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「バハムート。」
その一声で私は目を開いた。朝日が眩しい。当たらないよう頭を少し動かす。その時横に見えたのは
「、、、ゾディアーク?」
寝ぼけた声で名前を呼ぶと、少し驚いた様子でこちらを見ている。
「、、、やっと起きたか。早く学校に行く準備をしろ。」
そう言い、部屋を出て行こうとする。
「は、いやちょっと待て。どうやって私の家に入ってきたんだ。」
私は起きたばかりの頭をフル回転させ、ゾディアークに言葉をかける。
「そんなのお前が私を起こしに電話をかけてくれなくなったからだろ。」
当たり前だ、というように私を睨む。
確かに前まで朝が弱いゾディアークを電話で起こしてやっていた。しかし最近、私は昼夜逆転生活が体から離れなくなってしまい、朝起きることができなくなっていた。
「それはすまなかった、、、いや、質問の答えになってないな。」
「ああ、玄関に鍵がかかっていなかったからそこから入ってきた。」
普通に不法侵入をしているゾディアークを警察に突き出そうかと考えたが、そんな時間はないので諦めて学校に行く準備を始めようとベッドから体を起こす。重い。鉛が付いているかのような感覚がした。頭痛がし体調が優れない。
「朝食と弁当は作ってやるから早く準備しろ。」
私がベッドから立ち上がったと同時に、ゾディアークは部屋を出て行く。料理できるのか?と思いながら、私は支度を始める。クローゼットから制服を取り出すと、少しホコリがついていた。そういえば、学校を長い間休んでいたんだと思い出す。しかし、どうして休んでいたのか内容までは思い出せない。
「とりあえず、学校に行くか。」
リビングに行くと、ホコリの匂いがした。机の上には焼きたて目玉トーストと弁当袋が置いてあった。
「ほら、早く食べろ。あと30分で遅刻だぞ。」
「作ってくれてありがとな。助かった。」
席に着き、目玉トーストを口に運ぶ。サクッとしていて美味しい。
食べ終わると「歯磨き終わらせてろ。」と言い、食べ終わった皿を洗おうとしていた。お言葉に甘え、私は洗面台に向かう。洗面台は少し汚れていた。
歯磨きを終えると同時にゾディアークが
「早く行くぞ。」
と声をかけてくれた。私は弁当袋を持って玄関に向かった。
外は一層明るく、暑かった。ゾディアークは腕時計を見て、「急ぐぞ。」と私を引っ張り走り出した。私は走り始めてすぐに疲れてしまう。運動不足を自覚しながらもゾディアークに走るペースを合わせる。こうでもしないと学校に間に合わないのだろう。
校門前に着くと先生も生徒も誰一人おらず、とても静かだった。学校内に入る。下駄箱を見るが、やはりゾディアークと別のクラス。今私たちは2年生だが、今年はゾディアークとだけクラスが分かれてしまった。ゾディアークは「私は先に行く。バハムートは2階の2組でアイツらと一緒だからな。」と言い、階段を駆け上って行った。少し馬鹿にされているな、と思いながら教室に向かう。久しぶりの学校の空気を吸う。
「おはよう。」と挨拶をし教室に入る。すると、クラスメイトは豆鉄砲をくらったような様子で私を見る。沈黙が少し続いた後、
「バハムート。お前、大丈夫なのか?」
一人の男子生徒が言った。カオスだった。
「ああ、大丈夫だぞ。心配をかけてしまったなら申し訳ないな。」
私がそう言うと、クラスメイトはホッとした様子で私に話しかけてくれた。アルテマは少しだけ泣いていたが、ゼロムスに励まされながら話しかけてくれた。エクスデスは安心したような目で見ていた。
教室に入ってきた先生も私に声を掛けてきた。まあ、長い間休んでいたから心配してくださったのだろう。ここからはずっと授業を聞いていた。休んでいたから内容があまり理解できない。幸い、隣がゼロムスだったため、少しは聞いて理解することができた。ゼロムスにも「バハムート、お前本当に大丈夫か?」と、心配されたが、私は「大丈夫だ。」と返す。
授業が終わって昼ごはんを食べようとした時、カオスたちに声を掛けられた。
「久しぶりに一緒に食べようぜ!面白い話ばっかりだぜ?」
断る理由もないので一緒に食べることにした。だが、おかしい。いつもは六人で食べていた。エクスデス、カオス、ゼロムス、アルテマ、ゾディアーク、そして私。ゾディアークが居ない。
「なあ、ゾディアークはどうしたんだ?」
私が聞くと一瞬空気が重くなった。が、エクスデスが
「誘ってみたのだが、一人で食べると言ってしまってな。」
という。他の三人も頷いている。でも明らかに様子がおかしい。皆んな目を逸らしている。私が口を開こうとしたとき、
「ま!早く食べようぜ!ゾディアークは明日もう一回誘えばいいしよー!」
