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不破湊side
「⋯家出⋯⋯です」
そう控えめに、
少しうつむき加減に教えてくれる。
⋯家出。
15歳の子が家出⋯なんて
なんて疑問を甲斐田に聞いてみる。
言いたくなかったらいいよ。
とはしっかり言ったよ。
そうすれば、ぽつりぽつりと話してくれる。
甲斐田の全て。
まず、親に期待されすぎたってこと。
その期待に答えようと頑張ったら、
耳が突然聞こえなくなって。
勉強とか大学とか言われたくなくて
治療はしないと決めたこと。
そしたら、親に見放されたこと。
聞けば聞くほど苦しくて。
助けたくなって
「⋯ここ、居る?」
なんて口にしていた。
「出て行きたいって思ったら
家に帰ってもらっていいし⋯」
もちろん無理やりとは言わない。
甲斐田の意志が大切だから。
答えを待っていれば
「いい⋯んです⋯か?」
なんて少し泣きそんな顔で言ってくる。
「うん、甲斐田がいいなら
俺は居てもらっていいよ」
だけど、まだ甲斐田は未成年。
しかも15歳。
そんな子を俺の家に置いとくのは、
下手したら犯罪になりかねないから
「一応、親御さんには話しておきたい」
そういえば、一瞬で顔が曇る甲斐田。
分かる。
あんだけ蔑ろにされた
家に行くなんて嫌に決まってる。
だけど、許可さえ貰えれば平気だから。
顔からして、俺が帰すんじゃないな
そんな不安が見えて
「あ、帰さないよ。甲斐田のことは。
そんな蔑ろにしてる両親のところに
帰すなんてことしないから安心して。
でも一応ね?許可的なもの取らないとね」
そう言えば、ほっとした表情。
それからすぐ、俺のお腹が鳴った。
甲斐田を見つけてここに帰ってきて
色々話していたら1時間は経っていて
夜中の1時。
流石に、お腹空くね。
話を聞いている中だと、
甲斐田も食べていないだろうし⋯
「お腹、空いてない?」
そう聞いて、返事も聞かずにキッチンに立つ。
簡単に作れて、
今冷蔵庫にあるのは⋯
なんて漁って決めた料理は
オムライス。
誰もが好きだと思いたい。
食材を切っていれば、
ソファーに座る甲斐田からの謝罪。
「ごめんなさい」
多分、俺のせいとか思ってんだろうな。
なんて思って
「ん?いいよ、ちょっと待ってて?」
そういえば、少しだけ笑う。
その顔に少しだけ、
可愛い⋯なんて感情になる。
食材を切り終えて、
炒めていればすごく感じる視線。
「なに?」
そう聞けば、首が取れそうなくらい
首を横に振る。
そんな姿が、
やっぱりまだ15歳なんだって思わせる。
ケチャップライスが仕上がって、
ふわふわトロトロの卵を上に乗っけて完成。
お皿をダイニングテーブルに置いて、
甲斐田を誘導。
ソファから立ち上がって
オムライスの匂いが一気にしたのか
頬が緩む甲斐田。
座ったところでトロトロで
良かったか確認すれば
「⋯好きです、トロトロのオムライス」
なんて笑ってくれるから嬉しくて
「良かった」なんて俺も言う。
それから食べ始めると、
リスみたいに頬張ってくれて嬉しくなる。
半分くらい食べ終えたくらいで、
甲斐田の顔が俺の方に向いて
「⋯美味しいです」
なんて言ってくれる。
嬉しい⋯なんて思った矢先、
甲斐田の顔を見て固まる。
甲斐田が泣いていたから。
そっと席を立って、
甲斐田の溢れ出してる涙をそっと拭う。
「久しぶり⋯だったから温かいご飯が」
そう言うけど多分、
それ以上に安心したのかな。
まだ出会って数時間だけど。
甲斐田が望むなら
「これからは毎日、作ってあげるよ」
俺は甲斐田のために作るよ。
それから甲斐田は、
お皿にソースさえも残さず完食。
時刻は2時。
「先にお風呂は入ってきな?
お布団、用意しとくから」
先に甲斐田をお風呂に入れて、
その間に2人で寝れるように布団を引く。
もちろんベッドはあるけど、
雑魚寝も悪くないでしょ?
お風呂から上がった甲斐田に
「どっちでも好きな方で寝ていいよ」
それだけ言って俺もお風呂に入る。
お風呂をあがって、
髪を乾かしてリビングに向かえば
布団にくるまって寝ている甲斐田。
寝顔はまだまだ子供な15歳。
可愛くて、守りたくて。
「⋯こんな俺だけどさ、
頼ってよ。助けてあげるから」
スヤスヤと寝てる甲斐田にそう声をかけて、
部屋の電気を消した。
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