魎︰りょう
僕の人生は魎に出会ってから醜く、儚く、散っていった。
掴みどころのない彼は少し不気味で、それでいて興味をそそられる者だった。魎のはなっているオーラは異様であり、圧倒されるものだった。
初めてであった時から確信していた。
こいつは人間ではない。
昔からそういうものがすぐに分かる体質だった。
しかし魎が“そういうもの”であることについて詳しく聞かなかった。
魎と一緒にいることは僕にとって幸せだった。
彼の行動から僕への好意はすぐにわかった。
でも僕は魎に対してそういう気持ちが芽生えなかった。それを感じとったであろう魎の態度は急激に変わった。今までのよそよそしい雰囲気はどこへいったのだろうか。積極的に会話し、沢山僕について知ろうとしてきた。嫌ではなかった。
嫌ではなかったはずなのに。
魎の僕への態度はとても恐ろしいものになっていった。単純に好意からくるものではない。それに気づいた時には遅かった。
嗚呼、彼は魎だ。
魎︰もののけ
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