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放課後の音楽準備室。夕陽が差し込む中、空気は異様なほど静かだった。
楽譜も楽器も、すべてが整えられた空間で、ただ二人の呼吸だけが乱れていた。
……やめる、若井……ここは、学校だぞ」
低く、掠れた声。
けれどそれは拒絶というよりも、惹かれる衝動を抑え込もうとする苦しい呟きだった。
「だったら、先生こそ……なんで俺を呼んだんですか?」
若井滉斗は、音楽教師・大森元貴を見下ろすように詰め寄っていた。
制服の襟を緩め、息を荒くしながらーーその目には抑えきれない執着と欲望が宿っていた。
「進路の相談だろう……お前が、音大を目指したいって…….」
「違うだろ。最初から俺が先生を狙ってるって、気づいてたくせに」
元貴の背中が壁に押し付けられる。
狭い準備室、逃げ場などない。
若井の手が元貴の腰を掴み、その身体を強引に密着させる。
「お前……生徒のくせに……つ」
「先生が悪いんですよ。そんな目で見てくるから」
若井の手がシャツの裾から滑り込み、腰骨をなぞる。
そのまま唇が重なった。容赦のないキス。
唇を割り、舌をねじ込むような強引なそれに、元貴の抵抗はわずか数秒で溶けていった。
「
…..つ、ふ、や、若井…..やめ…..」
「やめてほしいなら、もっとちゃんと拒めばよかった。ほら、こんなに感じてるのに」
言葉と同時に、若井の指先が敏感な箇所をなぞり、元貴の声が漏れる。
「…..つあ、だめ……つ、そこは……つ」
「先生のくせに、可愛すぎるだろ」
何度も触れて、何度もキスを奪い、若井は大森を完全に支配していく。
羞恥も理性も、熱に溶かされて崩れていく。
教師と生徒。
立場なんて、とっくに意味をなさない。
「…..俺、ずっと先生のことが欲しかった。誰にも渡さない。…..俺のものになれよ」
「つ、もう……お前、ほんと……最低だな」
「うん。最低でいい。先生の全部、俺だけが知ってればいい」
ーーこの背徳が、誰にも壊されませんように。
そう願ったのは、どちらだったのだろうか。
二人の熱だけが、夕焼けに染まる準備室の中で静かに燃え上がっていた。