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「あの、?そろそろいいですか?ほんとに、離してください」「…ぐち逸、おまえは俺らから離れないよね?」
「はい?、」
「俺、不安なんだよ、すごく」
「………」
きゅ、と抱きしめる力が強くなり、体がさらに密着する。時折見せる子供のような彼を前に、空架は唖然とした
「お前がいつか居なくなるかもって考えたら、怖いんだよ。もうどうしようもないくらい、怖い。」
レダーが1番恐れていることは、警察に捕まることよりも、犯罪が失敗することよりも、仲間を失う事である
「……レダーさん、一度、離してもらえますか」
「………いなくならない?」
「ええ、いなくなりませんよ」
そうすると遠慮がちに腕が離れていき、大きな溜息を吐いては頭を抱えた
「ふふ、相当疲れているんですね」
「、……、、誰のせいだと…」
レダーの気も知れずにくすくすと笑う空架をギロリと睨みつけ、再度大きなため息を吐いた
「…あなた、私がどこかに行ってしまうとでも?」
「………」
「そう思ってるんですね?レダーさん」
「……、、…はぁ、…そうだよ、何、文句あんの?」
「いえ、何も。ただ、私とはその程度の関係だったと言うことですね」
「…はぁあ?」
急に図星を突かれたと思えば癪に触る事を言い出して、レダーの真っ黒な瞳が一気に怒りに満ち溢れ空架を突き刺すような鋭い目付きに変化する。
今、現在進行形で空架の事を心配しているのにそれでもなお関係値が足りないとでも言うのか。これほどの深い関係値がなければどこかへ行ってしまう事への不安なんてないし、興味や関心すらも持っていなかった。空架のこれから先の道のりについて口出しするということは立派な深い関係を表す故の行動であり、空架を放すまいという信念から吐き出された発言だったのだ
「だって、私は868の皆さんの様に絶対に貴方から離れないという確信を持たれていない。それって立派な根拠じゃないですか?私、貴方とは割と信頼し合ってるつもりだったのですが」
「…は、?いや、それは…っ」
「レダーさんはまだ断言できませんよね、私が868を離れないって。それは私を信頼できていないからだ。違いますか?」
「いや、…っだってお前、っおまえが、 すぐどっか行くから、それで」
「でも、最後には必ず帰ってきてるでしょう?」
「………、、ッ…、」
何をしていたって無線で呼ばれればいつかは来てくれる。仕事が終われば仲間が集まるアジトへと帰ってきてくれる。それが何より空架の発言を確信づける決定的な証拠であった。
珍しく何も言い返せなくなっているレダーを見て空架はもう一度くすりと笑い、ちょん、と彼の鼻先に人差し指を押し当てる
「貴方が思っているよりも、私はこの組織に依存しているんですよ。」
「……、…!……、、…、いや、…ふは、ふはは!(笑)それ自分で言う?」
「……たしかに、おかしいですね」
波の音がうるさい中、2人でたくさん笑い合って、あれからしばらく経って思いが通じ合い、恋仲まで発展したのも今では良い思い出である。
「…なつかしいですね」
しかし海に呑まれたのは、空架ではなくレダーであった。このだだっ広いロスサントスという街で、空架ぐち逸は今日も海を眺めている
思っていたよりもこのお話、書くのが面白くて結局続きまで書いてしまいました
寝ている間に何も言わずに去ってしまったレダーの事を、空架は一体どう思っているのか。一生議論できるお題だと思います