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「────と、言う夢を…」


バッ─

不破が甲斐田に抱きついた。


「うぇ!? 何不破さ─」

「…グス」

「え?」

「つ、らかったな、晴ゥ…(泣 )」

「良かったよぉ…起きてくれてぇ…(泣)」

「あれ!? 弦月も泣いてる!?」


甲斐田が他の者の様子も心配になり見てみると、剣持は今にも2人のように泣きそうで、加賀美も一見分からないがよく見れば目に涙を溜めている。

長尾は特に涙ぐんではおらず、甲斐田を見て微笑んでいた。甲斐田が自分を見たのに気づき、手を伸ばし、甲斐田の頭を撫でた。


「…夢の中で頑張ったな、晴」

「…ッ」

「お前は十分頑張ったんだ、めっちゃ偉い」

「ッ、そうだよ、晴くんは偉いよぉ…(泣)」


弦月もそう言い、甲斐田の頭を撫でた。


「ちょ、みんな泣きすぎだってぇ…」


甲斐田は、皆が皆泣いているため、皆を宥めることに集中していた。

抱きついてきていた不破に言う。


「不破さん、不破さん」

「…グス、なんや」

「帰ってきました」

「…あぁ」

「泣き止んでくださいよ不破さん」


不破の背中をポンポンと優しく叩き、不破を泣き止まそうとする。


「…嫌や、言うたら?」

「え?」


不破の言葉を聞き、甲斐田以外全員何かを察知。


「あ、すいません私今日中に片さなければならないことがあったの思い出しました」


加賀美がそう言い出したのに、何とか涙をこらえた剣持が続く。


「あ、僕も課題ありました」

「なんでこっち来たの…」


甲斐田が少し呆れる。


(晴くん、全く気づいてない…)


気づかない甲斐田に弦月が呆れる。


「じゃあ俺2人送ってくるわ〜」

「「待って」」


加賀美と剣持を現世へと送ろうとする長尾を甲斐田と弦月が止める。


「ん? 」

「お前その調子で行ったら迷うだろ!」

「僕が行くから! ね!」


弦月は発言と同時にアイコンタクトを試みる。


(病室の外いて! ね!)


「…分かった。んじゃちょっと外の空気吸いに行ってくるわ」

(了解)


アイコンタクト成功。長尾はそのまま退室。


「甲斐田さん」

「はい?」


甲斐田が目線を加賀美と剣持へ向ける。


「お疲れ様でした。しっかり休んでください」

「守ってくれて、ありがとうございました。退院して、スタジオに来るの待ってますよ」

「…ありがとうございます」


加賀美と剣持、そして2人を送りに行った弦月が退室。


「…ふーわーさーん」

「…」

「どうしたんです今日。そんなにコブンが心配でしたか」


甲斐田はまだ不破の背中をポンポンしていた。

そして優しい声で問いかける。


「…好きだからや」


不破は甲斐田の胸に顔を埋めたまま、そう言った。


「…え? あの、すいません不破さん、今、なんて…」


聞こえなかった訳では無い。確認だ。


「…好きや。俺、晴のことが好きや。…俺と付き合うてくれへんか?」


不破はそのまま顔を上げずに言った。


「…」

「…晴? お前なんで震えて」


ここでやっと不破の涙が止まり、不破は顔を上げる。


「…ん? え、晴なんで泣いて───」


甲斐田の頬に、いきなり涙が流れ混乱する不破。


「…」


不破は思った。


(…やっぱ、とは無理───)


「ッ…ずい゙ま゙ぜん゙、嬉じぐで」

「…は?」


不破は固まる。


「僕も゙っ、好ぎでず…不破ざん゙のごどっ、ずっど前がら゙ッ」


号泣しながら、甲斐田は伝えた。

すぐに、伝えなければと、答えなければいけないと思ったから。


「…は、るぅッ!?」


不破は、気づけば甲斐田の腕の中にいた。


「…夢に出てきた身近な人たち。あれ嘘です」

「は?」

「身近な人ではありますし、身近な人たちはみんな大切な人です。ですが、僕が見たのは、身近な人達の中の大切な人の…ずっと思いを寄せていた、不破さんだったんです」

「…」

「怖かった」

「え?」

「告げられないまま、離れるかもしれないのが」


不破は、震える甲斐田の背に手を回し、抱き締め返した。


「…悪い」

「…なんで不破さんが謝るので? 悪いのは僕ですよ」

「ちゃう、甲斐田の怪我のやつとかやのうて…その…」


不破は手を離し甲斐田から少し離れ、甲斐田の顔を見る。


「俺、自覚したの馬鹿遅くって…しかも自分で溜め込みすぎたし…」

「僕も溜め込みすぎましたよ?」

「いやお前のと俺のやと全然ちゃうやろ…」

「そんなことないですよ」


甲斐田は不破の手を取る。


「…不破さん、僕と…付き合ってください」

「…あぁ…じゃないちゃう……はい!」


「…」


病室の外待機の長尾は、加賀美と剣持を送って戻ってきた弦月に気づいた。


「どう?」

「くっついたわ」

「言い方」


長尾がドアを少し開け、弦月に手招きする。


「…ふふっ」


そこには、幸せそうに笑い合う2人。


「良かったね、晴くん」


長尾と弦月は、夢で見た“身近な人たち”が、不破だということに気づいていたのであった。


しばらくした後。甲斐田はすっかり元気になり退院し、また収録に参加出来るようになったある日。


「不破さん」

「なんだ、晴?」


甲斐田は不破の手を取り、不破の目を見つめ言う。


「お揃いのピアスを、買うか作るかしませんか?」

不破は、甲斐田の瞳に吸い込まれそうになった。

大切な人を、とにかく愛おしそうに見つめる瞳に。

不破は答えた。


「あぁ、ええな」




《おふわー、付き合えたんやて? 良かったな〜今度2人でおいでや。話聞かせいラブラブな話。》


戌亥からそんなメッセが届き、それを読んだ不破は赤面した。


甲斐田と不破は、今とにかく幸せそうに過ごしているため、アニコブがラブラブな話は、近くの者たちに察され、瞬く間に広がったのであった。


fin───

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コメント

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最高でした👍ありがとうございます

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