び降りて……それで……どぬくさんと……
も「……え……お、俺……」
も母「えぇ、崖からどぬくくんと落ちて……」
も「……ねぇ……どぬくさんは……?」
も母「残念だけど……発見されたのは、あなただけだったの。もふ」
も「え……?あ、あぁ……あぁぁぁ……」
『もーふくん、一緒に帰ろー!』
『もふくん、寂しいのでハグを所望します!』
『ねね、……そろそろ、チューしたいなぁ……なんて』
も「あぁ……あぁ……ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!どぬくさん!どぬくさん!!いやだ、嫌だァァァァ!!!1人にしないでよって言ったじゃん!!やだ!やだぁぁぁぁ!!」
☆.*゚•*¨*•.¸♡o。+ ☆.*゚•*¨*•.¸♡o。
も「……っ!!……また、あの時の夢……」
俺は、未だに学生時代の夢に魘される
窮屈な生活が嫌で、恋人のどぬくさんと崖から飛び降りて、結果はどぬくさんは死んで俺は生きてしまった
あの後、俺が何度もどぬくさんの元へ行こうと自殺未遂をして、それを異様に心配した親が俺にボディガードを雇った
そのせいで、俺は容易に自殺が図れなくなった
会いたい、どぬくさんに会いたい
またあの声を聞きたい、どぬくさんを力いっぱい抱きしめたい
ねぇ、どぬくさんどぬくさん
会いたいよ……ねぇ、もう1回俺の元にきてよ
も「どぬくさん……どぬくさん……」
〖もふ・どぬく
遠くへ行こうよ バッドエンド〗