三人もそうだねと言い、また食べ始めた。カオスに遮られてしまった。でももう言い出す空気でもない為、私もゾディアークが作ってくれた弁当を食べる。アルテマたちがこっちをみている気がしたが、気のせいだろう。
帰りのホームルームが終わり、皆んな教室から出て行く。スマホを開くと、ゾディアークから連絡が来た。
“校門前で待ってる”
教室から出ようとすると、カバンを引っ張られた。
「バハムート、ちょっといいか?」
後ろを向くとカオス。だけではなくエクスデス、アルテマ、ゼロムスも一緒にいた。
「どうした?」
「屋上で話したいのだが、時間はあるか?」
何か人前では話せない用事のようだった。少し待ってくれ、とスマホを取り出し、ゾディアークに連絡を送る。
“用事ができたから先に帰ってくれ”
私はスマホをしまい、カオスたちと屋上に向かった。
昼とは違い、少し涼しくなっていた。
「それで、どんな用事だ?」
そう質問すると、ゼロムスが口を開く。
「バハムートさ、一ヶ月前の事件覚えてるか?」
一ヶ月前?特に目立った事件はなかったと思うが。
「いや、知らないが。何かあったのか?」
「その事件がさ、私たちの学校の生徒が車に轢かれたってやつなんだ。その生徒は死んだんだけどさ。」
知らなかった。自分の学校の生徒が事故死したなんて。ふとゼロムスの隣を見ると、アルテマが静かに泣いていた。いつも笑顔で明るいアルテマがだ。そんなにアルテマと関わりが深かったやつが死んだのだなと分かった。
「その事件がどうしたんだ?私に関係があるのか?」
「、、、その事件で死んだやつが」
「ゾディアークなんだよ。」
ああ、全て思い出した。異変には気づいていた。学校を長い間休む理由があったはずなのに、何も覚えていなかったこと。私は一ヶ月前、ゾディアークと出かけていた。そのとき、信号無視をした車が走ってきて、ゾディアークが跳ねられた。宙を回転して
という音を立てて、地面に打ち落ちた。医療に関する知識はないが、見ただけで分かった。ゾディアークは死んだのだと。周りの叫び声、救急車を呼ぼうとする人、面白がってゾディアークを撮影する人、カメラの音。私はゾディアークが死んだショック、人の恐ろしさから学校を休んだ。食事も喉をあまり通さなくて、何度か自殺しようとまで考えた。ストレスとトラウマのせいで、軽度の記憶障害ができたのだろう。
自然と涙が出てきた。そのとき、屋上の扉が開いた。そこにはゾディアークがいた。ゾディアークは私たちの様子を見たあと、何か悟ったようにフッと笑った。そしてゾディアークの体が薄くなっていく。
「なんだ、お前たちは気づいていたのか。」
「今日、明らかにバハムートの様子がおかしかったからな。」
「俺たちにも会いに来てくれたのか?」
「まあ、そんなところだ。」
「ゾディアークさん、成仏してしまうのですか?」
「私的には残りたいのだがな。」
「意外と元気そうだな。少し心配してたのに。」
最後の会話のチャンス。それなのに私は動けない。何を話そう。なんて声をかけよう。このいっときもゾディアークはどんどん薄くなっていく。アイツらが話し終える前に。完全に消えてしまう前に。私がゾディアークに言わなければならないこと。
そうだ、まだ言えてなかったこと。あった。
「ゾディアーク。」
「なんだ?」
「ありがとう!」
“ありがとう”その言葉を言ったあと、ゾディアークは私たちに笑いかけ、何かを話し消えてしまった。ゾディアークはなんて言っていただろう。でも、アイツが言う言葉なんて想像がついている。
「こちらこそ。」
次の日の朝、昨日のことが現実だったのか夢なのか分からないまま目覚めた。覚えているところはゾディアークと屋上で会話をしたことだけだった。そのあと、どうやって帰ったのかわからない。
リビングに行くと、誰もいない。ホコリっぽい部屋であること以外には変わらない。そういえば弁当箱洗ったっけ、と台所を確認する。弁当箱は綺麗に洗われていて昨日の朝使った皿まで立てかけられていた。
ピコンッ。通知がきた。スマホを開く。そこにはカオスたちとのグループ連絡アイコン。⦅いつメン 6⦆と表示されていた。その下に、ゾディアークのアイコン。何故か通知が来ていた。送られていた時間は、私たちが屋上にいた時間。気になって開いてみた。そこにはこう書かれていた。
“正解”
ご覧いただきありがとうございました。今回の物語は結構伏線や違和感(?)などを入れてみた感じです。文章がかみ合ってない部分や、理解できない部分も多々あると思います。その時は質問お願いします。次回の制作で分かりやすいように改善していきたいです。
初投稿ですので温かい目で見てくださると嬉しいです。
コメント
2件
投稿お疲れ様です♪ 素敵なストーリーをありがとうございます😭ゾディアークさんが推しなのでバハゾディは神すぎます!!これからも応援しております!