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ふくらP×伊沢
「ここに居るなら」
「伊沢。 最近休んでる?」
「えっ?」
突然、河村にそんな事を言われた。思わずえっと、情けない声が出る。
「休んでるよ?」
「そう?」
俺が「休んでる」と言っても、河村は信じてない。
「うん」
「疲れ、ちゃんと取れてる?」
「取れてるよ。 大丈夫、大丈夫」
そう言ったら、やっと河村は納得してくれたのか、「そっか」 と言った。
まぁ、休んでない。本当は。
俺だって休みたいと思う。思うけど、投稿をしなきゃいけないんだ。
例え誰かに見られてなくても、人が離れても、俺は投稿をしなきゃならない。
「はぁっ……」
ため息が出る。 家に帰っても編集。いつの間にかそうなってた。生活リズムは昔なんかよりも崩れて…。それでも投稿はしなきゃならない。だって俺は編集長なんだから。俺がやらなきゃいけないんだから。
誰かに見られてなくても、誰かが離れようとも、俺がここに居るなら動画を投稿し続ける。そんな事、いつ決めたのだろう。そう思っても呟いても、答えは帰って来ない。自分で決めたルールに縛り付けられ、次第に壊れていく。全ては自分が悪いけど、どうにもならないものでね。誰かに指摘されなきゃ、それが異常だと言う事に気付けない。人ってのはそう言うもんだ。
「ふぁっ……」
「はぁっ…」
あくびをしながら、グググッと伸びをして、また編集を始める。
「やべっ…」
気付けば24時過ぎ…。いや、もはや1時。
今日もまた誰かになんか言われるんだろう。「なんで遅くまで起きてたんですか?」とか「ちゃんと寝てくださいね」とか…。こんな事考えてるくらいなら、さっさと編集を終わらすか寝よう。寝落ちだけは無しで。
「ゲホッゲホッ…」
水に手を伸ばす。ゴクゴクと静かな部屋に音が響く。
「……はぁっ…」
ダメだ。寝ちまう。
一回寝るか…? いや、朝まで起きれなくなるかもな…。でも、どうせ何か言われるなら…。けど、編集が…。……寝よう。ごめん、みんな。俺は寝ます。おやすみなさい。
「んんっ……」
変な時間に起きちゃった…。とりあえず水分を…。
そう思い、立ち上がる。少し離れた場所に置かれてる水を取るために、歩き出す。
「へ………」
少しふらついたかと思えば、ドサッと音を立てて、俺は倒れていた。
「……は…あっ……?」
突然の出来事で、上手く何が起きたか理解できない。
なんで、寝てんだ? 俺…。今起きて、水分を取るために立って、歩いて…。そしたら…。転んだ? なんで? 怖い怖い。起き上がろう。ほら、動くよ。
そう思っても、俺の体はピクリとも動かなかった。
「…………」
ただただ唖然とするしかない。体が動かない。どれだけ頑張っても、動かない。 ピクリともしない。
スマホ取れないし、変な時間だし、誰も俺の部屋になんか来ないし…。
色々考えていたら、変な事が頭によぎった。
……俺、もしかして死ぬ? そう思った。こんな所で? そんな訳無いよな、うん、知ってる。けどさ……。
「…………」
せめて1ミリは動いて欲しいんだけど…。めちゃくちゃ怖いから。頼むよ、俺の体。急にどうしたんだよ。なんか声も出せないし。本当にどうしたの? 俺が最近休んでないから? だとしても急に来たね? もう怖いよ。俺を早く開放してくれよ。頼むよ。
どれだけ願っても、俺の体が動く事はなかった。話せない、動けない。こんな状況で生き残る方法が出てこない。スマホを取ろうにも、不運な事に机に置いてある。手が動かない。
今から撮影の時間まで待つか? けど、今からだと1時間以上もある。
ああ、俺、終わったかもな。
しばらくしたら、急に眠気が襲ってきた。
今寝たらダメな気がする。俺の本能がそう言っている。
もしこれで死ぬなら、嫌すぎるな…。
そう思ってるのに、笑った。なんでだろう。
ごめん、みんな。俺、また寝るわ。こんな俺を、許して。
突然、チャイムが鳴る音で起きた。ドンドンッと、扉を叩く音が聞こえる。電話も鳴ってるみたい。俺の体はまだ動かない──。
動いた。さっきより動ける。
机に置いてあるスマホを手に取る。電話はふくらさんからだった。
「伊沢、ドア開けて」
ふくらさんの切羽詰まった声が聞こえる。
けど、ごめん。そこまでは動けないみたい。
「ごめ…ん……無理っ………」
「はっ? 伊沢?」
は? なんか、普段のふくらさんが言うとは思えない。
「後っ……ちょっとっ……」
「何が? 伊沢? どうしたの?」
後ちょっとで、動ける。だから待って欲しい。
動ける。立て。玄関のドアを開けろ。急げ。
ガチャッと、ようやく扉が開く。
「伊沢っ!」
ああ、ふくらさんだ…。
安心したのか、また床に座り込んでしまった。
「伊沢……大丈夫?」
あれ…。ふくらさんだ。
寝てたみたい。謎に体が痛い。頭を動かして横を見てみると、ふくらさんの脚の上に俺の頭が乗っていた。
「あ………ふくら……さん……」
「どうしたの?」
「なん……ここに……?」
「ああ…。覚えてない?」
「うん……」
「さっき、伊沢がドア開けてくれてね。さっき、何かあったの?」
「ええ………?」
ああ、思い出した。
ふくらさん、ごめん。わざわざありがとうね。
「……伊沢?」
ごめん、もうちょっと…。いいかな?
「……疲れたんでしょ…。もう…。」
呆れながらふくらさんは言う。けどふくらさんの表情は、柔らかく俺に微笑んでいた。
コメント
7件
表記あってますかね、、?inmnってできますかーー!
またリクエストしてもいいですかーーー泣
なんだろうね、これ